
鮎の友釣り
鮎は1年で一生を全うする年魚で、冬~春の稚魚の期間を海や湖で過ごして夏に河川に遡上してきます。釣り方は海や湖にいる稚鮎を釣る方法や、遡上間もない小鮎を毛バリで釣る方法など様々です。
その中でもとりわけメジャーで愛好家も多くいるのが、真夏の河川で行う友釣りです。今回は鮎の友釣り最盛期の7月末に赴いた模様を紹介します。
友釣りはオトリ鮎を購入することからスタート!

自然界に生息する鮎(野鮎)は川底の石の周りなどに縄張りを持ち、侵入してくる他の鮎を追い回したり体当たりするなどして攻撃する習性があります。専用の仕掛けを取り付けたオトリ鮎を釣り人が操作して縄張りに侵入させ、野鮎に体当たりさせることで針に掛けるというのが友釣りの仕組みです。そのため、友釣りに必ず必要となるのが、オトリ鮎というわけです。
近年ではルアーで鮎を釣る釣法も確立されていることから、最初の1尾をルアーで釣る手もありますが、鮎のルアー釣りが可能かどうかは河川ごとの遊漁規則によりけりです。今回、釣りを行った魚野川では、川原に設置されたオトリ販売所で初めのオトリ鮎を購入しました。
友釣りに欠かせない「川の下見」

友釣りで釣果をあげる近道は、入念な川の下見です。野鮎が主食とするのは川の石に繁茂するコケで、その周辺を縄張りとする習性を持ちます。そのような野鮎が縄張りを持っているポイントや、野鮎がコケを食んだ形跡のあるポイントで釣りをすることが、友釣りにおいて最も大事といえるのです。
橋から川を見下ろしてみて、野鮎が激しく泳ぎまわっていたり、他の野鮎を追い回している様子が目視で確認できれば、非常に有望なポイントといえます。
今回ポイントをいくつか巡って下見をしましたが、なかなか野鮎の姿を確認することはできませんでした。
定番ポイントで釣りをするも……

なかなか良さそうなポイントが見つからず、下見をしていた付近では定番といえるポイントで、ひとまず釣りをしてみることにしました。

そして1時間弱オトリ鮎を泳がせ続けましたが……残念ながらこのポイントでは1匹の鮎も釣りあげることができませんでした。縄張りを持つ野鮎さえいれば誰でも簡単に釣果が得られるのが友釣りの魅力ですが、ここまで釣れなければそもそも居ないと確信し、別のポイントに移動することにしました。
通い慣れた2箇所目のポイント

友釣りはオトリ鮎を生かし続ける必要があるため、専用のオトリ缶に移してエアーポンプで酸素を供給し続けなければならないなど、ポイントの移動もなかなか大変です。日暮れが近づいていることもあり更なる場所移動は難しいため、今回の友釣りで釣果を得られるかは、ここで釣れるかどうかに委ねられます。
やってきた2箇所目は私が友釣りを始めた頃から通い慣れたポイントで、7~8年ほど前までは野鮎がよく居着いていたのですが、近年はよく釣れたという話を聞いていません。
応えてくれた大型鮎!
近年の不調ぶりから一抹の不安を感じながらも、ひと昔前によく釣れたという記憶を頼りにオトリ鮎を泳がせ始めます。オトリ鮎に川底の石の周りをうろつかせることをイメージをしながらも、できるだけ負担をかけないよう優しいラインテンションで流れに馴染ませていると、すぐさま強烈なアタリがありました!

今年新調した8.7mの鮎竿を大きく曲げながらなんとか水面を割って抜き上げたのは、7月に釣れるサイズとしてはかなり大きい24cmに迫る野鮎でした。次々にオトリ鮎が入れ替わることから「循環の釣り」ともいわれるのが鮎の友釣りです。大きなオトリ鮎には大きな野鮎が掛かる場合が多く、戦々恐々とも武者震いともいえる感覚を覚えながら釣れた大きな野鮎をオトリ鮎にします。
立て続けに釣れる大型鮎!

先ほどの野鮎が釣れた同じ場所にオトリ鮎を誘導することを意識し、鮎竿をわずかに上下したりラインテンションに緩急をつけて操作していると、再び強烈なアタリがありました!

思った通り大きなオトリ鮎には大きな野鮎が掛かり、2尾合わせた重量も増すことで抜き上げた鮎をタモでキャッチする「引き抜き」も、ダイナミックで手応えあるものになります。同じポイントで同じ竿操作でも少しずつ立ち位置を変えることでオトリ鮎が泳いでいくコースが若干変わり、違う縄張りを持つ野鮎をオトリ鮎で挑発することができます。
そんな釣り方を意識しながら上手くオトリ鮎を循環することができ、次々に釣果を重ねることができました。

ポイント移動という判断が功を奏したことと、1尾1尾が大型ということもあり、満足のいく釣行となりました。
鮎釣りを楽しもう!
遊漁券の購入など規則もありハードルが高く感じることもありますが、よく釣れる状況であれば初心者でも数多くの釣果をあげやすいのが鮎の友釣りです。
近隣に鮎釣り可能な河川がある方はシーズン通して使用できる年券の購入や、筆者のように漁業組合への加入もおすすめです。
簡単に釣れる釣りながらも奥が深い、鮎の友釣りの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか?