
じめじめとした梅雨の時期の空間や心を整えるひとときに。また、屋外での虫除けとしても、やさしく香ります。
自然とともにある香り~杉葉香作り
「杉」と聞くと、花粉症のイメージから少し身構えてしまう方もいるかもしれません。でも実は、杉には古くから空間を清める力があるとされ、寺社仏閣では浄化の香として焚かれてきた歴史があります。

杉葉香は、そうした浄化の目的で用いられてきたお香のひとつ。また、防虫効果も期待できるため、屋外で焚けば、虫除けとしても役立ちそうです。落ち葉を燻したような素朴で、どこか懐かしい香りがあります。

通常、お香作りには「タブ粉」と呼ばれるつなぎの材料を使いますが、杉の葉にはそれに似た成分が含まれているため、タブ粉を加えずに作ることができます。
自然素材だけで仕上げられるのも、杉葉香の大きな魅力です。今回は、初心者でも簡単に挑戦できるコーンタイプのお香の作り方を紹介します。
【杉葉香の作り方】
【材料】
杉の葉 適量
湯(または水) 適量
【準備する道具】
すり鉢&すりこ木
フードプロセッサー(あるととても便利です)
<下準備>
- 杉の葉をきれいに洗い、カラカラになるまで乾燥させます。

<作り方>
(1)乾燥させた杉の葉を枝から外します。

(2)すり鉢に杉の葉を入れて粉状にします(杉の葉は少し残しておきます)。


(3)湯を少しずつ加えて、混ぜ合わせます。

湯は一気に入れてしまうとゆるくなるので、様子を見ながら少量ずつ加えます。
仕上がりは、耳たぶより少しやわらかいくらいにします。水が多すぎると乾かしたときにひび割れの原因になるので注意します。
(4)手のひらで丸く固めて、指先でコーン状になるように成形します。

成形したお香を数日かけてしっかりと乾燥させます。

コーンタイプは、短時間で一気に香るのが特徴。
三角錐の先端に火をつけます。下にいくほどに香りが強くなっていきます。
火をつけて燻(くゆ)らせる
香りを嗅ぐ際は、お香から20~30㎝ほど間隔をとって香りを吸います。
香りは、火種の部分(燃えている)より少し下の温かくなった辺りから芳香を放ちます。同じお香でも、その日の天候、気温、湿度などによって香りの広がり方が変わるので、その違いを楽しむのもいいですね。

杉の葉の効能
杉には、抗菌作用があり、空気中の雑菌やウイルスを抑える効果があるとされています。お香として焚くことで、空気中の浄化になり、屋外での虫除け、お部屋の環境を整えるのに役立ちます。
1日の始まりやお掃除の仕上げ、リフレッシュしたいときなどにも。

季節の節目を香りでととのえる
日本には、6月と12月の終わりに「大祓(おおはらえ)」という、心身のけがれを祓い清める習わしがあります。杉葉香は、そんな季節の節目や、暮らしの切り替えのタイミングに、そっと火を入れてみたくなる香りです。特別な日でなくても、雨の日や少し気持ちを整えたい午後にもおすすめ。
一年を通して作ることができるので、思い立ったときに、森の香りとともに心を整える時間を楽しんでみてください。