遊牧民の「ゲル」でグランピング!「象潟モンゴルヴィレッジ バイガル」宿泊レポート | キャンプ場 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.09.18 SAYA

    ゲル遠景

    「象潟モンゴルヴィレッジ バイガル」

    私たちにとってキャンプは、住み慣れた家を離れて自然に親しむレジャーですが、世界には日常的に移動式住居で生活する人々がいます。よく知られるのはモンゴルの遊牧民族。

    「ゲル」や「パオ」と呼ばれるテントに住み、季節ごとに設営と解体を繰り返して家畜とともに移動していきます。遊牧民をさす「ノマド」という言葉は、近年では拠点をもたずに働く新しいワークスタイルの意味も加わっていますね。

    高質な田舎」を掲げる秋田県に、ゲルに宿泊できるユニークなグランピング施設がありました。内陸国モンゴルの文化を味わいながら、目の前に広がるのは日本海という不思議な1泊2日をレポートします。

    モンゴルの移動式住居「ゲル」

    鳥海山

    訪れたのは秋田県にかほ市。鳥海山がそびえ、松尾芭蕉も訪れた風光明媚な地方都市です。なかでも夕日の沈む雄大な日本海の風景が美しく、天然の岩牡蠣は夏の名産品だそう。

    施設看板

    そんな絶景の海岸線に位置するのがグランピング施設「象潟(きさかた)モンゴルヴィレッジ バイガル」。ロシアのバイカル湖のことかと思いましたが、バイガルとは「大自然」を意味する言葉だそう。

    ゲストハウス

    到着したら、ゲストハウスでチェックインを行ないます。このゲストハウスが、レストラン・トイレ・シャワー・洗面所などの機能が集約するパブリックスペースとなります。

    鍵を受け取ったら、おのおののゲルへ。クルマの乗り入れはできませんが、駐車場・ゲストハウス・ゲルがそれぞれ至近距離にあるので困ることはありません。

    ゲル遠景

    敷地内には、適度な間隔をあけてゲルが点在。ここだけ見ると日本の風景とは思えません!時空を飛び越えてきたような不思議な世界。

    ゲル正面

    クレヨンの先端のような、円筒形の白いテント。テレビなどで見るイメージそのままです。ちなみに私は、本物のゲルを見るのは初めて。もちろん宿泊したこともありません。

    ゲル出入口

    茶室の「にじり口」のような小さな出入口から、身をかがめて入ると……

    ゲル内部

    広々とした大空間!大人でも手の届かない天井高です。直径6メートル、高さ約2.8メートルだそう。

    移動式住居のゲルは、重機などのないモンゴルの大平原で、簡単に組立や解体ができることが特徴。少人数でも扱えて、軽量かつ頑丈でなければいけません。キャンプギアの考え方と同じですね。

    ゲル内部の構造

    2本の柱で骨組みを支え、放射状に梁(はり)を渡す構造が忠実に再現されています。現地では、調理と暖房を兼ねたストーブが部屋の中央に置かれるのだとか。屋根から煙突が出ている写真もよく目にします。

    ゲル内部の構造

    ウッドフェンスのような壁は、蛇腹(じゃばら)状に折りたためる仕組み。携帯性がよく考えられています。正式には羊毛フェルトで全体を覆うようですが、ここでは機能的なテント生地が張り巡らされています。

    伝統文様の家具

    色鮮やかなモンゴル家具!伝統的デザイン「ウルジーヘー」が美しい!よく見ると一筆書きになっていて、終わらない幸福を示しているのだそう。

    ゲル出入口

    驚いたのが、想像以上に気密性が高いこと。先述のとおり身をかがめるほどの小さなドアがあるきりで、窓はなく、外の光をいっさい通しません。ドアを閉めてしまえば、昼か夜かもわからないほど。

    考えてみれば世界の伝統住居でも、気候が厳しいほど開口部が小さく、閉鎖的な家になりますね。

    はじめは息が詰まるような感じがしましたが、慣れてくると「おこもり感」がじわじわと魅力に。冬はマイナス30度Cにもなるというモンゴルの厳しい自然。家族が助け合って暮らしている姿が浮かびます。

