そみなさん、こんにちは。ソロ秘湯愛好家のゆみです。 8月、9月は長~い夏休みをいただき、せっせと温泉探訪をしていました。10月からまた新たな秘湯記事をアップしていきますのでお付き合いくださいね。さて今回は、晩秋におすすめしたい紅葉がきれいな温泉を紹介します! ソロでも行きやすいアクセス良しのお手軽秘湯から、歩いて5時間の大冒険秘湯まで難易度別に選んだので、ご自分のレベルに合わせて旅程を考えてくださいね♪

まだ間に合う!今年は紅葉見ながらの温泉はいかがでしょう。
~アクセス初級編~
四季折々の原生林の姿に感動する!
『芽登温泉 芽登温泉ホテル』(北海道)

人里離れた山奥の露天風呂でひとり、川のせせらぎを聴きながら過ごす……至福の瞬間(とき)!
まず最初にご紹介するのは、北海道足寄郡足寄町に位置する原生林に囲まれた一軒宿。ひとくちに「一軒宿」といっても、北海道のそれはレベルが違うんです。お宿までは、最寄りの足寄市街地から車で40分もかかりますし、途中、トドマツ、エゾ松など木のトンネルが頭上に広がる未舗装道路(ダート)を3kmほど走ったところにあるんです。つまり、山の奥の奥!「3密とは、ほぼ無縁」いや、それどころか「人と野生の動物、どっちが先に出会う」というレベルの秘境なのです。

写真は10月10日ごろ撮影。素朴な造りが北海道の秘湯らしくてまたグー!
お目当てはなんといっても、川沿いの混浴露天風呂!目の前は清流、きらきらと輝く赤や黄色の紅葉に包まれて「ああ、これぞ、自然のごほうびだわ」。さらにこの芽登温泉は、お湯も極上なんです。60度Cの源泉を1滴も水を加えず温度を下げる、というこだわりよう。アルカリ性で薄っすらと漂う硫黄の香りとつるつる感…もう、うっとりするくらい好きなお湯です。そうそう、露天風呂だけじゃなく、内湯も入浴必須ですよ。「内湯の窓から見る紅葉がキレイ」ということもありますが、それとは別にもうひとつ理由があります。

色鮮やかな原生林たちが、計算されたかのような配置で露天風呂を美しく演出します。
それはズバリ、「豪快なお湯の波」。床一面が波打つほど、豪快にお湯がかけ流される様子は北海道でも珍しい光景です。この贅沢さ…やっぱり山奥にはいい湯が湧いていますね。

湯船からお湯がさらさらあふれ出して…これぞ贅沢です。
旅行に行けないストレスや、心身の疲れを癒すのにぴったりな、この芽登の紅葉温泉。「今年の紅葉のうちには行けそうもない」というアナタ、大丈夫です。じつは厳冬期の芽登温泉は、周辺の気温が-20度C以下にもなり、温泉蒸気がびっしりと木の枝に張りついて「樹氷」の眺めを楽しむことができます。 四季折々、美しく変化をとげる原生林に囲まれた、まさに北海道ならではの景色を満喫できる温泉宿ですね。
『芽登温泉 芽登温泉ホテル』
● 住所:北海道足寄郡足寄町芽登2979
● 電話: 0156-26 -2119
● 営業:通年
● 泉質:単純硫黄温泉
● 色・におい・味:硫黄臭
● アクセス:(十勝帯広空港から車)国道241号線、道道88号線経由で1時間40分
<注意事項>
● 写真は、平成27年の露天風呂回収工事前の露天風呂で、現在はフェンスやベンチなどが新設されています。
● 地域の新型コロナウイルス情報を確認の上、三密回避、マスク着用、うがい手洗いなど感染対策をしっかりと行なってください。
~アクセス中級編~
浸かれるかどうかは運次第! 野湯と名湯満喫コース
『日光・奥鬼怒温泉郷 八丁の湯』(栃木県)

