
月食が終わる頃になると、月はかなり西に傾いてくるので、地上風景といっしょに撮影できるチャンスでもあります。

半影食の始まりは8日の0時28分
月食は、太陽、地球、月が一直線に並び、地球が作る影の中に月が入ることで起こります。影の中に月の一部が入ったときが部分月食、月がすっぽり全部入った状態が皆既月食です。
太陽の光を受けてできる影の中心を「本影」と言い、その周りのちょっと明るさの残る部分を「半影」と言います。9月8日0時28分、月が半影に入って行きます。これが「半影食」です。
なお、月が影に入ったり出たりする時刻は全国どこで観察しても同じです。ただ、地域によって月の高度が異なる点に注意してください。基本的には西の地域ほど、月は高く昇っています。

本影に月が入る「部分食」の開始は1時27分。これからが本番。じわじわと月が欠けていきます。月の形だけでなく、色の変化に注目してください。皆既食になると、赤黒い満月が見られます。よく「赤銅色」(しゃくどういろ)と呼ばれます。大気の状態などによって鮮やかに見えたりくすんで見えたりしますので、実際にどんな色に見えるのか、ぜひご自身の目で確かめてください。
今回の皆既月食は、2時31分から3時53分まで本影に入っています。1時間20分ほど、ゆっくり観察できます。本影に入り始めた時の月の色、本影から出てきた時の月の色、微妙に違って見えたりします。ちなみに今回はウサギのお尻の方から欠け始めます。
食の最大は3時12分。この時点で月はかなり西に傾いていて、関西より東では高度が30度を切っています。天文現象はなるべく高い所で起こった方が見やすいというのが常識ですが、発想を変えれば、月食を地上の風景といっしょに撮影する絶好のチャンスとも言えます。
この日の月はみずがめ座にあり、周りにある明るい星は土星とみなみのうお座の1等星フォーマルハウトくらいです。しかし、皆既に近くづくにつれ空が暗くなり、周りにある星々が見えてくるのも、皆既月食の夜の楽しみです。

月食は肉眼で十分楽しめますが、双眼鏡や望遠鏡を向ければ月のウサギの様子の変化も観察できます。余裕があれば土星にも望遠鏡を向けてみましょう。望遠鏡の性能によりますが、土星の細くなった環が見られるかもしれません。
部分食の終わりは5時近くになっています。この頃になると東の空が明るくになっているでしょう。
あとは当日のお天気を願うばかり。たとえ曇りがちでも、どこかで雲が途切れる可能性はあります。あきらめずに、たまに空を見上げてみましょう。