たった0.2秒で幸福を感じる?科学でわかった「キャンプのスゴい効果」5選 | アウトドアの知識 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.09.18

    たった0.2秒で幸福を感じる?科学でわかった「キャンプのスゴい効果」5選

    キャンプ場

    キャンプに“行かない理由”がない理由

    私たちはなぜキャンプに行きたくなるのでしょうか?

    人がキャンプに行く最も重要な目的は「マシュマロを焼くこと」ですが、もう1つ、多くの人がそれと同じぐらい求めているものがあります。

    それが「自然を感じること」です。

    それを裏付けるように、近年の研究によって「自然の中で過ごすだけで、私たちヒトの身体に驚くほどポジティブな変化が起きる」ことがわかり始めています。

    それは、例えば次のようなものです。

    • 自然に触れた0.2秒後には幸福度が増加し始める
    • ストレスホルモンがはっきり減少するほどの癒し効果がある
    • がんやウイルスと戦う免疫細胞が増加する
    • 記憶力やアイディアを生む力が高まる
    • 現代人のほとんどに共通する睡眠の問題が解消

    この記事では、これらの「キャンプに行くと得られるであろう自然のすごい効果」を、世界中で行なわれた研究の成果とともに紹介します。これを読み終える頃にはみなさんが「キャンプに行かずにはいられない」という気持ちになっていることをお約束します。

    ※本記事はキャンプと関連度の高い研究事例の紹介であり、その効果を保証するものではないことをご了承ください。

    キャンプ場に到着した瞬間に幸福度が上がる?

    キャンプ場に到着

    自転車でキャンプ場に到着したところ。

    もしキャンプ場についた瞬間に、それだけで幸福度が上がることが約束されているとしたら、あなたは明日にでもキャンプに行きたくなるのではないでしょうか?

    紹介するのは、イギリスのサセックス大学のグループが行なった研究*1です。研究チームは人間の幸福感に影響を与える要因を調べるため、2万人以上の被験者を対象に数年間に渡る調査を行ないました。

    その結果、チームは「被験者は都会にいるときより、屋外の緑豊かな場所や自然の中にいるときの方が、確実により深い幸福感を覚えている」という結論を導き出しました。

    しかも、その幸福度の上昇度は、「1人で過ごす時」と「友人と過ごす時」の差よりも大きく、「大好きな趣味に没頭している」ときと同程度だったというから驚きです。

    さらに、フィンランドの別の研究によると、自然から幸福感を感じるのにかかる時間はわずか0.2秒だったそうです*2

    この研究の結論をキャンプにあてはめると、自然豊かなキャンプ場についた0.2秒後には、私たちの幸福度はアップし始める、と言い換えられます。

    この話を聞いただけでも、もうキャンプに行きたくなった方もいるのではないでしょうか。ちなみに筆者はこの章を書いている途中に、気づいたらキャンプ場の予約完了ボタンを押していました。

    「ストレスホルモンが減少する」レベルの癒し効果

    自然の中で足を投げ出して座る。

    自然の中で座っているだけで癒し効果があるといいます。

    薄々感じていた方も多いと思いますが、やはり自然には日頃のストレスを癒やしてくれる効果があるようです。

    千葉大学の研究によると、森の中でたった15分間静かに座っているだけで、ストレスホルモン(コルチゾール)の量が減少し、副交感神経の活動(リラックス度の指標)が55%も高まりました*3

    また、主観的な評価でも、気分がよくなり、日常の不安な気持ちが治まったという結果が出ています。

    私もストレス性の胃の疾患で食事が喉をとおらずガリガリに痩せていた時期があったのですが、キャンプに行ったらその日の夜には胃がグルグル動き出して数か月ぶりに空腹感を感じられた、ということがありました。

    あの時の食事は、涙が出そうなぐらい美味しかったのを覚えています。

    自然の癒しの効果には感謝しかありません。

    細胞レベルで免疫力がアップ

    焚き火をしている写真

    自然との触れ合いが免疫力まで高めてくれるとの研究結果も。

    自然がヒトの免疫力を高めてくれる事は、最近ではよく知られるようになりました。

    日本医科大学が、自然と免疫に関する次のような研究を行ないました*4

    1. 東京都在住のサラリーマンに3日間、1日数時間ほど森の中で過ごしてもらう
    2. その後、血液を採取し、NK細胞という免疫細胞の数を測定

    NK(ナチュラル・キラー)細胞は、体内のがん細胞やウイルスを攻撃する働きをもった細胞です。

    そして、検査の結果は次のようなものでした。

    • 被験者たちの血中のNK細胞は40%増加していた
    • 一方で、都市部で通常の旅行をしてもらったグループにはこのような変化は見られなかった

    2泊3日のキャンプはなかなか行けないよ、と思った方もご安心ください。その後の試験により、日帰りの森林浴でもNK細胞の数は増加し、NK細胞が持つ抗がんたんぱく質の量が増えた*5、という結果が出ています。