撮影は10月下旬。色づきはピークでした!
次は栃木県・日光市『女夫渕無料駐車場』から歩いて2時間でたどり着く、関東最後の秘湯。奥鬼怒温泉郷の宿の中では唯一、紅葉と滝の絶景両方を楽しめてしまう欲張りなお宿です。もちろんお湯も湯の華舞う良質なかけ流し。 日帰り入浴もやっているので、紅葉狩りがてらに奥鬼怒の手つかずの自然の中を歩くのも楽しいですよ。

奥鬼怒遊歩道沿いの温泉で、最も駐車場から近いので日帰りもにちょうどいい。
「ちょっと待って! なんで日帰り入浴もできる奥鬼怒でもメジャーな宿が中級編なの!?」と、疑問に思ったアナタは、なかなかの秘湯マスターです。『YOOMI’Sそろそろソロ秘湯』では、普通の紅葉温泉紹介で終わるわけがありません。

昭和4年の宿開業時からある露天風呂「雪見の湯」。ここからの紅葉も鮮やか!
じつは、八丁の湯にたどり着く手前にある『カッタテノ滝』の近くに「秘密の露天風呂」があるんです♪ 目印は滝を通り過ぎる時に現れる遊歩道の案内看板。その川を挟んだ対岸に、ひっそりと野湯が湧いています。行くには川を渡らなきゃならないんですが、水量や地形など、その日によって状況は変わります。「秘密の露天風呂を絶対見つけたい!」という勇猛果敢なアナタ、渡渉する際には流れや深さ、安全面を考えて判断してくださいね。もちろん、雨ふりの日やその直後など増水している場合は、川に近づくことすらできないので「運」が重要なんです。もう、おわかりですよね? 単に「八丁の湯」なら誰でも行けるんですが、あえてここを「中級編」にしたのは、「時の運」が必要だからです。

渡れそうなところを見つけたら、ウォーターシューズに履き替えて対岸へ渡ります。
対岸に渡って目を凝らせば、木々に囲まれた露天風呂を見つけられるはずです。岩の間から46度Cの源泉が大きな湯船へと注がれていて、そこにすぐ脇を流れる湧き水をホースで注げば、自分好みの温度で入浴を楽しめます。対岸からは見えないし、よほどの秘湯マニアじゃないと訪れないので、誰に気兼ねをすることなく至極の野湯時間を楽しめるってわけです。行かれる方はくれぐれもこっそり、マナーを守ってソロで楽しむことを基本に考えてください♪

まず人と出会うことはない、本当の秘湯♡

最後にオマケでもう一つヒントのイラスト。「カッタテノ滝の裏、カッタテノ滝の裏…」。
『日光 奥鬼怒温泉郷 八丁の湯』
● 住所:栃木県日光市川俣876
● 電話:0288-96-0306(宿泊予約専用)
● 営業:通年
● 泉質:単純温泉
● 色・におい・味:かすかな硫黄臭
● アクセス:東武鉄道鬼怒川線 鬼怒川温泉駅からバスもしくは車で女夫渕無料駐車場まで約100分。女夫渕無料駐車場から歩いて2時間半。送迎バスで約30分。
<注意事項>
● 国立公園内にあるため、自家用車等での入場ができません。女夫渕無料駐車場から歩くか、事前予約制の無料送迎バスをご利用ください(※お昼の休憩か宿泊のみ無料送迎を利用できます)。秘密の露天風呂へは、さらに徒歩、渡渉が必要です。
● ウォーターシューズ、ヘルメットなど、渡渉を前提とした軽装備が必要です。
● 地域の新型コロナウイルス情報を確認の上、三密回避、マスク着用、うがい手洗いなど感染対策をしっかりと行なってください。
● 国立公園内ですので、花や草木を採取することはできませんので注意しましょう。またゴミは必ずもち帰りましょう。
~アクセス超上級番外編~
ルートに難所アリ! それでもやっぱり見たい黒部の紅葉
『阿曽原温泉小屋』(富山県)

撮影は10月初旬。標高が高いので紅葉は早めです!
最後は、通称「日本一危険な温泉」と呼ばれ、ベテランの山屋さん、体育会系秘湯ファンからは憧れと人気を誇る黒部の秘湯。何が危険かというと、とにかく山小屋までのアプローチ! 断崖絶壁をコの字にくりぬいた、幅わずか1m、高低差350mの峡谷の崖沿いの「水平歩道」を13km(片道約5時間半)歩かないと行けないんです。そもそもココだけは「ソロ秘湯」ではなく、『登山のプロ』の同行なしでは無理な世界。高所恐怖症の方、登山慣れしてない方には申し訳ありませんが、話の種としてお楽しみください。

