
キャンプ道具としては重くかさばる印象のあるル・クルーゼ。でも実は、優れた蓄熱性で、少ない火力でもじっくり調理できる頼れるホーロー鍋です。
燃料の節約にもなり、煮込みや無水調理もお手のもの。今回は、そんなル・クルーゼがアウトドアで活用できるワケを深掘りします。
ル・クルーゼとは?

ル・クルーゼは、1925年にフランスで誕生した鋳物ホーロー鍋の老舗ブランドです。厚みのある鋳鉄にホーロー加工を施した鍋は、保温性と耐久性に優れており、煮込み料理や焼き料理に適しています。
カラーバリエーションが豊富で、テーブルにそのまま出せる美しさも魅力のひとつ。料理好きの家庭では「一生モノの鍋」として重宝されています。
ル・クルーゼの魅力
蓄熱性が高く少ない火力で調理できる

ル・クルーゼの最大の特徴は、なんといっても高い蓄熱性です。鍋自体がしっかりと熱を蓄えるため、一度温まれば、少ない火力でも調理が続けられます。
中火で一度料理を沸騰させたのちに極弱火にしても、沸騰した状態を保てるのです。バーナーの燃料であるガスの消費を抑えられるため、燃料が限られるキャンプでは非常に心強いポイントです。
また、真冬のキャンプでは調理した料理がすぐに冷めてしまうのがネックです。その点、ル・クルーゼは一度温まるとなかなか熱が冷めず、中の料理の温かさを保つため重宝します。
煮込み・炊飯・無水調理が得意

ル・クルーゼは密閉性が高く、蓋がドーム型のため、中で熱と水蒸気が対流する形状です。食材の内側からゆっくりと加熱し、食材の旨味を引き出します。

鍋とフタの間には、わずかな隙間があります。適度にあいたこの隙間から余分な蒸気がゆっくりと逃げていき、素材の旨味が凝縮されるのです。
そのため、じっくり火を通す料理に最適。牛すじカレーやビーフシチュー、丸鶏の煮込みなどの料理を美味しく仕上げることができます。
また、食材の水分を活かす“無水調理”や、ふっくらとした炊き込みご飯も得意。キャンプで少し贅沢な食事をしたいときには、まさにうってつけの鍋です。
料理をそのままテーブルに出せる見た目の良さ

鮮やかなカラーと洗練されたデザインも、ル・クルーゼの大きな魅力です。料理を鍋ごとテーブルに出せば、それだけで映える食卓に。
キャンプでは食器の数を減らしたい場面も多いため、調理鍋としてだけでなく、サービング容器としても活躍してくれます。写真映えもばっちりなので、SNS投稿にもGOODです。
正しく使えば一生モノ

ホーロー加工された鋳鉄製のル・クルーゼは、耐久性も抜群。
正しく扱えば10年、20年と長持ちするため、アウトドアのような環境でも安心して使えます。傷や錆びにも強く、使い込むほどに風合いが増す点も、キャンパー心をくすぐる要素のひとつです。
気をつけてほしいのが、調理の際は中火以下で使用すること、表面のコーティングは急激な熱変化に弱く、ひび割れがおこるリスクがあるからです。
また、調理後の掃除に、メラミンスポンジや金だわしは使わないようにしましょう。コーティングに傷がつく恐れがあるからです。
もしも、焦げつかせてしまったら、重曹を溶かした水を入れ、沸騰させれば、焦げ付きが鍋から剥離します。その後にスポンジなどで清掃しましょう。
以上の点を守ればル・クルーゼは長く愛用できます。
実際にアウトドアで使ってみた
車移動キャンプなら問題なしの重量
たしかにル・クルーゼは重さがありますが、車移動が前提のオートキャンプなら、運搬もそれほど苦にはなりません。
ただし、うっかり落としてしまうと、ル・クルーゼは表面の琺瑯加工が割れてしまうため、扱いには注意が必要です。持ち運びにはクッション付きの収納バッグを使うなど、ひと工夫しましょう。
シーズニング不要で片付けが楽
ダッチオーブンやスキレットなどのように、シーズニングや、使用後に油を塗るなどの面倒なメンテナンスが無いのも魅力。
ほとんどの汚れは中性洗剤とスポンジを使って落とせます。琺瑯加工がなされているため、色素沈着もしにくいです。そのため、毎回の片付けが非常に楽です。
ル・クルーゼでつくるおすすめキャンプ飯

実際のキャンプでは、ビーフシチューや豚の角煮など、じっくり火を通すメニューと相性抜群でした。とくに無水カレーは、野菜の水分だけで仕上がるのにコク深く、まさにル・クルーゼならではの味わい。炊飯も驚くほどふっくら仕上がるため、試す価値ありです。
また、冬場にはストーブの上に置いての調理にもぴったり。おでんや煮込みうどんなどを保温しながら調理ができます。
使って感じた注意点と工夫
実際に使ってみて感じたのは、焦げつきやすい料理には注意が必要な点。強火調理だと焦げつく場合があるため、中火で加熱することが大切です。
とくにストーブの上で調理する場合などは要注意。火にかけっぱなしにして、料理の水分がすべて蒸発してしまうと、焦げつきの原因になります。目を離しがちなので、こまめに確認するようにしましょう。
また、キャンプではおなじみの炭火や焚火での直火調理は高温になり、破損の恐れがあります。調理には必ずバーナーを使うようにしましょう。
さらに、ル・クルーゼに限ったことではありませんが、熱くなった鍋を、テーブルには直接置かないようにしましょう。テーブルが焦げたり変色したりするリスクがあります。鍋敷きや木板を活用しましょう。
家だけじゃもったいない!ル・クルーゼは外でも活躍する鍋

「重いからキャンプ向きじゃない」と思われがちなル・クルーゼですが、実際に使ってみると、その蓄熱性の高さがアウトドアシーンでもしっかり活きてきます。
少ない火力でじっくりと煮込みができ、燃料の節約にもつながる点は、むしろ不安定な屋外調理にこそ嬉しいポイント。さらに、料理をそのままテーブルに出せる美しさや、道具としての美しさも魅力のひとつです。荷物に余裕があるキャンプなら、一度は連れて行ってほしい、そんな実力派の鍋です。