    「幸福」「癒し」そして「免疫」。自然の恩恵はどれだけ至れり尽くせりなのでしょうか。

    ちなみに筆者がこの章を書き終えた直後に自室を見渡したところ、いつの間にか次のキャンプの荷造りを終えていました。

    キャンプで仕事のパフォーマンスが上がる?

    キャンプをしている写真

    自然には脳の働きを改善してくれる効果も。

    自然の恩恵に関する知見はまだまだあります。続いては脳のパフォーマンスに関する研究結果を一挙にご紹介します。

    • 3日間のハイキングで、被験者の創造性(アイディアを生み出す力)が50%程上がった*6
    • 植物園を30分散歩すると記憶力テストの点数が約2.6倍になった*2
    • 自然の風景写真を見せただけで、被験者の注意力が回復した*7

    週末キャンプに行けば、ひょっとすれば翌週からの仕事のパフォーマンスが上がる可能性もありそうです。キャンプに行くための有給取得を上司にしぶられた時は、これらの研究結果を読んで聞かせてあげましょう。

    睡眠の質まで改善

    タープから眺める空

    多くの現代人が抱える睡眠の問題の改善も期待できます。

    現代に生きる私たちは、普通に暮らしているだけで睡眠の質が悪化していく傾向があります。その原因は、昼間は室内でほとんど日光を浴びず、夜は人工照明で光を浴び続けるという、動物としては非常に不自然な生活を送っていることにあります。

    コロラド大学が行なった研究*8によると、2日間のキャンプで被験者の睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が改善することがわかりました。これは、野外で過ごしたことで普段の13倍も多く太陽光を浴びることができ、夜は最小限の照明しか目に触れることがなかったからだと考えられるそうです。

    しかも、メラトニンの量が増えただけでなく、分泌のタイミングも改善されており、夜になると自然と眠気を感じる方向に体内時計がシフトしていたというから、驚きです。

    結論:”キャンプに行かない理由”がどこにも見当たらなくなりました

    以上、科学が明らかにした自然のすごい効果を5つ紹介させて頂きました。

    「幸福」「癒し」「免疫」「仕事」「睡眠」。キャンパーの皆さんでも、キャンプにこれだけのメリットがあることは想像できなかったのではないでしょうか?

    記事をここまで読みすすめてくださった方であれば、もうキャンプに行きたくてウズウズしていることかと思います。

    かくいう私も、ここまで記事を書き終えた時点で、気づけば家の戸締まりは済んでおり、後はいま目の前にあるPCを閉じて、玄関から日常の外へと飛び出すだけの状態です。

    さあ、みなさんも今すぐ準備に取りかかってください。ひと足早くキャンプ場でお待ちしております。

    参考文献

    *1 『Happiness is greater in natural environments』George MacKerron, Susana Mourato
    *2 『NATURE FIX』Florence Williams
    *3 『Effect of the forest environment on physiological relaxation-the re- sults of field tests at 35 sites throughout Japan』Park Bum-Jin et al.
    *4 『Visiting a forest, but not a city, increases human natural killer activity and expression of ant-cancer proteins』Li Q et al.
    *5 『A day trip to a forest park increases human natural killer activity and the expression of anti-cancer proteins in male subjects』Li Q et al.
    *6 『Creativity in the Wild:Improving Creative Reasoning Through Immersion in Natural Settings』Ruth Ann Atchley et al.
    *7 『The Cognitive Benefits of Interacting with Nature』Marc G Berman et al.
    *8 『Circadian Entrainment to the Natural Light-Dark Cycle across Seasons and the Weekend』Ellen R. Stothard et al.

    ワタナベ
    私が書きました!
    ライター・編集者
    渡邉彰大
    元製薬企業研究職・農家生まれの自然を愛するサイエンスライター。独立後、自然豊かな千葉県外房・海岸エリアに移住し、週1~2回ソロキャンプにでかける日々。多くの人が気軽にキャンプを始められるように、初心者向け記事の執筆やイベントの企画などを行なっています。キャンプにも役立つ?料理のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCaOa3n0KOx7X741m7-CYjkA)もやってます。

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