いざというとき、ササッとロープが結べるとアウトドアズマンとしてカッコイイ!
とはいえ、なかなか覚えられず、苦手意識を持っている人も多いはず。
今回はさまざまな野外活動を通じてベストな結び方を経験してきた達人による、ロープワークの応用編をお届けします。
教えてくれる人 藤原祥弘さん
野生食材の採集と活用、保存食づくり、家庭菜園、養蜂、人力旅行などなど、生存技術と生活技術の根源にある野外活動を研究。著作に『"無人地帯"の遊び方』(共著)など。
ロープワークの機能はふたつだけ
リバーガイド、登山、釣り、人里離れた場所での夜営……。さまざまな野外活動に取り組むなかで、いろんな結びを覚えては忘れることを繰り返してきた。
結局、手元に残ったのは基礎編に登場した結びと、ここで紹介する結び。「本当に使える自分のスタンダード」をいくつか覚えれば、あとはその応用でほとんどの状況に対応できる。
世にはたくさんの結びがあるが、突き詰めればロープワークには2つの機能しかない。ひとつは「摩擦による固定」。もうひとつは「動滑車での倍力」だ。
多くの結びはロープを幾重にも絡めることで摩擦力を高め、一時的にロープや物を固定する。簡単に結べて、保持している間は動かず、ほどくときには簡単に解放できる。そんな結びが良い結びといえるだろう。
「動滑車での倍力」はロープ上に作った結び目を動滑車にしてロープを引く力を倍加させる技術。1の力を加えれば、それを2倍、3倍に増幅する。
摩擦による固定と動滑車の原理。この2つを組み合わせれば、野外活動のほとんどのシーンに対応できる。
実戦的なロープワークの習得におすすめの訓練法が、タープ1枚でキャンプをすること。自然の地形に合わせて創意工夫するうちに、自分に合ったロープワークが身につけられる。
※実際に結ぶ際、木に強い力がかかるときは、緩衝材を使い樹皮を保護するようにしましょう。
引き解けふた結び
引っ張るだけでほどける!
↓
ダブルフィッシャーマンズノットでプルージックを作る
クレイムハイスト×小枝でタープをビンビンに張る
小枝でロック!
引き解け結びの動滑車で倍力!
引き解け結びの動滑車×巻き結びでしっかりペグダウン
結ばない結び
ノーノットで固定
力がかかったロープは結びにくいので、結ばずに力を保ったまま木に巻き付け、樹皮との摩擦で押さえる。末端は最後の巻きに数回巻き込んで処理。
※係留の際、犬が拘束されたり宙吊りにならないよう注意して設営してください。
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一 イラスト/うぬまいちろう
(BE-PAL 2023年2月号より)