大人は手出し無用!子供の自立心を育てるオランダの秘密基地作りとは | 自作・DIY 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.01.06

    小学生による自作の小屋が、まるで村のように立ち並ぶ。

    オランダはDIY大好き人間が多い国。台所の施工など大掛かりな工事も個人でやってしまう人もいます。そして子ども向けモノづくりイベントも規模が違う!そのひとつ「Huttendorp(フッテンドルプ)」をご紹介します。

     夏休みの4日間で、小屋をつくる

    Huttendorpとは直訳すると「小屋の村」。小学生が「小屋を作る」イベントですが、これが夏休みにはオランダ全土あちこちの公園や広場で開かれます。小屋と言っても木製のパレット(物流に使う簀の子状の薄い台)を釘で打ち付けて組み合わせる単純な作りですが、たった4日の間に、どんどんと小屋が立ち並んでいく様子はまさに圧巻。そしてそのどれもが、子どもたちのアイデアや個性があふれる素敵な「秘密基地」のような小屋なのです。

    小屋づくりはこの「パレット」を組み合わせるのが基本。歪んでいないしっかりしたパレットを選ぶことが大事。

    わが家の近所の緑地広場でも、公民館主催のものが毎年7月に開催されています。月曜から木曜の日中(1016時)、4日間かけて小屋を作り、金曜には全て片付けるという流れ。子どもたちは毎日お弁当持参で自宅から通います。対象年齢は6歳~12歳。事前申込制ですが、毎年早く埋まってしまうほどの人気です。地元の企業も協賛し、参加費は約4500円と格安なのも人気の一つです。

     好きなように作ってよし!全て子どもたちの自由

    月曜の朝。会場の緑地広場へ行くと、すでにゲート前に多くの親子が集まっています。ゲートでは入場時の靴をチェック。作業中にパレットやハンマーを足もとに落としてしまうこともありますし、地面にたくさん釘が落ちるので、サンダルでは中に入れません。安全管理については運営スタッフ、ボランティアに加え、DIY経験豊かなDIY専門スタッフ、救急員が常駐します。

    運営スタッフは黄色、DIY専門スタッフは緑と、Tシャツの色でわかるようになっている。

    ユニークなのが、小屋つくりについては基本的に全て子どもたちに任せられていること。誰と一緒に作るかも、どんな小屋を作るかも、子どもたちの自由です。友だち同士で申し込むことが多いのですが、その場で他のグループと合流したり、人数が少ないからとスカウトしたりというシーンが見られます。

     グループが決まると、まずはパレットの運び込み。これはさすがに重労働なので、最初の1時間だけは保護者が手伝ってもよいことになっています。それ以降、保護者は立ち入り禁止で、送迎と昼休憩時に少し覗くことができるだけ。子どもたちだけの、自由で大きなものづくりタイムの始まりです。

     小さい子は小さい子なりに、大きい子はこだわりを持って

    さて2022年の夏には、わが家からも12歳の長女と9歳の長男と7歳の次男が参加しました。長女は3回目、長男と次男は初参加です。それぞれのクラスメイトや友達とグループを作って、小屋づくりに挑みます。

    慣れない手つきだけど、懸命に釘を打つ子どもたち。

    昼休みが始まる頃、どのような様子か見て回りました。まずは7歳の次男。友達と並んで壁に釘を打ち付けています。どうやら自分のバッグを引っかけておくフックを作っているようで、ハンマーを重そうに持ち上げています。でも大きなパレットに、カンカンと釘を打っているだけでみんな楽しそう。

    次に9歳の長男。次男の小屋は壁となるパレットを横に置いていましたが、こちらは縦向きに設置。少し天井が高めの小屋になりそうです。

    「ここ、玄関みたいにしようよ」

    「もうひとつパレット持ってきて、床を広くしたほうがいいんじゃない?」

    どんな小屋にするか、作りながら相談しているようです。

     最後に12歳の長女。彼女はこの夏に小学校卒業のため、今回が参加できる最後の年です。クラスの仲良しグループですでに設計図も考えてあり、意気込みも人一倍。ちなみにこの会場では毎年テーマがあり、それに合った形や飾りつけをするのですが、今年のテーマは「サーカス」。長女たちは巡業するサーカス団の移動バスをイメージした、横長の小屋を作るそうです。

     さらに10歳以上の子は4日目の夜、作った小屋に泊ることもできるので、「泊まれる小屋」を目指して本気モード。中が汚れないように靴を脱いでおく場所、寝場所の位置なども考えながら建てています。

     かなり厳しい、2階の増築前チェック

    2日目、3日目と日を追うごとに、会場である緑地広場の様子がどんどん変わっていきます。そして2階建て小屋が出現。しかし2階を増築するには、DIYスタッフの厳しいチェックに合格しないといけません。しっかり釘打ちされているか、基礎が歪んでいないかを確認。最後に1階部分の天井にスタッフが乗ってジャンプ!これまた、体の大きいスタッフが容赦なくジャンプするのですが、かつて長女はこのチェックで天井が見事に抜けて、作り直しになったことがありました。でもこれも、子どもたちの安全を守るための大事な作業です。

