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    2023.09.06

    「お湯をかけると揚げ物に?」驚きのフリーズドライ最新事情&売れ筋ランキング

    アマノフーズのフリーズドライ食品
     お湯をかけるだけで、いつでもどこでも出来立てのおいしさが味わえるフリーズドライ食品。自宅で、キャンプで、山でと、お世話になっている方々はたくさんいることでしょう。じつは、2023年はフリーズドライにとってのメモリアルイヤー。ご存知「アマノフーズ」が日本で初となるフリーズドライ製品「フリーズドライお味噌汁」を発売してから、40周年を迎えたのです。そこで、40年の歴史を振り返ってもらおうとアマノフーズのマーケティング担当・武田喜英さんに話を伺ったところ、最新のフリーズドライは想像を絶する進化を遂げていることがわかりました! 

     気になる売れ筋フリーズドライ商品ベスト3も併せて発表します。

    フリーズドライの始まりは1940年代まで遡る

    アサヒグループ食品マーケティング担当の武田喜英さん

    マーケティング担当の武田喜英さん。本日はよろしくどうぞ。

     まずは、どのようにフリーズドライ食品が誕生したのかを振り返ってみましょう。

     現在のアマノフーズの起源は、1940年代に広島でスタートした「天野実業株式会社」です。50年代に入ると、元々ビールやお菓子の着色用に扱っていたカラメルを、日本で初めて粉末化することに成功。これがきっかけとなり、醤油や味噌など、他の調味料の粉末化にも着手するようになりました。

    「液体を粉末化することで、軽く、運びやすくする狙いがあったそうです。カラメルができるならば、とご依頼をいただくうちに、我が社は色々なものを乾燥させるいわば『乾燥屋』になったわけです。その後、粉末調味料が即席麺などのスープに採用され、ラーメンメーカー様とのお付き合いが始まりました」

     スープ用調味料をきっかけに、ラーメン用の具材の乾燥化の依頼を受け、社長が目をつけたのがフリーズドライでした。フリーズドライのネギを作るために導入した「真空凍結乾燥機」は、当時の価格で2億円もしたそうです!

     このフリーズドライのネギが評判を呼び、その後は他の具材も次々にフリーズドライ化に成功。みなさんがよく知る、あの即席麺に入っているエビ、卵、肉なども、じつはアマノフーズのお仕事です。フリーズドライの具材がなかったら、あの即席麺は私たちのよく知る形ではなかったかもしれませんね。

    「ちなみに、フリーズドライ技術自体は第2次世界大戦前から研究が始まっていたと言われておりまして、元々は医療用からスタートした技術だと伺っています」

     なるほど〜。

    製品化第一号は、ほうれん草のお味噌汁

    アマノフーズのナスの味噌汁

    アマノフーズの味噌汁「なす」。フリーズドライとは思えないおいしさ。

     対企業向けに作られていたフリーズドライ食品でしたが、1983年、家庭向けの商品が発売されます。記念すべき製品化第一号は、「ほうれん草と油揚げが入ったお味噌汁」でした。

    「当時、二代目の社長が奥さんの作った味噌汁を食べて、『これを味噌汁にすればいいんだ!』と閃いたそうです。この思いつきを製品化するまでは、なかなか大変な道のりだったそうで…」

     曰く、フリーズドライ化した具材、特に油揚げをお湯で戻すと、なかなかうまく食感が戻らなかったそう。そこで開発チームは何度も豆腐店に出向き、フリーズドライ化に最適な厚みや揚げ具合から油揚げを徹底的に研究したことで、やっと納得できる製品が仕上がりました。

    「単純にあるものをフリーズドライ化するわけではなく、適したものがなければ具材から自分たちで作る。これは、昔から今なお続く私たちの開発姿勢です」

     しかし、ここまで手をかけまくったこともあり、当時のフリーズドライはなかなかの高級品でした。発売当時の価格は、1食120円。現在よりも高いほどです。そのため、販売開始時は現在のように広くは流通せず、限られた百貨店や高級スーパー、飛行機のファーストクラスでのみ提供されていたとのことです。

    そもそもフリーズドライって、どんな技術なの?

    アマノフーズのナスの味噌汁フリーズドライのアップ

    「フリーズドライ」とは、その名の通り、冷凍した食品を真空状態にすることで水分を昇華させて乾燥させる技術です。別名「真空凍結乾燥」とも呼ばれます。

     水分が抜けた食品は、スポンジのような状態をイメージしてみてください。お湯を注ぐことで、この穴に水分が入り、乾燥していた食品が元に戻る仕組みです。

     乾燥しているため、軽く、常温で保存が効くのは、みなさんご存知のアウトドア向けなメリットですよね。しかし、レトルト食品や乾物、缶詰など、他の保存食と比べてみると、他にもメリットがいくつかあります。

