ジープの電気自動車が初登場! 悪路走行モードも付く“野性仕様”なのだ
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    2024.11.20

    ジープの電気自動車が初登場! 悪路走行モードも付く“野性仕様”なのだ

    ジープの電気自動車が初登場! 悪路走行モードも付く“野性仕様”なのだ
    自動車の電動化は、SUVにも広がりを見せている。ハイブリッドはもちろん、外部充電が可能なプラグインタイプも増加し、さらに次世代のピュアEV(純電気自動車)も注目されている。その最前線ともいえる電動SUV「ジープ・アベンジャー」が登場した。老舗の四駆ブランドが放つ最新モデルの実力やいかに。

    ジープの伝統をコンパクトボディに凝縮してフル電動化

    アベンジャーってどんなクルマ?

    レジャー要素が強いSUVやオフロードビークルといえども、環境性能を無視することは許されない。むしろ、アウトドアでの使用が想定されるSUVだからこそ、環境に配慮した仕様であるべきだろう。ジープもその点においては妥協しておらず、これまでレネゲードやラングラーなどのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を展開してきたが、今回、ブランド初のピュアEV「ジープ・アベンジャー」をリリースした。

    ジープが属する自動車界の巨大グループ、ステランティスは共通の車台(プラットフォーム)やエンジンを用いつつ、それぞれのブランドが独自のデザインやセッティングを施すモデル展開を行っている。かつてフィアット・500Xとジープ・レネゲードが兄弟車として知られたように、今回のアベンジャーはフィアット・600eやアルファロメオ・ジュニア(現時点での日本導入時期は未定)とのファミリーツリーに属する。

    コンパクトなサイズながらもジープらしい力強さが表現されたアベンジャーのプロファイル。悪路走破性の指針となる、車体と地面との接触を避けられる角度(大きいほど干渉しにくい)であるアプローチアングルは20度、デパーチャーアングルは32度、ブレークオーバーアングルは20度、最低地上高は200mmを確保している。標準装着タイヤは215/60R17インチ だ。

    アベンジャーのボディサイズは全長4.1×全幅1.77×全高1.59m。ジープファミリーの中では、先述のレネゲードよりもひと回り小さく、つまりジープでは最小のコンパクトモデルという位置付け。トヨタ・ヤリスクロスとほぼ同等といえばイメージしやすいかもしれない。

     エクステリアは完全にジープらしさを備えている。フロントマスクには象徴的な7スロットグリルを配し、フェンダーも台形に近い形状で、Cピラー上端もコンパスなどに見られるデザイン処理がなされている。それらのおかげでアベンジャーが間違いなくジープファミリーの一員であることが視覚的にも伝わる。

    シンプルな造形のインストルメントパネル回り。視線の先のボンネットも水平基調でボディ前端やコーナー部分の見切りが良く、街中で取り回しやすい。10.25インチ モニターはApple CarPlayなどに対応。

    いっぽうのインテリアは泥臭さのない、モダナイズされたものとなっており、こちらは兄弟車であるフィアット・600eらとの共通性を感じさせる造形だ。水平基調のダッシュボードには小物棚、センターコンソールには大型ボックスが備わり、収納力は抜群。シフトセレクターはボタン式で、エアコンやオーディオボリュームなども物理スイッチとして残されており、直感的な操作が可能である。デザイン性と機能性の両立した作りは、アウトドア好きにも刺さるポイントだろう。

    広々とまではいかないものの、大人でも無理なく座れるリアシート。シートバックは前倒しが可能で、荷室の拡大にも役立つが、床面は完全なフラットにはならない。

     パッケージングも巧妙だ。コンパクトなボディながらも、後席には大人が乗車しても窮屈さを感じさせず、ラゲッジルームも通常時で355ℓを確保。荷室形状も他のジープ車と同様に張り出しの小さいスクエアなもので、荷物も積みやすい。実際の寸法は、通常時の幅が101cm、奥行き66cmで、後席を前倒しすれば奥行きは123cmまで拡大できる。トノーカバーまでの高さは39cmで、床下に10cmの深さが確保されているのも見逃せない。この点もアウトドアに最適なジープならではの魅力と言えるだろう。

