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    2023.07.25

    夏休みの双眼鏡デビューにおすすめ!天の川の星雲・星団をガイド

    夏の天の川は「初めての双眼鏡」「初めての望遠鏡」にとって最適の観測エリアです。双眼鏡をのぞけば、肉眼では見ることの出来ない宇宙が広がります。初心者におすすめの星雲・星団をご紹介します。

    ちなみに、星雲とはガスや塵などが高密度に集まって雲のように見える天体、星団とは重力によってまとまった多数の恒星の集団です。

    さそり座アンタレスに双眼鏡を向けてみよう

    夏の星座の中でも、一番人気のさそり座から始めましょう。

    さそり座の1等星アンタレスは街中でも見つけられる赤い星です。アンタレスを見つけたら、双眼鏡を向け、アンタレスのすぐ下あたりを注意して見てください。ボヤッとしているのがM4という球状星団です。双眼鏡の視野にアンタレスとともに収まります。

    星雲や星団は双眼鏡で見ても、だいたいボヤッとして見えます。特に星雲に関しては、文書やサイトに載っているようなキラキラしたものを期待しないでください。写真を撮るときは、何分も、ときには何時間もかけて天体からの光を集め続けます。それに対して人間の眼はその瞬間の光しかとらえられないので、天体はずっと暗く見えて当然です。

    しかし、その目に飛び込んできた光が、何光年も離れた天体からやってきたものに他ならないと実感できるのが、眼視で観測する醍醐味かもしれません。ボヤッとしているところが、実はあの画像のようになっているのだなと想像してみるのは楽しいと思います。

    ただ、できれば双眼鏡は三脚に据えて見ましょう。手ブレがないだけでずっとよく見えます。

    1等星アンタレスとそのすぐ下にある星団M4。尻尾の方にM6とM7がある。S字マークのさそり座は、地平線からそれほど高く昇らないので、なるべく南が開けた場所で観察しよう。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    M4のMが表すのは?

    ところで、M4Mは「メシエ」のMです。18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエ(Messier)のMです。18世紀当時、彼が作った「星雲星団カタログ」に掲載された天体がM××と表記されているのです。これらは「メシエ天体」と呼ばれます。

    たとえば有名なオリオン大星雲はM42、プレアデス星団(すばる)はM45と表記されています。

    メシエ氏は彗星の探索に情熱を賭けた“彗星ハンター”として知られる天文学者です。星空には彗星のようにボヤッと見える星雲や星団がたくさんあります。そこでメシエ氏は彗星と間違えないように、あらかじめ星雲や星団の位置を明らかにしておこうとカタログ作りを始めたのです。

    メシエ氏が初めに記録した星雲「M1」は、おうし座にある「かに星雲」です。今から1000年ほど前、1054年に昼間でも見えたと記録されている超新星爆発した残骸の星雲です。そして、さそり座のM4はメシエ氏が4番目にカタログに載せた星団ということになります。

    NASAのハッブル宇宙望遠鏡でとらえたM4.星の集まりであることがわかる。© ESA/Hubble, NASA

    メシエ天体の分類

    メシエ天体は、大きく分けると星雲、星団、銀河などに分類できます。

    このうち銀河というのは、私たちの天の川銀河と同じ星の大集団で、「アンドロメダ座大銀河」とも呼ばれるM31が有名です。

    それに対して星雲・星団は天の川銀河の中の天体です。天の川が空を横切る夏や冬は星雲・星団が多く、天の川から離れた春や秋の空には銀河が多くなっています。星雲は薄く広がったガスが発光したり星の光を反射したりしている天体、星団はたくさんの星が集まって見える天体です。

    星団はさらに、散開星団とM4のような球状星団の2つに分類されます。散開星団は同時に生まれた星たちの集団です。数十から数百、多くて数千個の星の集まりです。プレアデス星団やプレセペ星団が有名ですね。

    これに対して、球状星団は非常に古い星の集団で、数万から数十万、数百万個もの星が密集しています。

    M4を見つけたら、次はさそり座のS字のしっぽのほうもトライしてみましょう。ここにも2つ、おすすめのメシエ天体があります。

    ひとつは「ちょう星団」と呼ばれるM6。もうひとつは「トレミー星団」と呼ばれるM7です。

    ちょう星団はその名の通り、星の集まり具合が蝶の形に似ていることからこう呼ばれています。トレミー星団は、「トレミーの48星座」で知られる2世紀の天文学者プトレマイオス(英語読みトレミー)が記録していることからこのように呼ばれています。

    いて座の方向は星雲と星団の宝庫

     次にいて座の方向に双眼鏡を向けましょう。天の川の中でボオッと見えるのが、M8の干潟星雲と、M20の三裂星雲です。

    いて座はティーポットのように線をつなぐとわかりやすい。ティーポットから立ち上る湯気のような位置にM8とM20がある。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    干潟星雲とはまた変わった名前ですね。この名前で呼ばれ始めたのは19世紀の終わりごろで、打ち寄せる波に見える構造があるからだと言われています。

    一方、三裂星雲というややおそろしげな名前は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像なら納得かもしれません。

    三裂星雲。望遠鏡で拡大してみると3つに裂けて見えることからこう名づけられたようだ。© NO

    星雲・星団を観測するときは、手元に星図があったほうがベターです。特に天の川にはたくさんの星があり、星雲・星団も山のようにあります。いて座の方向に、特に星雲や星団が多いのは、この方向に天の川の中心、つまり私たちの銀河の中心があるからです。

    ステラナビゲータで星雲星団を表示した図。天の川のいて座、さそり座のあたりは星雲星団が重なるほどひしめいている。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    星雲や星団がよくわからなくても、天の川に双眼鏡を向けてみるだけで十分、楽しめます。

    暗い所に行けば夏の天の川はまさにミルキーウエイのように見え、そのひとつひとつが星です。双眼鏡を向けると、星と星の間の、何も見えなかった暗い空間に天体が散らばっています。いろんな色をしています。その中にボヤッと見えるものがあったら、それが星雲や星団です。

    最後に、北半球でいちばん大きな球状星団をご紹介しておきます。

    ヘルクレス座の右脇腹あたりにあるM13球状星団です。7月後半のヘルクレス座は、夜中に天頂近くに昇ってきます。町明かりがある場所では、ヘルクレス座の形はなかなかわかりにくいものですが、暗い場所に行った時にはぜひヘルクレス座の線を結ぶと共に、右脇腹に双眼鏡を向けて、M13を探してみてください。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、星空のことはなんでも教えてくれる高機能天文シミュレーションソフトの最新版「ステラナビゲータ12」が販売中。

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