ツナ缶がオイルランプに!? 災害時など、いざという時に役立つ6つのテクニック
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    2022.12.04

    ツナ缶がオイルランプに!? 災害時など、いざという時に役立つ6つのテクニック

    災害対策インストラクター すえなみかつひろさん(45歳)。  学校や企業などに向けたブッシュクラフト、防災・災害対策の講習を主催している。今年10月29日には、個人で参加できる「お家で楽しむ都市サバイバル遊び入門講座」を開催予定。

    遊びながら覚える防災術。ここでは災害対策インストラクターとして活動するすえなみかつひろさんによるハウツーを紹介しよう。

    ブッシュクラフトのテクニックを生かす

    「森や自然の中にあるもので、必要なものを手に入れるのがブッシュクラフトです。『森』を『都市』に置き換えて考えてみると、実は都市防災に応用できる技術がたくさんあるんです」
     
    そう話すのは、『すえなみブッシュクラフトスクール長野』代表で、松本市をベースにブッシュクラフトや防災・災害対策の教室を主宰する、すえなみかつひろさん。すえなみさんは、ブッシュクラフトと危機管理のスペシャリストであるワイルド・アンド・ネイティブ代表の川口拓さんに師事。そこで得た経験をもとに、自らの考察を加えた数々の防災テクニックを紹介している。

    「日常生活であたりまえに使っているものが、どんな素材でできているのか。本来の目的以外にも使えないか。少し目線や発想を変えてみる。ライフラインが切断されるような災害時に、それができるかどうかで、生死を分けることもあります。『これ、キャンプで使えないかな?』など、普段から、いろいろと考え試してみることが大切なんです」

    災害時に役立つ6つのテクニックとは

    すえなみさんは、この日、どこの家庭にでもあるような身近な道具や材料を使い、災害時に役立つ6種のテクニックを紹介してくれた。「この材料で、こんなことができるのか。こんな使い方があったんだ」と、目からうろこのワザばかり。なかには、キャンプで忘れ物をしたときに使えそうなアイデアもある。
    森の中なら落ち葉やマツボックリ、枝などを拾い集めて焚き火をすることができる。しかし、ガスや電気が止まった家の中で、どう火種を得るか? すえなみさんは、明かりにしたり、食事を作ったり、水を煮沸するために必要な火を手に入れる方法をまっ先に教えてくれた。
     
    取り出したのは、ツナ缶とお菓子とティッシュペーパー。

    「ツナ缶は、中の油を気化させることで、火が灯ります。ロウソクの芯の代わりにティッシュを使うのがポイントです。また、お菓子には油を含んだものが多く、その油を燃やせば着火剤として使えます」
     
    身の回りにあるものの素材を知ることで、必要な用途へと導く。それがすえなみ流の防災テクの基本だ。もしものときに備え、普段からキャンプや家庭で身近なものに興味を持ち、遊びながら試してみよう。

    テクニック1

    ツナ缶がオイルランプになる

    ツナ缶の油は、そのまま点火しても燃えにくい。そこでティッシュペーパーに油を吸わせ、芯にすることで、着火した火力で油を気化させる。するとランプのように燃え続ける。

    おもな材料

    必要な材料は、非常食としても役立つツナ缶とティッシュペーパーだけ。ほかは着火用にマッチ、ライターなどを使用する。

    ティッシュを手のひらの上で器の形にして、開封したツナ缶の上に。

    油が少ししみたら着火。吸い上げられた油が燃え続ける。

    テクニック2

    お菓子が着火剤になる

    お菓子に含まれる油を燃やして着火剤に。このほかリップクリームやワセリンも、チョコレートと同じ方法で着火剤として使える。

    おもな材料

    油を含んだお菓子を使用。ほかにティッシュも用意。キャンプで火おこしするときにも使える。

    1 )ティッシュを広げ、真ん中にチョコレートを置いて包む。

    2 )ティッシュをよく揉み、油分を吸わせたら着火する。

    3 )油分が気化しはじめると、意外と長く燃え続ける。

    4 )油分を多く含んだポテチは、そのままでもよく燃える。箸やトングで持ってから火をつけ、焚き火などに投入する。

    テクニック3

    ポリ袋で火をおこす

    小さめのポリ袋に水を入れ、球体になるよう形を整える。それを虫眼鏡の代わりに使い、太陽光線を当て、丸めた新聞紙の黒い部分に焦点を合わせて火をおこす。ただし晴れた日限定。

    おもな材料

    透明のポリ袋(今回はNo.12サイズを使用)と新聞紙を用意する。このほか、水を少量使用。

    1 )新聞紙は、黒く印刷された部分が表になるように気をつけて、小さく固く丸める。

    2 )ポリ袋に水を入れ、おにぎりぐらいの大きさに。空気が入らないよう口を縛り丸くする。

    3 )水の入ったポリ袋を虫眼鏡代わりに使い、新聞紙に太陽の光を集めれば火がつく。

    テクニック4

    ペットボトルとティッシュペーパーで濾過

    「濁った水は、ティッシュペーパーでもそこそこ浄水できるんです」。何度か繰り返したり、沈殿させて上澄みを取り、煮沸すれば水が作れる。

    おもな材料

    蓋がついたペットボトルを1本用意し、半分に切る。ほかは、ティッシュとそれを詰める棒が必要。

    1 )蓋を締めたまま、口の部分にティッシュを入れ、棒で押し込みギュウギュウに詰める。

    2 )ペットボトルの下側を水受けにし、上側のキャップをはずし汚れた水を注いで濾過を待つ。

    テクニック5

    ポリタンがなくても大丈夫
    給水所から楽に水を運ぶ裏技

    断水し、給水所に水を汲みに行くときに、ポリタンやバケツがなくても水をもらえるアイデア。手で持つより格段に運びやすい点にも注目。

    おもな材料

    ポリ袋は、なるべく厚みがあり丈夫なものを選ぶ。袋留めクリップ(下の写真)があると、水を使うときの開閉が楽になる。

    1) ザックの中に袋を入れ、ザック内部の形状に合わせて広げたら水を入れる。

    2 )口を縛って水を運ぶ。ザックといえども入れすぎると運べない。「30ℓ程度が限界です」とすえなみさん。

    テクニック6

    保冷剤で簡易トイレ用の凝固剤を作る

    市販の携帯用トイレに入っている凝固剤。保冷剤の中身でこの凝固剤が作れる。ポリ袋などに用を足し、これを入れて縛れば固まり、臭いを軽減できる。

    おもな材料

    70gの保冷剤で、約50㎖の水を凝固できる。1回の量が200㎖としたら4個は必要となる。

    1 )保冷剤の袋をハサミで切り、中に入っている吸水ポリマーを容器に移す。

    2 )しばらく放置すると乾燥して固まる。固まり方はさまざま。

    3 )固まった吸水ポリマーを容器から取り出せば、凝固剤として使える。水を吸うと元のジェルに戻る。

    いかがだろう。以下の3か条を頭に入れて、万が一の防災術を身に着けよう。

    プロ直伝の防災術3か条

    1 今ある身近なものでなんとかする

    2 目的外の用途を想像してみる

    3 楽しみながら試しておく

    ※構成/山本修二 撮影/花岡 凌 
    協力/すえなみブッシュクラフトスクール長野 https://bushcraft.wagamamalive.com/

    (BE-PAL 2022年10月号より)

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