朝晩の冷え込みがキツくなってきた。こんな季節のキャンプではすぐにお湯が沸かせるケトルが大活躍。そこで、アウトドアライターのホーボージュンが、熱伝導率に優れたふたつの製品をレビュー!
Classic
ノルウェー製の銅底ステンレスケトル
イーグルプロダクツ/キャンプファイヤー
ケトル1.5ℓ
北欧らしいクラシカルな見た目が魅力の焚き火ケトル。本体はステンレス製だが熱伝導率に優れた銅を底面にコーティングすることで素早くお湯が沸かせる。木の枝に吊りやすいつる形状や樹脂パーツを一切使わないなど、ブッシュクラフトを見据えたデザインだ。
¥9,900
問い合わせ先:スライブ 044(789)9328
SPEC
サイズ=φ16.5×8㎝
容量=1500㎖
素材=ステンレス(底部銅メッキ)
重量=360g
クラシカルな外観と伝統的な銅底が魅力!
僕が長年愛用してる焚き火用ケトルがコレ。ノルウェーの『イーグルプロダクツ』が製造するクラシカルなモデルだ。
本体は頑丈なステンレスで作られていて、熱変形に強く、直接焚き火にくべても歪んだり割れたりする心配がいらない。また錆びにも強いので、シーカヤックツーリングなど海水に濡れる環境でもガンガン使える。
そしてコイツの最大の特徴が本体底面に施された銅メッキだ。銅の熱伝導率は372(W/mK)でアルミの204、鋳鉄の48、18–8ステンレスの16などと比べると圧倒的に高く、熱がよく回る。そのため古くから鍋類に多用されてきた。いまもレストランなどプロの厨房では銅鍋が活躍している。本作はそんな銅の熱伝導率を活かした構造をしているのだ。
注ぎ口が上面にあるため余計な出っ張りがなく、直径18㎝のコッヘルや鍋にすっぽり入り運搬もしやすい。木の枝やトライポッドから吊り下げやすいように上部が曲げられたハンドル(つる)は、畳んだときはDリングでロックでき、運搬時もガチャつかない。細部までじつによく考えられているのだ。焚き火の相棒としては最高の一品である。
ここがスゴい!
銅をメッキ処理し熱伝導率を向上
焚き火での使用を前提としたつる
運搬時にはD環でつるをロックする
Modern
アメリカ製の吸熱用フィン付きケトル
GSI/ハルライトティー
ケトル1.8ℓHS
アルミニウムで本体を成型したあとに硬質アルマイト加工を施し、表面硬度をアップさせた「ハルライト」素材を採用。頑強で引っ掻き傷や焼け跡がほとんど付かない。底面にヒートシンクを内蔵していて、焚き火やバーナーの熱を余すところなく本体に伝える。
¥7,920
問い合わせ先:エイ アンド エフ 03(3209)7575
SPEC
サイズ=φ15.9×15.2㎝
容量=1800㎖
素材=ハルライト(硬質アルマイト加工アルミニウム)
重量=304g
ヒートシンクを搭載し余すところなく吸熱!
いっぽう現代の熱効率アップテクノロジーといえば「ヒートシンク」だろう。熱伝導率の高いアルミプレートをジグザグに折り曲げた「吸熱用フィン」を底面に貼り付け、このフィンでバーナーの熱を大きな面積で受け取って本体に無駄なく伝えるシステムである。
底面の外周にフィンを配したスタイルは、ケトルの側面を舐めて外へ出てしまう炎(カロリー)も無駄なく捕らえるので、非常に熱効率がいい。
なお、本体にはハードアルマイト処理を施したアルミ素材「ハルライト」を使い、軽くて頑丈。表面が強力に硬化しているから、フォークなどで擦っても傷つかない。また大きな開口部は給水しやすく大量にお湯を沸かすのにも便利だ。こういったことからハルライトシリーズは以前から人気があったが、今年はこれにヒートシンクを取り付けたこのHSモデルが追加された。
僕もさっそく使ってみたが、真冬のキャンプなど少しでもヒートロスをなくしたい場面ではもちろん、普段も短い時間でお湯が沸騰するため時短と省燃費につながる。秋冬のキャンプにぜひ加えたいアイテムだ。
ここがスゴい!
ヒートシンク搭載で熱効率30%アップ
おちょぼ口だが液ダレはしない
大きな開口部は水汲みがとても楽
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2022年12月号より)