    DIYスタッフたちによる厳しいチェック。チェック項目は公表されています。

    4日目、作業最終日。ブルーシートで覆われた小屋がちらほらあります。パレットは隙間だらけなので、泊る予定のグループは屋根や壁部分をブルーシートで覆い、雨風除けにしているのです。飾りつけをして賑やかな小屋も増えてきました。完成に向けて、いよいよラストスパートです。

     ついに完成!賑わうお披露目パーティー

    さぁ、4日目の作業も16時に終了。子どもたちは一旦帰宅し、再び18時に集合します。まずはできた小屋でグループ一緒に夕食タイム。会場でスタッフが用意してくれたホットドッグを美味しそうにほおばります。19時からは親も入場し、完成お披露目パーティーです。子どもたちの歌やダンスの出し物が続く中、小屋を見てみると、本当にバラエティ豊か。小さい子は小さい子なりの、大きい子は本格的な、自分たちの秘密基地を見事に作り上げていました。

     長女の小屋は計画通り、居心地も良さそうで、ハンドルやタイヤの装飾もつけた移動バス風小屋に。長男は高く建てた柱にブルーシートをかけて、サーカステント風。次男は、床・壁・天井というシンプルな作りですが、ペンキを塗ってカラフルにしていました。

    長男のサーカステント風の小屋。このグループは少人数だったので進みがゆっくりでしたが、頑張って完成させました。

    ここからはいくつか過去開催分の完成作品をご紹介。テーマが「海」の年で、12歳女子たちのグループの小屋。寝室となる2階にはカーテンをつけたり、外側も凝った装飾で飾り付けられていました。

    屋根が特徴的な小屋。パレット以外にもいくつか木材のパーツがあり、自由に使えます。

    パレットを裏返しにして、そのままはしご代わりにした小屋。2階が広く、寝心地も良さそう。

    この年のテーマは「お化け屋敷」でした。小屋の周りを囲う塀があるのがポイント。これがあるだけで、古い立派なお屋敷の雰囲気が出ていました。塀の内側には、木材で作られた十字架も刺さっています。

    最後は子どもも保護者もスタッフも、みんなで音楽に合わせて踊り、子どもたちが最後までやり遂げたこと、そして完成を祝います。オランダの夏は日が長く、日没は22時頃。やっとうす暗くなってきた頃パーティーは終わり、泊る子どもたちは寝床の準備をします。宿泊時はグループに付き1名、保護者が同伴して一緒に泊ります。テント泊とも違う、自分たちで建てた秘密基地でのお泊り。きっと格別な体験だったことでしょう。

     何ごともなかったかのように全てを片付け、また来年へ

    最終日の金曜。会場に着くと、すでに解体作業が始まっていました。「もう壊しちゃうの、やだなぁ」と長男は寂しそう。でもあれだけ苦労して作った小屋も、どんどん解体し、パレットと釘に分けていきます。

     地面にたくさん釘が落ちているので、それらも丁寧に拾い集めます。細かい釘は、大きな磁石を引きずって回収。こうして緑地広場は元通りになり、子どもたちの大きなモノづくりイベントは無事に終了しました。

    建てるのは大変だったけど、片付けはあっという間。

    こういった小屋を作る機会は、夏休みイベントだけではなく、常時体験できる場所もあります。例えば様々な野外活動ができる大きめの公園へ行くと、アスレチックコーナーなどと並んで、Huttendorpコーナーがあることも。そこではパレットや釘はもちろんハンマーも用意されているので、いつでも手ぶらで小屋つくりや、大型の木工制作を体験できます。日本でも野外でモノづくりを行うプレーパークが増えてきていますが、オランダのまさかの小屋つくりというスケールの大きさには驚かされます。

     さて、子どもたちに感想を聞くと、口を揃えて「楽しかった!また来年もやりたい!」と。長女は「もう参加できないの、つまらないなぁ」とぼやいています。でも高校生になったら、今度はボランティアスタッフとして参加してみたいと話していました。

     それだけ、自由で大きなモノづくりは楽しく、やりがいがあったのでしょう。初参加だった長男・次男は今回初めて学んだことも多かったと思います。それらの経験を活かし、次はどんな秘密基地を作り上げていくのかなと、私もとても楽しみにしています。

     <写真提供 Huttendorp de Meent

    私が書きました!

    オランダ在住ライター 福成海央

    ライター&科学コミュニケーター。福井県立大学海洋生物資源学研究科修了。スノーケリング教室のインストラクターバイトをきっかけに環境教育の道へ。その後「自然環境を伝えるのには科学が重要!」と気づき、科学コミュニケーターとして科学館に勤務。現在はオランダの教育、自然、ミュージアム関連の執筆を行うほか、現地にて日本語で学べるサイエンスワークショップ・プログラミング教室を開催しています。毎日おいしいチーズが食べられて幸せ。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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