
いいえ、忙しくたって大人だって、週末にたらふく冒険できちゃう。それが北海道なんです!
千歳川からエントリー
楽しんだ人

札幌出身。留学先だったオーストラリアでダイビングを始め、大自然の素晴らしさに開眼。オーシャンデイズのスタッフでもある。

北海道好きの関東在住ライター。冬は道央界隈、夏は道東を中心に歩いたり漕いだり滑ったりして楽しむ。幼少期から好きな色は青。
大きな窪地を意味するアイヌ語「シ・コッ」が名の由来という支笏湖。新千歳空港から車で約40分、アクセス抜群の場所にある。支笏湖は約4万年前の大噴火で誕生したカルデラ湖で、水質の良さは環境省の折り紙付き。透明度が高く、浅瀬は水色とも青緑とも思える真夏の避暑にうってつけの色彩を帯びている。
そのクリアな湖でクリアSUPを漕いで納涼三昧! 沸騰する本州を飛び出しやってきた。今回の旅友は、板谷この実さん。テレビレポーターだった経験を活かして、支笏湖周辺の自然の素晴らしさを伝えている。初日は支笏湖でクリアSUP、翌日は樽前山登山。支笏湖周辺を満喫する1泊2日の計画だ。
支笏湖のアウトフィッター、オーシャンデイズのメンバーでもあるこの実さんの案内で湖へ。支笏湖に流れ込んでいる千歳川からエントリーする。ふいに目に入った水面は眩しいくらいのライトブルーを放っていた。
「わ、こんなに青いんですね!」
気分は爆上がりである。興奮するスドーにこの実さんも笑顔だ。
「そう、結構青いんですよ〜!」
クリアSUPは足下が丸見えの新感覚。泳ぐ魚や沈んだ大木など水面下の様子がよくわかる。水中に沈む柱状節理(火山の痕跡)も! あまりにクリアで、湖に吸い込まれそうだ。爽快この上なし、もう水になりたい〜。
そんなクリアな支笏湖ブルーは、ただ自然に任せて保たれているわけではない。策定された「支笏湖ルール」によってマナー啓発などが行なわれている。個人艇などで支笏湖を楽しみたい場合は必ず事前に確認しよう。
さてさて、支笏湖ブルーとの一体感に陶酔していると、この実さんが山のほうを指さした。
「あの山の上にポコっと見えているのが明日行く樽前山ですよ」
稜線の上に取ってつけたような台形の盛り上がりがあった。ほほう、あれが樽前山か。右側の高い三角ピークは風不死岳。さらに対岸には恵庭岳が鎮座。この三山は地図で見ると支笏湖を挟んで一直線に並ぶ。遠く太平洋の千島海溝に並行する火山フロントの一部だ。湖を囲む山々を見やり、地球のダイナミズムをひしひしと感じるのだった。
ツアーを終えて昼食のために向かったのは、ポロピナイ食堂。支笏湖の名物「支笏湖チップ」をいただいた。チップはヒメマスの北海道での呼び名だ。冷凍保存で一年中食べられるそうだが、6〜8月が漁期で今がまさに旬。塩焼き、フライ、刺身、握り、マリネどれも旨かったが、握りが特に脂の旨みを感じられた。
そして、仕上げは支笏湖と同じ水位の野湯が楽しめる丸駒温泉へ。大浴場にはサウナもあり、充実の癒やしのひとときだ。初日は大満足で締めくくられた。
2日目は樽前山へ。アイヌ語の「タオロ・マイ(川岸の高いところ)」が語源だ。今回は東山ピークを目指してみたが、花畑や溶岩ドーム周回など、思い思いにコースを選べる自由度がある。登山口から約10分歩くと樹林帯を抜け、早くも支笏湖が見えた。
「もう支笏湖が見える、早い〜」
車で七合目までアクセスできることもあるが、ほんの少ししか歩いていないのに、樹木のない原野の如き眺めはとても高度感がある。また、樽前山は高山植物が豊富なことでも知られる。
歩き始めから可憐な花々が我々を出迎えてくれた。白く点々と咲くマルバシモツケ。ミネヤナギはもう終わりが近いのか、モコモコの綿毛を蓄えて次の世代につなぐ準備中のようだった。
「タルマイソウが咲いてますよ」
と、この実さん。よく見るとそこらじゅうに薄紫色の花が揺れている。実は火山礫の裸地に最初に咲くパイオニア植物だそう。なんだか格好いいな! 小さな花から大きなパワーをもらった。
DAY1
クリアSUPで支笏湖ブルーを感じる(2時間30分8,500円※1)
09:00
ブルー、まぎれもなくブルー。地球のダイナミズムを感じて

