さすがはジープ!静かなモーター走行で自然を脅かさない「グラチェロ」試乗レビュー
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    2023.06.12

    さすがはジープ!静かなモーター走行で自然を脅かさない「グラチェロ」試乗レビュー

     

    いまやどの自動車メーカーにも欠かせないのがクルマの電動化だ。その目的は地球規模の環境保全、二酸化炭素の排出量削減にあるのはいうまでもなく、四駆の老舗たるジープも避けて通れない道である。もっとも、ジープは車両の電動化に積極的でラインナップの拡充に余念がない。その一台が外部充電機能をもつプラグインハイブリッドの「グランドチェロキー4xe」である。

    グランドチェロキー4xeってどんなクルマ?

    ベースとなるグランドチェロキーは、ジープ・ブランドにとってのフラッグシップに当たるモデルだ。一昨年にフルモデルチェンジを果たした際には、強靭なプラットフォームやシャシーを採用してこれまでと同様に高い悪路走破性を確保しながら、最新装備や先進運転支援システム等を充実させて快適性やラグジュアリー性を一段と高いレベルに引き上げている。日本市場にはまず3列7人乗りのロングホイールベース仕様が上陸し、続いてショートホイールベースの2列5人乗りモデルが加わった。エンジンは3.6ℓV62ℓ4ターボの2種が選べ、いずれも8ATと最新の4WD機構が組み合わされている。

    4xeグレードは5人乗りショートホイールベース仕様のみの設定。装備が異なる2種のグレードが用意される。水平基調のボディラインや台形のホイールアーチがジープらしい力強さを表している。

    そのグランドチェロキーのラインナップに加わった新モデルが、ショートホイールベース仕様の2ℓ4ターボ搭載車にふたつの電動モーターと駆動用大型バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドの「4xe」である。これはプラグインの文字どおり外部充電機能を備えており、家庭用等の電源につなげて車載バッテリーへの充電を可能としたもの。一般的なハイブリッド車よりも大きなバッテリーを積むため、使える電気の容量が多く、電動モーターのみでの走行距離が長いのが特徴だ。

    給電口は左フロントフェンダー上に備わる(給油口は左リアフェンダー側)。200V普通充電のみに対応となり、満充電時のモーター走行可能距離は約53kmを謳う。

    電動モーター単独での走行可能距離はバッテリー満充電時で最長53kmを標榜。ガソリンエンジンとモーターを効率的に働かせるハイブリッドモードでの燃費は10.4km/ℓWLTCモード値)と約2.4トン超のSUVとしてはまずまずの値を達成すると同時に、レギュラーガソリン仕様とされているのはユーザーには嬉しいポイントといえるだろう。

     自然に優しいプラグインハイブリッド

     実際にこのグランドチェロキー4xeに触れてみると、フラッグシップモデルらしいラグジュアリー性が高められていることが確認できた。4xeにはベーシックな「リミテッド」と装備を充実させた「サミット・リザーブ」の2グレードが用意されており、今回試乗した前者でも装備に不足はない。ヘッドアップディスプレイや10.25インチ・マルチビューディスプレイ、10.1インチタッチパネル式センターモニター、オートエアコン、アクティブノイズコントロール等々が標準で備わり、適度にデジタル化を図りながら使用頻度の高い物理スイッチは残すなど、旧き佳きアメリカンSUVの使い勝手のよさが継承されている。そのユーティリティの高さはすべての乗員に平等で、60:40分割可倒式のリアシートはリクライニングが可能となるほか、シートヒーターやUSBポートもしっかりと備わっている。

    メーターは10.25インチのカラーディスプレイ、センターコンソールにはタッチパネル式の10.1インチモニターを配置。ATセレクターがダイヤル式となっているのも特徴だ。

    そんな使い勝手の良さとともに注目したいのはやはりその走行感覚である。グランドチェロキー4xeではハイブリッドモデルらしく「エレクトリック」「ハイブリッド」「e-セーブ」の3つの走行モードが選べ、e-セーブ以外ではモーター駆動が主体となる。電気のみの力で走り出すそのマナーは、これまでの大排気量ガソリンエンジンを搭載したアメリカンSUVのテイストとは異なる新鮮な感覚。大地を踏み締めるタイヤの音がわずかに聞こえるなかでスルスルっとスムーズに、それでいてモーター駆動らしいダイレクトなパワーの湧出が感じ取れるのが新しい。

    ゆったりとしたサイズのフロントシートは掛け心地もソフトで、乗員の体を包み込むようにホールドしてくれる。リミテッドグレードのシート表皮は合成皮革となるが質感は高い。

    リミテッドのサスペンションは一般的なコイルスプリングが用いられ装着タイヤも18インチとなるため(サミット・リザーブはエアサスペンション+21インチ)、がっしりとした骨太な印象が強いものの、細かな凹凸が多い街中でも足の突っ張り感がない、重厚な乗り心地が味わえる。

    リアシートはバックレスト/座面ともにサイズ感は申し分なく、頭上や足元空間もたっぷり確保されているため居心地がいい。3段階のリクライニング機構も備わる。

    “クォドラトラックⅡ”4WDシステムによる悪路走破性の高さはいわずもがな。筆者自身はベースモデルでその安定性の高さや安心感を味わっているから、同じ四駆機構を持つ4xeでも不安を抱くことはないと思っている。むしろ電動モーターが加わったことによるドライバビリティの向上で、さらに走りやすさが増したのではないだろうかと期待値は高まるばかり。また別のタイミングで試してみたい。

    荷室は前後長、左右幅も十分で、余計な凹凸も少なく積載性は高い。60:40分割可倒式のリアシートを倒せばほぼフラットなフロアが生み出せる。

     もうひとつ、このモデルが気になる人に伝えておきたいのは、オフロードを走る際にもモーター走行は有効だという点。しずしずとしたその歩みは自然界に生きる動物たちを無闇やたらと驚かせることもなく、綺麗な空気を汚すこともない。プラグインハイブリッド化で運動性能やラグジュアリー性を向上させただけでなく、自然にも優しくなれるのがグランドチェロキー4xeの魅力。アウトドアマンにとっての格好のパートナーとなりうる存在だ。

    後方視界も優れており、さらにブラインドスポットモニターやサラウンドビューモニターも備わるなど、死角が少なく運転しやすいのもグランドチェロキーの美点だ。

    ジープ・グランドチェロキー リミテッド 4xe

    • ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,900×1,980×1,810mm
    • 車両重量:2,410kg
    • 最小回転半径:6.0m
    • 駆動方式:4WD
    • トランスミッション:8AT
    • エンジン:直列4気筒ターボ 1,995cc
    • エンジン最高出力:200kW272PS)/5,250rpm
    • エンジン最大トルク:400Nm3,000rpm
    • P1モーター最高出力/最大トルク:46kW63PS)/54Nm
    • P2モーター最高出力/最大トルク:107kW145PS)/255Nm
    • WLTC燃費:10.4km/ℓ
    • 価格:10,370,000円(税込み)

    問い合わせ先

    TEL0120-712-812

    https://www.jeep-japan.com/

     

    私が書きました!
    ライター&エディター
    桐畑恒治
    1973年生まれ。琵琶湖のほとりで生まれ育ち、学生時代はスキー、スノーボード、サーフィン、釣りなど、ひと通りのアウトドアアクティビティを経験。自動車専門誌の編集記者となって以降はその活動も停滞気味だったが、フリーランス・ライターとなった現在は改めて外遊びを満喫したいと目論む今日この頃。まずは自分自身の相棒(愛車)選びも含めてクルマの魅力を探り、紹介していきたいと思います。。

     

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