今年最後の天文ショーは年越し「すばる食」!南の「長寿の星」も見るチャンス! | 天体観測・星 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.12.27

    今年最後の天文ショーは年越し「すばる食」!南の「長寿の星」も見るチャンス!

    (画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    2025年最後の、そして2026年初めの天文ショーは「すばる」の名で有名なプレアデス星団が月に隠されるプレアデス星団食です。

    2025年を締めくくるプレアデス星団食

    2025年はおうし座のプレアデス星団(すばる)が月によって隠される「食」が4回も起こる当たり年でした。その4回目が大晦日の夜に始まります。

    地域によって時間帯は異なりますが、東京では、23時頃に月がプレアデス星団の北側の星を隠し始めます。食の終わりは年を越して1月1日の1時頃です。

    今回の月は月齢11とかなり明るいので、少なくとも双眼鏡、できれば望遠鏡で観察することをおすすめします。

    年をまたいでのプレアデス星団食。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    ギリシア神話によると、プレアデス星団は天球を背負う神アトラスと女神プレイオネ夫妻の娘たちの星々とされます。プレアデス星団は暗い所だったら肉眼でも見える明るい星が6〜7つほどありますが、これらには夫妻と娘たちの名前がつけられています。

    今回は月がプレアデス星団の北寄りをギリギリかすめていくため、名前がついた星は多くても2つしか隠されず、地域によっては星が隠されずに接近するだけで終わります。

    かなり高く上がるので、双眼鏡を使う場合は三脚に据えておくと首が楽でしょう。

    食の始まりを見逃した人も除夜の鐘を聞いたら、外に出て空を見上げてください。月がプレアデス星団のすぐ上に輝いています。

    年が明ける瞬間、1月1日午前0時の月とプレアデス星団。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
    2026年1月1日午前0時の夜空。おうし座は西に、オリオン座は南西に、ふたご座や木星は天高い位置にある。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    ハッピーニューイヤーに長寿の星カノープスを見られるか?

    プレアデス星団の食が始まる大晦日23時頃には、おうし座をはじめ、オリオン座、シリウスのあるおおいぬ座など冬の星座たちが雄大な姿を見せています。実はこの時間帯、南の空にあるりゅうこつ座のカノープスを見るチャンスでもあります。

    りゅうこつ座もカノープスもあまりなじみのない名前かもしれません。カノープスは全天でシリウスに次ぐ2番目に明るい恒星です。

    12月31日23時頃の南天。おおいぬ座シリウスのずっと南に位置するカノープスは地平線すれすれに。高い所に行ったら探してみよう。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    カノープスはシリウスのずっと南方に位置します。南半球の星座で知られるケンタウルス座や南十字星の近くです。そのため沖縄あたりまで南下するとよく見えるのですが、本州で見ようとすると難易度の高い星です。

    ですが、この時期の深夜の時間帯、カノープスは東京でも地平線からわずかに顔を出しているのです。南側が開けた高い場所であれば、理論上、カノープスを見ることは不可能ではありません。東京でも湾岸や高層ビルの展望台から観察できたという証言が多数あります。ただし、夜間なので十分な安全対策が必須で、まぶしい光を目に入れない工夫も必要になるでしょう。どうしても肉眼で見つけられなかったときのために、双眼鏡も持っていくことをおすすめします。

    中国でもカノープスは地平線すれすれに見える星として古来から知られていて、見た人は長生きできると言い伝えられています。日本にもこの言い伝えが広まり、「老人星」とか「長寿の星」などと呼ばれています。正月休みに南の方へ旅する人は、ぜひカノープスも探してみてください。

    それではみなさん、2025年最後のプレアデス星団食でハッピーニューイヤー! よい年をお迎えください。

    構成/佐藤恵菜

    星空案内人 廣瀬匠さん

    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、2026年の天文現象の見どころと楽しみ方をまとめた『アストロガイド 星空年鑑2026』が発売中。。

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