クリアSUPは巨大な水中メガネの上に乗っているよう! うつ伏せになってしげしげと湖底の様子をうかがう。

木陰で水面をぐるぐるとかいてみると光るようにクリアなブルーが出現。清涼感たっぷりでなんて涼しげ〜。

支笏湖との一体感を求めて、自らも水になる。火照った体をクールダウン。とにかく超気持ちいい。

ツアーで漕いでいる時間はおおよそ50分。景色を堪能しながらのんびりツーリングするにはちょうどいい。

借りられる!
オーシャンデイズ
一年を通じてSUPやカヤック、ダイビングなどのツアーを開催。水着も借りられるので、手ぶらでOK! レンタルウェアで気軽に自然を楽しめる。
住所:北海道千歳市支笏湖温泉番外地
電話:080-9325-6507
定休日:不定休
営業時間:8時〜17時 (4月〜9月)、8時半〜17時(10月〜3月)
https://ocean-days.com/
12:00
"支笏湖チップ"をいただく!

支笏湖チップとは特産のヒメマス。一生を湖で過ごす魚だ。漁期は6〜8月で夏が旬。淡水魚は淡白なイメージがあるが、ノンノンノン! 脂が乗り旨みぎっしり。
チップカレー ¥1,500

チップクレープ ¥700

チップづくし ¥3,400

ポロピナイ食堂
住所:北海道千歳市幌美内番外地
電話:0123(25)2041
営業時間:10時~17時半ラストオーダー
定休日:なし(冬季は休業)
https://www.poropinai.com/
13:30
支笏湖と同じ水位! 絶景温泉を堪能

岩場で湖と隔てられた温泉は、まるで支笏湖に浸かっているよう。全国でも珍しい足元湧出の野湯だ。貸切できる湖畔のサウナで、湖の水で極上のととのいを。


奥札幌の秘湯 湖畔の宿支笏湖 丸駒温泉旅館
住所:北海道千歳市幌美内7番地
日帰り入浴営業日/毎週金・土・日曜日
利用時間/10時~14時(15時退館)
料金/大人(中学生以上)¥1,200、子供(小学生)¥600、幼児(3歳以上)¥300、3歳未満は無料。
https://www.marukoma.co.jp/
DAY2
樽前山ハイクで支笏湖を望む(0円)


09:00
絶景あり、花あり、短時間で押し寄せる感動の数々

「花の山なんですよ」
登山口にはクマ出没の看板。ヒグマの生息域であることに背筋が伸びる。歩き始めて約10分で眼下に支笏湖が!

昨日漕いだ支笏湖を見下ろし、カルデラ湖然とした水を湛えた美しい姿に見入る。「漕いだのはあの辺ですかね〜?」。
高山植物の宝庫!"お花畑コース"も

駐車場から風不死岳に向かう北東斜面コースは特に花が多い。イワブクロは樽前山に多く咲くことからタルマイソウとも呼ばれている。
シラタマノキ

イワブクロ

マルバシモツケ

10:00
強い風が吹く山、十分に注意しよう

東山ピークを目指したものの、強風のため溶岩ドームを拝んで引き返すことに。木がないため突風のように吹くこともあるので要注意。
TARUMAE ¥350

樽前山の溶岩円頂丘(ドーム)を模したシュークリーム。サクサク食感!
スイーツショップ パティシエ・ラボ
住所:北海道千歳市支笏湖温泉 しこつ湖鶴雅リゾートスパ 水の謌
営業時間:9時〜17時(5〜10月)、9時〜16時半(11〜4月)
電話:0123(25)2212
支笏湖ビジターセンター
支笏湖と周辺の自然やその成り立ちなどについて知れる。ぜひ野遊びの前に訪れて、より深く知って楽しもう。

住所:北海道千歳市支笏湖温泉番外地
電話:0123(25)2404
営業時間:9時~17時半(4~11月)、9時~16時半(12~3月)
定休日:毎週火曜(12〜3月)、年末年始
https://shikotsukovc.sakura.ne.jp/
※1:2名以上参加での1人当たりの料金。また、支笏湖環境保全協力金500円が別途必要。 ※2:支笏湖の水辺利用に関しては、一般社団法人国立公園支笏湖運営協議会のホームページ(https://lake-shikotsu.jp/)で確認を。利用には「支笏湖ルール」を始め、支笏湖環境保全協力金徴収などがある。
※構成/須藤ナオミ 撮影/二木亜矢子 地図/MORISON
(BE-PAL 2025年9月号より)