新発見の2彗星が同時に見られる! 西の空にレモン彗星、南の空にスワン彗星のサプライズ | 天体観測・星 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.10.19

    新発見の2彗星が同時に見られる! 西の空にレモン彗星、南の空にスワン彗星のサプライズ

    レモン彗星(出典:wikipedia、Dimitrios Katevainis)

    新彗星のレモン彗星が急増光して話題になっていますが、そこにもうひとつ9月に発見されたばかりのスワン彗星が現われました。1つの空に2つの彗星。お見逃しなく!

    太陽風観測カメラで捉えられたスワン彗星

    スワン彗星(C/2025 R2)は今年9月に発見されたばかりの彗星です。現在地球に接近中。日没後の南の空、いて座とわし座の間に見られます。

    10月21日18時半頃の南の空、わし座といて座の間にスワン彗星。西の空、うしかい座の近くにレモン彗星。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    スワン彗星は太陽と太陽圏の宇宙観測機SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)に搭載されているカメラで発見されました。そのカメラの名前がSWAN。本来の目的は太陽風観測です。スワン彗星は太陽風観測中にたまたま見つかるもので、すでにいくつもあります。今回発見されたスワン彗星には、C/2025 R2という認識符号がつけられています。

    彗星は太陽に近づくほど明るくなります。しかし今回のスワン彗星は、太陽にいちばん近づく地点(近日点)を通過した時で8等級ほどと肉眼では見えない暗さでした。ハレー彗星や30年近く前のヘール・ボップ彗星、昨年の秋に話題になった紫金山・アトラス彗星と比べて桁違いに小さな彗星です。

    それでも近日点を過ぎて、着々と地球に向かって近づく途上で明るさを増してきました。10月半ば現在で6等級ほどまで上がり、これなら双眼鏡で見えるでしょう。

    近日点で8等級ほどしかなかった彗星がこれだけ明るくなってきたのは、地球にかなり接近してくるからです。地球に最接近するのは10月21日で、この時の距離は約3890万キロ。地球と月の間の距離の100倍くらいです。あまりピンと来ないかも知れませんが、かなり近くを通過していきます。

    スワン彗星とレモン彗星の軌道図と10月21日の位置。どちらも地球にかなり近い。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ

    計算上はおよそ700年で太陽に戻ってくる周期性彗星です。もっとも、たとえ700年前にも地球の近くを通過していたとしても、暗すぎて発見することはできなかったでしょう。

    西の空にレモン彗星は4等級くらいに

    同じ時刻の西の空にはレモン彗星(C/2025 A6)が見られます。こちらはアメリカ・アリゾナ州にあるレモン山天文台が、今年の1月に発見した彗星です。8月からグングン明るさを増して、10月半ば、4等級ほどの明るさになっています。双眼鏡があれば、十分に見つけられます。

    レモン彗星は西の空に。10月いっぱいくらいは楽しめそう。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    SWANカメラとレモン山天文台の望遠鏡は、いずれも宇宙空間を継続的に監視する自動観測を行なっていて、その画像の中から彗星が見つかりました。近年はこのような自動観測プロジェクトによって発見される彗星が多くなってきました。今回のレモン彗星は4等級ほど、スワン彗星は6等級ほどと、いずれも小さな彗星です。それにしても、双眼鏡で見られる明るさの彗星が2つ同時に空に架かるのは珍しいことです。

    10月21日は新月で月の明かりもありません。21日を過ぎてもしばらくは見られそうです。お天気のいい日を狙って、ダブル彗星を見つけてください。グッドラック。

    構成/佐藤恵菜

    星空案内人 廣瀬匠さん

    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」が好評発売中。

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