私がチャレンジしました! ライター 鈴木純平(左)
アウトドア、ライフスタイル誌を中心に執筆している編集ライター。豪雪地帯である山形県米沢市出身。実家は地元で除雪事業を営むだけあり、雪遊びには一家言あり。
無限の可能性が広がる雪原で震えながら楽しむ
キャンプの醍醐味は自然と一体になって楽しむこと。だとすれば、冬のキャンプでは雪を有効活用して遊ばなきゃね!
ということでやってきたのは標高1000mの森の中。温暖化や暖冬といわれる中でも雪があることに感謝しつつ、“新”しくて、“親”しみやすくて、そして寒さに“震”えながら楽しむ? 「シン・雪遊び」に挑戦した。
雪遊びの中にはカマクラ作りや雪の彫刻といった本格的な遊びもあるけれど、今回は冬キャン時に気軽に楽しめる簡単なものだけを厳選。昔ながらの遊びからイマドキなアレンジ法まで、7つの楽しみ方を紹介している。
無限の可能性が広がる雪原なら、大人も子供も関係なし。五感を研ぎ澄ませ好奇心に従って思いきり遊んでみよう! 中でも最も手軽でオススメなのが、雪を固めて作る家具やクラフト。湿気があって固まる雪でチャレンジしてみよう。
ただし、どの遊びをするにしても気にかけたいのが、そのときの雪質。午前中は気温が低く、雪がサラサラで固まりにくい。昼以降なら気温が上がって雪がしっとりし、アートなどを作りやすい。雪を見極めて遊ぼう。
雪があるだけで、冬キャンプがより一層楽しめること間違いなし。残り少なくなった冬を、思い切り満喫しよう!
雪遊びのポイント!
自由自在に雪を操れ!
寒さに備えるのはもちろん、雪が沁みて濡れないような防水の服を。
雪原はキャンバスと思え!
表現方法は無限大。まっさらな雪面に、アナタは何を描く?
防寒対策を忘れるべからず
湿気を帯びた雪は、自由に造形できる魔法のマテリアルなのだ。
雪遊び その1
形もサイズも自由自在!スノーファニチャー作り
難易度/★★☆☆☆
少ない荷物で雪上遊びを楽しめる、現地調達の雪ファニチャー作りはぜひ試してほしい。冷たいというのが難点だが、高さや幅も思いどおり。テーブルやチェア、ベンチなど、アイデアを形にしよう。
スコップで雪を集める
スコップを使って家具を作りたいところに雪を集める。積雪が少ない場合、深く掘りすぎると土が混ざってしまい、ファニチャーが汚れるから注意が必要だ。
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踏み固めて形を整える
雪を少しずつ踏み固めてシェイプを調整すればあっという間にチェアが完成。ラグやマットを敷けば快適に。
雪遊び その2
幻想的な光を灯す簡単アイスキャンドル
都会のイルミネーションのような照明はナンセンス。しんと静まり返った雪中キャンプでは、雪を使った暖かい光で過ごしたい。
雪玉でランタンシェード
難易度/★★☆☆☆
防水のLEDライトの周りを、雪玉で覆ってスイッチオン。すると雪がシェードとなって柔らかな光を演出。熱を発さないLEDライトならではの活用法だ。
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掘るだけ雪灯籠
難易度/★☆☆☆☆
用意するのはロウソク(ティーキャンドルは片付けも簡単)と、雪を掘削する道具(今回はスノーペグ)。
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掘っても崩れないくらいに固まった雪の壁面を用意して、拳大の穴を掘り、その中心にキャンドルをセット。
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キャンドルに火を灯せば、ふんわりと光が広がる簡易雪灯籠が完成。炎に風が当たらないように調整しよう。
雪遊び その3
クリエイティブを発揮! 木と雪のネイチャーアート
難易度/★☆☆☆☆
雪のクラフトなら雪だるまが定番だけど、もしそこに木があるなら創作の幅も広がる。ある程度湿気のある雪をすくって、木の幹に貼り付け、好きな形を作ってみよう。サイトの装飾や道標にするのもオススメだ。
1分もかからず誰でも簡単に作れるのが木の妖精。目、鼻、口に見えるように雪を貼り付ければ完成だ。
立体感を生かした雪うさぎ。周りに落ちている木の枝や石を使って顔や腕を作れば表現の幅も広がる。
木の裏から表に貫通しているデザインを作ろうと思ったが断念。試行錯誤の末にできたのは木をよじ登るトカゲ。
雪遊び その4
動物の足跡をたどってハンターごっこ
難易度/★★☆☆☆
雪に覆われていない土の上では発見しにくいけど、雪が降った後に動物が歩いた形跡があれば、すぐに発見できる。未踏の雪原を見渡して、動物や鳥の足跡を探して追跡してみよう。
森で見つけた足跡。これはノウサギに違いない……と思ったけど、どうやらニホンリスっぽい。ウサギはY字の足跡をつけるらしい。
これは海外のアニマルトラックのハンドブック。誤認を防ぐなら日本のものを選ぶべし。
雪遊び その5
氷レンズを作って火おこしに挑戦!
難易度/★★★★★
気泡の少ない透明なレンズを作ったり、光を一点に集めたりと、この遊びの難度は高め。でも各工程がうまくできれば火をおこせるぞ!
まずはゴム風船と水を用意。氷レンズは不純物のない水が望ましいが、今回は雪を煮沸したものを使用してみた。
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ゴム風船に水と空気を入れて口を閉じ、氷点下の屋外に放置。時間をかけて氷の凸レンズを作る。
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風船を割って氷レンズを取り出し、紙など燃えやすいとともに太陽光の元へ。虫眼鏡の要領で一点に光を集められれば、火をおこせる。
さらに盛り上がる2つの道具をご紹介
雪遊び その6
未踏の雪原をかんじきで歩く
スノーシューと比べて浮力は劣るが、軽くて取り回しもよく、ホームセンターで購入できる和かんじき。雪山を歩くならまだしも、雪中キャンプを行なうような場所であればこれで十分に雪原探索できる。
雪遊び その7
雪上ラジコンで自作サーキットを走る
キャンプとオフロードラジコンは、実はとても親和性がある。そこに雪があれば魅力倍増だ! 雪を固めてオリジナルサーキットを作るのも楽しい。
※構成・撮影/鈴木純平
(BE-PAL 2024年3月号より)