    スクエアな形状で使いやすいアベンジャーのラゲッジルーム。床面は2段階での高さ調節が可能。リアバンパー下に足を入れるとテールゲートが自動で開く「ハンズフリーパワーリフトゲート」も標準装備される。

    老舗だからこそできた電動SUVの新しい味

    そして最大の特徴は、動力源に電動モーターを採用したEVならではの走りだ。アベンジャーはフロントモーターの前輪駆動方式で、スポーツハッチバックのような軽快な走りを実現している。フロントモーターは最高出力156ps、最大トルク270Nmと必要にして十分であり、この車体をグイグイ引っ張るジープらしい力強さが感じられる。

    前輪駆動ながらも力強い走りが魅力のアベンジャー。路面状況に合わせてセッティングが変わるドライブモードセレクトは、ノーマル/エコ/スポーツ/スノー/マッド/サンドの6パターンが選択可能だ。

    また、大容量バッテリーなどの重量物が車体の低い位置に集められているため、重心が低く安定性が高いのも美点だ。このクラスのモデルのなかにあって、走行中もどっしりとした乗り心地で、高架の道路でも横風の影響を受けにくいように感じた。そして見切りの良いデザインと扱いやすいサイズから、街中でも取り回しやすい。

    EVといえばシティコミューターとしての利用が適していると言われがちであり、アベンジャーももちろんその例に漏れないが、また一方で満充電時の走行可能距離はWLTCモードで最大486kmとされており、高速を用いた長距離ドライブも得意科目のひとつと言えるだろう。

    一充電あたりの走行距離は最大486km。普通充電と急速充電に対応する。

    今回は都内近郊のみの試乗だったため、ジープの真骨頂とも言える悪路走破性は未知数だが、前輪駆動車ながらもスノーやマッド、サンドなどが選べるドライビングモード「セレクテレイン」システムや、急坂でも安全に走行できる「ヒルディセントコントロール」を備えるなど、悪路への対策は万全だ。

    ラインナップはアルティテュードのモノグレードとなるが、発売記念として特別装備を施した150台限定のローンチエディションも用意される。

    ジープとしては初物のEVであるアベンジャーはむしろ、ジープだからこそ巧く実現できた電動SUVだといえる。デザイン、パッケージの良さはもちろん、レネゲードよりもさらにカジュアルな使い勝手を兼ね備え、レジャーから日常まで活躍してくれそうな期待の星。ジープやEVの入門モデルとして、アウトドア好きの選択肢の一台に加えてほしいモデルである。

    【ジープ・アベンジャー・アルティテュード】

    •  ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,105×1,775×1,595mm
    • 車両重量:1,570kg
    • 最低地上高:200mm
    • 最小回転半径:5.3m
    • 駆動方式:FWD
    • モーター:交流同期電動機
    • 最高出力:115kW156PS)/4,0707,500rpm
    • 最大トルク:270Nm27.5kgm)/5004,060rpm
    • WLTC電費:127Wh/km(一充電走行距離:486km)
    • 車両本体価格:¥5,800,000

     問い合わせ先

    ジープ

    TEL0120-712-812

     

    桐畑 恒治さん

    ライター&エディター

    1973年生まれ。琵琶湖のほとりで生まれ育ち、学生時代はスキー、スノーボード、サーフィン、釣りなど、ひと通りのアウトドアアクティビティを経験。自動車専門誌の編集記者となって以降はその活動も停滞気味だったが、フリーランス・ライターとなった現在は改めて外遊びを満喫したいと目論む今日この頃。まずは自分自身の相棒(愛車)選びも含めてクルマの魅力を探り、紹介していきたいと思います。

     

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