

車体はペールブルーという爽やかな朝の空を思わせる色。ボディーカラーは全6色展開している。
果たしてドライバー不足の救世主となるか!?
AT限定免許の辛酸メモリー
「え〜、オートマ限定なの?」
かつてラフティング会社で働き始めた私はすぐに“トラックが運転できないヤツ”と烙印を押された。すぐさま5時間の教習を受け、限定を解除した経験がある。
あれから25年、たいていの車は転がせるようになった。あのころの自分に教えてあげたい。普通免許AT限定でも運転できるトラックがあるんだよと。
昨年7月、「だれでもトラック」をコンセプトに誕生したいすゞのエルフミオ。車両総重量は3.425t(※)、現行の運転免許証「普通」で運転できる。しかもオートマ。マニュアル主流のトラックに新風が吹いた。アウトドアでも使えるんじゃない!? 早速、乗ってみることに。
※今回試乗した「平ボディ スペースキャブ フルフラットロー リアダブルタイヤ」仕様の場合。
本記事の数値表記は同仕様のもの。ちなみに、シングルキャブ(2人乗用)やダブルキャブ(6人乗用)もある。
アウトドアでの活用、期待大
「お! 四角い顔!」エルフミオと対面、トラック然とした顔をしていた。だが車体を横から見ると思いのほかコンパクトさを感じ、何よりペールブルーという色が愛らしい。
実際に運転してみると、想像以上に小回りが利いて8〜9人乗りのワンボックス車を動かしているような感覚だった。そして、アウトドア的使い勝手を研究。色々な荷物を載せてみた。
今回試乗したエルフミオは、スペースキャブという運転席後ろに奥行き約30㎝のスペースがあるタイプ。ひと家族分のキャンプ道具や60ℓほどの大型ザックなら数個が十分に収まりそうなうれしい空間があった。
この部分は荷台側にもキャビンに食い込むようにスペースを生み出している。平積みは無理かと思われたサーフボードもこの空間のおかげですっぽり収納。カヤックは積載制限をクリアできた。大抵長尺ギアは車の上に載せるが、腰の高さの積み込みはなんとも楽。
そして、後部の荷台は、3畳ほどの広さがある。テントを張って椅子やテーブルを設えてみると、なかなかにいい具合になってきた。小高いテラスのような、自分だけのデッキのでき上がり。
「見晴らし良くて、いいわぁ〜」
最大積載量は1.2t。たっぷりの積載量は申し分なし。あらゆるアウトドアシーンでの活躍が期待できそうだ。物を運ぶのがトラックの本来の役割だが、エルフミオは誰でもが運転できるという点で、「遊び」のシーンでの期待度が大いに高まる。
2017年に改正! 運転免許証の変革

2017年3月12日に道路交通法が改定され、「準中型免許(7.5t未満)」が新設。普通免許は3.5t未満となった。ちなみに、ライタースドーのように2007年6月1日以前に普通免許を取得していると、現行では中型免許(8t限定)になっている。
「だれでもトラック」のココが花マル

試乗したのは運転席後ろに空間がある「スペースキャブ」。休憩も快適。

乗用車と比べ作りはシンプルだが座り心地は大差なし。標準装備のラジオはBluetooth対応。USB電源あり。

シート後ろの空間は奥行きが約250〜300㎜弱で収納力がある。シュラフなど濡らしたくないものはここへ。
小回りぐんぐん、ワンボックスくらいの感覚
いすゞ/エルフミオ
¥3,818,000円(税抜き)※希望小売価格
問い合わせ先:いすゞ自動車 お客様相談センター TEL:0120-119-113


【車両データ:平ボディ スペースキャブ フルフラットロー リアダブルタイヤ】
●ボディーサイズ:全長4,690×全幅1,695×全高1,960㎜
●車両重量:3,425㎏
●荷台内寸法:長さ2,820(キャブ下部分を含む長さ3,115)×幅1,620×アオリの高さ380㎜
●荷台地上高:830㎜
●乗車定員:3名

キャビンは大きく感じるが車幅にはだんだんと慣れてくる。運転時は目線が高く眺めがいい。
こんな使い方、アリですね!

荷台は3畳弱。2人用テントを張ると少しだけ寛ぎスペースができる。野鳥観察、食事、自由自在に。

前方に295㎜の食い込み部がある。

サーフボードは長さ約2860㎜。カヤックは約3700㎜、後方のはみ出しは車体全長の10%以下に収めて積めばOK。
アウトドアカスタムも夢じゃない

あくまで参考のカスタマイズイメージ(商品化はしていない)だが、無骨さがなんともかっこいい。心躍るアソビ車!
※構成/須藤ナオミ 撮影/亀田正人 協力/いすゞ自動車
(BE-PAL 2025年5月号より)