
燕三条の金属加工技術を活かす「ユニフレーム」
新越ワークスは、日本百低山のひとつ弥彦山を間近に臨む越後平野にあった。会社創業のきっかけであり、いまも経営の軸となるのは、金網を用いた厨房機器。例えば、ラーメンの麺を湯切りする「てぼ」は、国内シェア7割を誇る。
そんな卓越した金属加工技術と職人にプッシュされ、’85年に誕生したのがユニフレームだ。 ユニフレームとは、ユニークとフレーム(炎)を組み合わせた造語。新しい炎を創造することを目指して発足された。
最初はガラス細工に使う工芸用バーナーを作っていたが、’87年にガスヒーター、’89年にツインバーナーと、キャンプ用燃焼器具をリリースし、一挙に注目を浴びる。その後キャンプ用調理道具や焚き火台、テントなど、総合ブランドとしてユニークな製品開発を続けている。
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ありそうでなかった!「メタル薪」の魅力
メタル薪は、横にしたその上に、火種や薪を乗せて着火するだけで、誰でも簡単に火をおこせるユニークなギア。第4回BE-PALアウトドアアワード「アウトドアギア部門」にもノミネートされた注目のアイテムだ。
四角柱の4面に開けた穴や筒口から空気を取り込み、燃焼を促す。垂直に立てれば、煙突効果で燃焼効率アップ。焚き火台のサイズに合わせて使える大小2個セット。
焚き火台のサイズに合わせて大小を使い分けられ、重ねて収納も可能だ。
大サイズは同ブランド「焚き火ベースsolo」のロストルにピッタリ。
UNIFLAME(ユニフレーム) メタル薪
薪の間に空気の通り道を作るためのアイテム。四方に無数の穴が空いており、薪や炭に空気を供給し燃焼効率を大幅にUPしてくれる。使い方はいたって簡単。大・小セットの2本を薪の間に配置するだけ。
●サイズ:大/約4.1×23×H3.5cm、小/約3.1×18×H2.6cm
●材質:ステンレス鋼
●重量:大/約160g、小/約90g
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メタル薪はこうやって作られる!職人の手作業に注目
「メタル薪は構造がシンプルなので、作ろうと思えばどこでも作れるものです。ただ、弊社は数種類の金型を作って、量産できる体制にしました。高品質で均一、価格ではどこも勝負できない自負があります」 と、ユニフレーム事業部の加賀田さん。
本社の隣にある自社工場を覗くと、ちょうどメタル薪が産声をあげていた。暖房が隅々まで行き渡るオフィスのような工場で、最新プレス機がガチャンと鳴り響く。

新越ワークス ユニフレーム事業部 加賀田優織さん。新潟工科大学で建築コースを専攻し、新卒で入社した新潟市出身の28歳。休日は妻子や仲間とキャンプを楽しみながら、新商品に思いを馳せる。
金型は、車で10分の金型屋さんが手がける。その制作費は高価で、回収には何年もかかる。長く、多く売って、プロダクトとしての価値を高める先行投資だ。こうして、長い目で育てていくことに開発者としての喜びを感じると、一児の父である加賀田さんはいう。
「当社の商品の多くは、20年、30年選手です。子供と同じように大事に育てて、大人になって稼いでもらう。そんな想いでアイテムと触れ合っています」
材料は厚さ1mmのステンレス板。メタル薪のために作った金型を使ってプレス機で一枚一枚抜き取る。

穴あけも手作業。
抜き取った1枚の板に2種類の金型を使って穴を開ける。打ち抜いた穴の廃材は、スクラップされ再利用へ。
3つもの金型を通して、ようやく全容が見えてきたメタル薪。曲げる前に中央にブランドロゴの刻印を打つ。
プレス機(金型)を何度も通すとステンレス板は微妙に反ってしまう。精巧な曲げ加工を前に反りをとる。
四角柱にするための曲げ加工は、計4段階。職人が一回一回手作業で金型に合わせてセッティングする。
ロゴの刻印、反りとり、曲げ加工が効率よくひとつのエリアにまとまり、それぞれ職人の手で行なわれる。
メタル薪の曲げ加工をする職人は、加賀田さんと同じ28歳。ロゴ刻印をプレスする職人も同じ世代だ。職場も職人もフレッシュで、ものづくりの未来は明るい。
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