    一方、40度C近くまで気温が上がる夏には天窓を開けたり、壁の周囲の裾を上げたりして通風や採光を確保するそうです。ここバイガルでは、代わりにエアコンなどの空調機器で室温を管理。

    ゲル内部の床

    ほかにも宿泊者向けのアレンジが多数ほどこされています。床には靴を脱いで過ごせるよう柔らかいカーペットが。

    ゲル内部の備品

    テレビと冷蔵庫完備で、Wi-Fiも使えます。ただしトイレや洗面台などの水道設備はないため、共用設備を使うことになります。

    充実の共用スペース

    ゲル遠景

    共用設備を見に行ってみましょう。ゲルの周囲には、フカフカの芝生が広がっています。ただし火の使用は不可なので、野外調理や焚き火はできません。花火をしたい場合は、すぐ目の前の海岸へ。

    敷地内には沿岸部らしい松林が残され、自由に使えるハンモックやイス&テーブルが。

    日本海とハンモック

    間近に見えるのは日本海!乾いた平原を思わせるゲルが立ち並びながらも、松林のハンモックには湿気を含んだ潮風が吹いてくるという不思議なシチュエーション。

    ゲストハウスの洗面室

    ゲル群の近くにも仮設トイレや水道がありますが、ゲストハウスまで行けば清潔な洋式トイレや、温水の出る洗面所が整っているのでおすすめです。

    ゲストハウスのシャワー

    無料のランドリーがあるほか、男女別シャワーも利用可能。ボディソープなどが備え付けられています。

    けれど、せっかく温泉大国・秋田に来たのなら、温泉に入りたいですね。宿泊者は姉妹施設の「たつみ寛洋ホテル」または「金浦温泉 学校の栖(すみか)」の温泉を無料で利用できます。チェックインのときに受け取ったタオルを持参。

    金浦温泉 学校の栖

    おすすめは後者の「学校の栖(すみか)」!

    一風変わったネーミングですが、明治7年から昭和55年まで小学校があった跡地なのだそう。現在はモダンな温泉宿に生まれ変わっています。

    金浦温泉 学校の栖

    特筆すべきはその泉質。建物の外にいても感じられる硫黄臭と、濃く白濁したお湯にびっくり。思わず「くさい……!」と声に出してしまいそうな独特の匂いは、最後まで慣れることがないほどでした。どれだけ温泉成分が強いのか想像もできません。

    もうひとつある浴槽は北投石のラジウム泉で、これも貴重なもの。秋田県には玉川温泉という有名なラジウム泉があり、温泉療法のために全国から人が集まります。

    バイガルからは「たつみ寛洋ホテル」(約1km)が近く、「学校の栖」(約6.5km)はやや離れていますが、クルマならぜひとも後者へ!大地のエネルギーを感じられます。

    グランピングの魅力は豪華な夕食

    ゲストハウスのレストラン

    多くのグランピング施設では夕食が用意され、「手ぶらキャンプ」が可能となっています。自炊派からすると「キャンプの楽しみの半分を失っている!」と思われそうですが、自分では用意できないような豪華な食事がグランピングの大きな魅力と言っていいでしょう。ここバイガルでも複数の夕食コースがありました。

    食事時間は18時または18時半を選べ、宿泊客が三々五々ゲストハウスに集まってきます。私は海の幸と山の幸を両方味わえる「海鮮と焼肉セット」を予約していました。

    夕食

    写真は2人前。

    季節により内容は異なりますが、海鮮はエビ、イカ、ホタテ、牡蠣のホイル蒸しなど。

    夕食

    写真は2人前。

    そして黒毛和牛、八幡平ポーク、ジャンボソーセージなどの焼肉。さらに前菜プレートと野菜スティックがあります。

    焼く、食べる、また焼く、というシンプルなコースですが、これだけの食材を個人で取りそろえるのは大変です。頬がゆるむ至福の時間!

