琵琶湖クルージングで沖島へ!臭みのない「鮒ずし作り」を体験してみませんか? | 料理・レシピ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.05.28

    琵琶湖クルージングで沖島へ!臭みのない「鮒ずし作り」を体験してみませんか?

    大きな皿の上の中央に鮒ずしの頭が2つ。その周りを円形に囲むように、薄くスライスされた子持ち鮒ずしがぐるりと並ぶ。

    沖島漁師に習う、臭みのない鮒ずしの魔法


     古代より食され続けている「鮒ずし」というモノを、あなたはご存じだろうか?

    その昔、大陸からもたらされた「なれずし」と呼ばれる発酵食のひとつであり、寿司の系譜を辿ると握りずしの元祖でもあり、そして、滋賀県が誇る郷土料理だ。

    「鮒ずしって、めちゃくちゃ臭いんでしょ?」

    私が滋賀県出身だと言うと、けっこうな確率で返されるこの言葉。いやはや、まったくもって解せない。「食」というモノは、昔ながらの部分を残しつつも、時代とともに変化するモノである。鮒ずしもその流れにちゃっかり乗っている。近年はさほど臭くないのだ。なぜなら、臭くない漬け方が編み出されたから。

    その魔法のような漬け方を習得すべく、滋賀県は琵琶湖に浮かぶ漁師の島・沖島へと向かった。なんと、定期船ではなく、大津港(滋賀県大津市)から出港している琵琶湖汽船のクルーズ船に乗り込んで!

    沖島の港にクルーズ船が着岸している。船員2名が船上で、島民1人が陸上で着岸作業中

    大津港から沖島まで約80分の船旅。湖だが大きすぎて、もはや琵琶湖は海!

     参加したのは「鮒ずし作り体験クルーズ」。琵琶湖汽船と沖島漁業協同組合(以下、沖島漁協)と滋賀県水産課が、毎年、共同で行なっている。応募が殺到する大人気イベントだ。

    時は7月、夏の土用の頃。鮒ずしを漬ける時期である。鮒ずしは、夏が大好き。夏場、約30度Cの場所で保管するコトでおいしく発酵してくれるのだ。

    この体験では、1樽5kg(鮮魚換算)の鮒を漬ける。手元には、5kg分、約15匹の塩切りをされたニゴロブナのメス(子持ち)がやって来た。塩切りとは、一般にいう塩漬けのコトで、鮒ずし作りの第一段階である。コレは、35月の間に、すでに島の人が行なってくれている。参加者は、この塩を落とすトコロから作業スタートだ。

    青い長方形のケースに塩切された鮒が15匹ほど無造作に入っている

    タワシを頭から尾に向かってひたすら動かし、ぬめりを取る。この「ぬめり」が、完成時の臭みになってくるキケン物!ひたすらゴシゴシ!さらに、エラブタの内側も流水でキレイに洗い流し、顎の膜も取り除く。

    「顎の膜って何?どれのコト!?」そんな魚初心者(私です・汗)でも心配ご無用!沖島漁協の人が側に着いて、懇切丁寧に教えてくれる。と、いうか細やかに手伝ってくれる。

    白や青色の角ハンガーに干されている鮒たち。尾のあたりを洗濯ばさみではさみ、口を下に向けて干してある
    洗いまくられて、ちょっと表面が白くなった鮒たちは、洗濯で使う角ハンガーに吊られ、大きな扇風機を使って約2時間ほど乾かす。

    使い捨ての黒いプラスチックのお弁当箱に焼いたビワマスや、白米の上には島野菜のかき揚げなどが入っている。小さな四角い醤油用トレイには卵がたくさん入った鮒ずしが1切れある。

    乾かしている間は、島のお母さんたち手作りのお弁当でランチタイム。ビワマス、ブラックバス、島野菜たっぷり♪もちろん、手作り鮒ずしも付いている!

    かわいくてたまらない「My鮒ずし」

    ある程度乾いたら、今度は、炊いて冷ました米を鮒の口やエラブタへ、ギュッギュッと詰めていく。フナ5Kgに対して使う米は35合!米どころだからこそ根付いた郷土料理なのだと、米の量を見て激しく頷いてしまう。ちなみに、米は前もって島の人が用意しておいてくれる。ほんまに、いたれりつくせりである。

    青くて四角いプラスチックのケースの中に焚かれた白米が大量の入っている。その上に、口やエラブタにごはんをつめられた鮒が2匹乗っている

    エラブタや口から、ごはんがはみ出るくらいがちょうど良い。手水には日本酒を使う。

    そして、ココで登場するのが、今回の最大魔法具。ビニール袋2枚だ。用意したプラスチック製の漬物樽にその大きなビニール袋を2重にしてセットする。ただ、それだけ。だが、コレが臭みのない鮒ずしを作る方法として編み出された魔法なのである。伝統料理を廃れさせないためには、時として文明の利器も大切なのだ。