黒部峡谷の名物、トロッコ列車に乗って『欅平駅』を目指します!
「水平歩道」は、『欅平駅』から『阿曾原温泉』、そしてその先の『仙人谷ダム』までをつないでいます。もともとは黒部川上流の発電所、ダム建設のため関西電力によって建設されたものですが、現在も巡視路として使われています。観光用ではないので「手すり」なんぞありません! 唯一、岩壁側に手すり代わりの鉄線が貼られているので、それをしっかり持ちながら歩きます。後ろを振り向いたりするときに、岩壁にザックが引っかかって転落しないように注意しましょう。

この写真が示す通り、さすがのわたしもガイドさん同行で慎重に進みます。
このコラムで、危険な場所に行くときの注意は何度もしてますが、「その先に山小屋があるから行っても大丈夫」では決してないですからね。あくまでも「行ける自信のある方」、「行くことに自分で責任が持てる方」のみが許される場所です。温泉ではないですが「富士登山」だって同じことじゃないでしょうか…。

黒部峡谷を象徴する断崖「大太鼓」があるのもココ! 高低差350mだって(怖)。
紅葉の話に戻りますが『阿曽原温泉』にたどり着くまでの道中は、赤や黄色やオレンジに染まったココでしか味わえない絶景が目に入ります。見ごろは9下旬~10月半ば。ちょうど、私が訪れたのも10月頭でした。神経質になりながらの長くて単調な道中も、時々足を止めて辺りを見回すと、本当にありがたい目の保養になりました。

カラフルな木々がもこもこ。深山の紅葉は、色合い豊かで息を飲む美しさです。
待ちに待った至福の温泉! 峡谷にせり出すように設置された湯船からは、山の稜線と紅葉の絶景が一望できます♪ 景色だけではありません! 下の写真の煙が出ているトンネル「高熱隧道」に源泉のプールがあり、そこから湧きたてのお湯が豊富にかけ流されていて、鮮度もバツグン、ホント言うことナシ!

高熱隧道からの噴気もまたワイルド!
いかがでしたでしょうか? 数ある紅葉温泉の中でも野趣あふれる初級・中級・超上級編の穴場を紹介させていただきました。今年行けなくても覚えておいて、自分のスキルと体力に合わせていつかチャレンジしてみては? わたしも、この秋さらに新たな新名所を開拓しましたので、引き続き誰も知らないような穴場を紹介していきますよ~。お楽しみに!
『阿曽原温泉小屋』
● 住所:富山県黒部市宇奈月町黒部奥山国有林地内
● 電話: 0765-62-1148 ※17時~18時30分は繁忙時間のため予約・問い合わせ電話はお控えください。
● 営業:(2021年度)7月下旬~10月末予定
● テントサイト:あり(キャンプ場の予約は受けつけていません。)
● 泉質:単純温泉
● 色・におい・味:微硫黄臭
● アクセス: 黒部峡谷鉄道 欅平駅から水平歩道経由で阿曽原温泉まで歩いて約5時間30分
<注意事項>
● ルートの「水平歩道」は観光用を目的としていません。自分が歩行できるか、道の状態や通行止めなどルート情報の下調べは必要不可欠です。落石、滑落など事故に対しても自己責任になります。熟練の登山者か山岳ガイドの同伴が必要となります。
●登山道の状況、宿泊空き情報については『阿曽原温泉小屋』をチェックしてください。(https://azohara.niikawa.com/news/)
● テント泊、入浴のみの場合でも、阿曽原温泉小屋の受付で料金を支払ってください。
● 秋の行楽シーズンは混雑するので、事前に宿に空き状況を確認してください。
● 地域の新型コロナウイルス情報を確認の上、三密回避、マスク着用、うがい手洗いなど感染対策をしっかりと行なってください。
● 国立公園内ですので、花や草木を採取することはできませんので注意しましょう。またゴミは必ずもち帰りましょう。