    夕食

    写真は2人前。

    熱々で提供された「モンゴル肉まん」は、羊肉でしょうか、独特の風味がしました。

    夕食

    写真は2人前。

    トレイにのった状態だとそれほど多く見えませんが、焼いてみたらすごいボリューム!

    加えて白米とスープはセルフサービスなので、どんな大食漢でもお腹いっぱい食べられると思います。デザートのアイスクリームも好きなだけ。大満足です。

    食事に夢中でレポートしていませんでしたが、レストランは海に面したガラス張りで、テラス席もあります。ふと窓外に目をやると素晴らしい景色が広がっていました。

    日本海に沈む夕日

    薄雲にインクを流したのかと思わせるマジックアワー!「空が染まる」とは、まさにこのこと。刻々と色を変える鮮やかな夕焼けは、絵画のようにきれいでした。

    ゲルの寝心地は?

    夜のゲル

    食事を終えたら、クルマで入浴に出かけてもいいですし、ゲストハウスでシャワーを浴びたり、浜辺で花火もいいですね。ゲルではテレビやネットサーフィンで現代的に過ごすこともできます。毎週土曜日には馬頭琴の演奏があるそう。モンゴル衣装の貸し出し(有料)もありますよ。

    夜のゲル内部

    備品のひとつにプラネタリウム装置がありました。たしかにドーム型の天井は投影にぴったり。天幕にゆらゆらと幻想的な光が揺れ、夢の世界のよう。

    これだけ設備が整っていると、普通の住宅にいるような気持ちになりますが、そこはテント。屋外の音が意外に近く、虫の声がすぐ耳元で聞こえます。明け方、枕元をガサガサッと動物が走るような音に飛び起きたら、テントの屋根を鳥が歩いた音だったという笑い話も。

    素朴なモンゴルの住居と、便利で快適な近代設備とが融合した、不思議な時間が流れていきます。

    モンゴル風の朝食

    朝食

    朝は無料で軽食が提供されます。パンとジュースの「ちょっとした軽朝食」と聞いていたのですが、モンゴルらしい「仔羊の煮込み」「モンゴル風ミルクティー」など、個性的なメニューがバイキング形式で並びました。

    「仔羊の煮込み」は牛のテールスープにも似ていますが、それよりもずっと滋味あふれるワイルドな味。クセのある羊肉は人を選ぶかもしれませんが、私は異文化体験ができておもしろかったです。

    午前10時にチェックアウトです。すぐ近くの金浦インターチェンジまたは象潟インターチェンジから高速道路で帰路についてもいいですし、そのまま海沿いを山形方面に抜けてもよいでしょう。

    今年度の営業は10月末日まで

    ゲル遠景

    営業期間は4月1日から10月末日まで。鳥海山が雪の帽子をかぶる頃には今年度の営業が終了します。

    ひとつのゲルに最大5名まで宿泊可能で、小型犬なら2匹まで同伴できます。同じゲル内に宿泊できるので、愛犬家にも嬉しいのではないでしょうか。夏には海水浴ができるほか、カヤックの貸し出し(1時間2,000円)もあります。

    秋の訪れの早い秋田では、すでに夜半には寒さを感じるほどでした。ご興味のある方はぜひお早めに!まだしばらく海外旅行は難しい状況ですが、秋田での異文化体験、いかがですか?

    施設詳細

    名称:象潟モンゴルヴィレッジ バイガル
    住所:秋田県にかほ市象潟町冠石下63-3
    料金:1泊2食付き9,000円~
    備考:営業期間は41日~10月末日、小型犬の同伴可能(1ゲル2匹まで)

    私が書きました!
    フリーライター
    SAYA
    グルメ、トラベル、車中泊、クルーズなどの記事を執筆しているフリーライターです。バンコンタイプのキャンピングカーで全国を巡っています。太陽も昆虫も苦手なインドア派ですが、車中泊×観光の組み合わせに無限の可能性を体感中。車を拠点にした遊びの話題をお届けします。

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