    ビニール袋で密封するコトで、雑菌が入るのを防ぐコトができる。また、鮒ずしをおいしく発酵させる乳酸菌は、酸素を嫌うので、密封すると、逆によろこんで活性化するのである。

    プラスチックの黄色い漬物樽に大きなビニール袋を2重にして入れられているモノが3個並んでいる。

    あとは、ひたすら、ごはん→鮒→ごはん→鮒と重ねて行く。一番上の段は必ずごはんにするコトを忘れずに。鮒とごはんが密着すればするほど、よく発酵する。なので、段を変える際には、鮒の向きを下の段の鮒の並びに対して直角に置くと密着具合が増して良い。

    プラスチックの黄色い漬物樽にビニールが2重に入れられ、その中に焚いたごはんが敷き詰められ、さらにその上にはごはんを詰められた鮒が並べられている。

    最後に、ビニール袋を紐できっちりと閉め、その上にビニール紐で編んだ縄を入れて蓋をし、重石を置いて、この体験は終了。この縄も、従来は藁で作っていたモノだ。が、各家庭でも用意できるビニール紐が使われるコトで、後に自分でいちから漬ける場合でも手に入りやすくて大いに助かる。

    この状態で自宅に持ち帰り、年末頃まで保管するのも良いが、追加料金を支払うと、保管も島でやってくれるのだ。都会の狭い部屋暮らしにとっては、有難いコトこの上ない。

    し・か・も!年末ごろに、出来上がった鮒ずしを島の人達が樽から出して、11個真空パックにして自宅へ送ってくださるという(もちろん、別途送料が必要)。いたれりつくせりにもほどがある!

    沖島の屋外。使い捨てのビニール手袋をした片手に、取り出したばかりの鮒ずし1匹を撮影者自身がもっている。鮒ずしの周りには、少しクリーム色がかった飯(いい)がたくさん付いている。)

    樽から取り出したばかりの鮒ずし。まわりについている白いものは飯。達人は、飯の様子を見ただけで、鮒ずしがおいしく漬かっているかわかるという。©asu

    年末に我が家へやってきた15匹ほどの鮒ずし達。速攻、冷凍庫へ放り込む。鮒ずしをお店のように2~3mmほどの厚さで切るためには、半解凍の状態でスライスすると良いからだ。また、冷凍しておくと軽く1年はもつ。

    フルーティーな酸味で、そのまま食べても酒の肴にしても「最高!」と、叫ばずにはいられない。頭と尾は、発酵して柔らかくなっているので、お茶漬けにしてペロリと。白い飯(いい)の部分は、薬味を添えてそのまま食べたり、ドレッシングにしたり、カレーの隠し味や、天ぷらに。捨てるトコロがない素晴らしき古代生まれの食べ物。

    手前味噌ならぬ、手前鮒ずし。かわいくてかわいくて仕方ない。かわいいので、友人知人に配りたくなってしまう。そして、また、来年もMy鮒ずしを作らねばという魔法にかかってしまう。

    コレを読んでいるあなたも、人生に一度、My鮒ずしを作ってみては?鮒ずしに対する概念が変わるかも!?

    ●ふなずし作り体験クルーズ2022

    琵琶湖汽船株式会社
    公式サイト(申し込みもこちらから)
    https://www.biwakokisen.co.jp/season_event/2426/

    申し込みしめきり

    • インターネット2022531日(火)17:00まで
    • 往復ハガキ2022531日(火)必着
      ※申し込み多数の場合は抽選
      ※詳しくは上記サイト参照

    開催日

    2022年
    77()79()711()713()715()719()721()

    料金

    • 乗船料:大人3,500/人、小学生1,750/
      ※未就学児は大人1名につき、1名乗船料無料。2名の場合は小学生1名分の料金が必要
    • 材料費125,000円(ニゴロブナ5Kg、米飯)、樽容器代 1,000/
      ※初参加者は、樽購入必須。リピーターで前回の樽容器を持参される場合は購入不要
    • 保管料:1樽5,500円(希望者のみ)
      ※ご自宅への発送は着払いになります
    • 昼食1,300/人(希望者のみ)

    大津港へのアクセス

    京阪浜大津駅から徒歩約4

    ●フリー冊子『沖島さんぽ』

    滋賀県は琵琶湖に浮かぶ有人離島・沖島のガイド兼コミックエッセイ。
    沖島が気になる方は、ぜひ、下記に連絡してお取り寄せしてみてください。「鮒ずし作り体験クルーズ」のコトも描いています。
    (冊子は無料ですが、郵送料は注文者さん側のご負担になります。)

    『沖島さんぽ』を読んでみたい方は

    沖島町離島振興推進協議会 montekite.com/inquiries/ 
    もしくは
    沖島町離島振興推進協議会のInstagram 「もんて @montekite2017」 へメッセージで連絡

    私が書きました!
    イラストエッセイスト
    松鳥むう
    滋賀県出身。離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。訪れた日本の島は116島。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)、『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)等。Podcast&Radiotalk はじめました。「松鳥むう」で検索を♪ http://muu-m.com/

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