    「まず、加圧加熱殺菌の必要がないので、栄養分や風味が失われづらい。特に繊細な出汁の風味を残すことができるのが、フリーズドライならではの特徴です。お味噌汁や素麺などにすごく向いています。さらに食材の復元性の高さもポイントです。食感や色味が乾燥前に近い状態に戻せることが、乾物と大きく異なります」

    揚げ物も登場! フリーズドライが進化を遂げた理由とは

    アマノフーズのフリーズドライ「かつ丼の素」

     さまざまな食品のフリーズドライ化が可能ですが、乾燥させる工程とお湯をかける工程は外せないので、フリーズドライに向かない食品もあります。例えば、お米やお餅、こんにゃくはうまく復元されず、脂っ気のある食品やサクサク感がある揚げ物も不向きとされてきました。

     しかし、この10年ほど、なんとアマノフーズはチキンカツや海老天、かつ丼などの揚げ物のフリーズドライの商品化を次々と実現させてきました。

     実際に食べてみると、中の具材はジューシーなのに衣はサクサク。言われなければ、フリーズドライとは気がつかないほどの復元具合です。

     いったいどのような技術革新があって、これらのサプライズ商品が生まれたのでしょうか。

    フリーズドライにお湯をかけている
    「じつは凍らせて乾燥させる技術自体は、70年代から一切変わっていません。ただアマノフーズは、お湯をかけた時にどうキレイに戻るかに力を入れています。そこを深掘りすると、戻す工程よりも凍らせる工程、そして凍らせる前の下処理をする工程に大きなポイントがあることがわかってきました。詳細は企業秘密ですが、揚げ物もフリーズドライ化前にいかにフリーズドライ向きに作るかがキモとなります」

    フリーズドライのカツ丼

     このノウハウを得るために、世の中の食品を片っ端からフリーズドライ化してきたそうです。お刺身、ケーキ、アイスクリームまで実験し、どこをどうすればキレイに戻るかを研究し続けてきた結果が、今日の革新的なフリーズドライ製品の誕生に繋がっているとのお話でした。

    人気商品は、昔も今もお味噌汁!

     かつては高級商品だったフリーズドライ食品ですが、近年は単身世帯を中心に家庭用としての需要が年々伸び続けています。特にお味噌汁はコロナ禍を経て需要が急増。2019年と2022年を比べると、売上はなんと1.2倍にも増えました。

    「この10年はサプライズ商品の開発や旗艦店の出店でフリーズドライ自体の認知を広げてきましたが、近年は原点に戻って、お味噌汁の普及に力を入れています。現在は60種類近いラインアップを展開しています」

    アマノフーズのフリーズドライ味噌汁「なす」「ほうれん草」「とうふ」
     なかでも、ダントツの一番人気具材は「なす」。続いて、「とうふ」、そしてブランドの原点でもある「ほうれん草」が売れ筋トップ3。生味噌タイプと比べると、どれも具材の食べ応えがあり、野菜をしっかり摂れる料理の一品になることが特徴です。

    「普通に味噌汁の具材のランキングだったら、なすが一位になることはないでしょうが、フリーズドライだからこそ、家庭では作りづらいなすが人気なのかなと考えています。我々どものなすは素揚げしているので、色も食べ応えも良いと評判です。個人的には、「里いも」も是非お試しいただきたい具材ですね」

     味噌汁以外にも目を向けてみましょう。気になる最近のベストセラーは、ほぐし身入りの「かに雑炊」。

    アマノフーズのかに雑炊

     続くのは定番商品の「たまごスープ」。そして急激に人気が高まっている「にゅうめん まろやか鶏だし」と続きます。

    アマノフーズのにゅうめん、カニ雑炊、卵スープ

    「お湯を注ぐだけで一品になるものが支持されているのかなと感じます。出汁が感じられるのはフリーズドライならではの強みなので、こうした和風の商品は特有の風味を感じていただきやすいと思います」

     これまでアマノフーズは、「世の中のあるゆる料理をいかにフリーズドライ化するか」に焦点を当てて製品の開発を行なってきました。しかし、今後はよりユーザーのニーズに応えられるような製品開発を進めていきたいとのこと。

     みなさん、アウトドアでバンバン使って、「こんなものが欲しい」の声を届けましょう。アマノフーズのフリーズドライに不可能はありません(たぶん)!

    ●問い合わせ先:アサヒグループ食品 https://www.asahi-gf.co.jp/

    撮影/矢島慎一 

    私が書きました!
    アウトドア編集者/ライター
    池田 圭
    サーフィン雑誌、登山雑誌の編集部を経て独立。さまざまな雑誌やWEBメディアで活躍中。共著に『”無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社)。編集者として担当した書籍は、⼆宮勇太郎『ハンモックハイキング』、猪野正哉『焚き火の本』、小雀陣二『焚き火料理の本』、山下舞弓『わたしの山登りアイデア帳』(以上、山と溪谷社)ほか多数。

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