奥鬼怒温泉郷・八丁の湯&裏カッタテノ湯を目指してスノーハイキング! ワイルド野湯でぽかぽかだー | 温泉 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.02.15

    奥鬼怒温泉郷・八丁の湯&裏カッタテノ湯を目指してスノーハイキング! ワイルド野湯でぽかぽかだー

    温泉大国・ニッポン。いつ行っても心も体も癒やされるが、芯から体が温まるこの季節が一番だ。

    渓流釣りと山スキーを愛するライター、森山伸也氏が、鬼怒川温泉の秘湯をレポート!

    奥鬼怒温泉で体感温度差55度の旅へ!

    チャレンジャー森山

    ライター 森山伸也 
    越後の山村に住み、沢水を薪で沸かす風呂に日常のヨロコビを感じる46歳。趣味は渓流釣りと山スキー。著書に『北緯66.6° 北欧ラップランド歩き旅』がある。

    目的地奥鬼怒温泉 裏カッタテノ湯&八丁の湯(栃木県・日光市)

    道しるべ

    ◦コースタイム 女夫渕バス停(15分)奥鬼怒仮歩道入口(15分)―裏カッタテノ湯(60分)―八丁の湯
    ◦アクセス 女夫渕バス停までは東武鉄道鬼怒川線の鬼怒川温泉駅から日光市営バスで1時間35分。

    幻の野湯を目指して

    目をこすりながら鬼怒川温泉駅7時35分発の始発バスに乗る。鬼怒川源流に沿った断崖絶壁のクネクネ道に揺られること1時間半。同乗者は南アジア系とおぼしき若者。まさにアジアの山岳旅さながらのスタートである。
     
    終点の女夫渕バス停に降り立つと、足裏の雪がキュッと鳴いた。頭上に青空は広がっているが、日差しは深い谷に届かない。持参した温度計はマイナス11度C。冷気が溜まる極寒な谷底で野湯になど浸かれるのだろうか?
     
    この旅の目的地は、奥鬼怒温泉郷の「八丁の湯」。鬼怒川沿いに整備された歩道を1時間(積雪状況により倍になることも)ほど歩く道中で、幻の野湯を探し、そこに浸かることが、この旅の最大のミッションだ。
     
    予約していた送迎バスに飛び乗り、歩道入口で降ろしてもらう。地形図には女夫渕駐車場から鬼怒川沿いに歩道が延びているが、土砂崩れで通行止めになっているため、林道経由で川へ降りる仮ルートが得策である。
     
    鬼怒川に降り立つと温泉のにおいが上流から流れてきた。躊躇なく服を脱げるよう早足で歩く。
     
    事前に入手した情報によると野湯「裏カッタテノ湯」は、歩道の対岸にあるという。つまり、川を渡渉しなければいけない。長靴は嵩張るので、気合いで乗り切るサンダルを持参した。
     
    しかし、それは杞憂に終わる。堰堤のスリットを風雲たけし城ばりに飛び越えて、登山靴のまま渡渉完了。体がオーバーヒートしているうちに急げ、全裸だ。
     
    右岸の斜面から飛び出たホースが2本、湯船(といってもただの泥穴)に入水されていた。注ぎ口に手を当てると太いほうが源泉で、細い方が沢水である。絶妙な湯加減だ。誰かがうまいこと調整しているのだろう。ヒートショック予防のためスコップで3杯ほど雪を加え、本日の一番風呂をありがたくいただく。
    温泉に浸かる

    鬼怒川上流部の標高1,156m地点にある裏カッタテノ湯。カッタテノ滝のすぐ上流(裏)にあることからこう呼ばれる。氷点下11度Cから湯温44度Cへ!

    「うおーー、最高だ〜」

    最初こそ、ピリピリする刺激がやってきたが、すぐに体がお湯を受け入れ、肌に馴染んだ。外気温マイナス11度Cが信じられない心地よさ。マグマのパワーは、瞬く間に体に蓄積し、湯船から人間を追い出した。岩に座って外気浴。歩道から見えない秘境感が、野湯の価値を高めている。体感温度差55度Cの振れ幅が、いわゆる「ととのう」脱力状態を連れてやってきた。次第に歩行を拒否する魔物が、脳を支配しはじめる。まずい。
     
    鬼怒川に飛び込んで、温冷交代浴をキメたいくらい体がポカポカに仕上がった。一日ここで野湯とともに過ごしたいところだが、ランチを予約している八丁の湯へ重い腰を上げる。
     
    葉を落とした明るい森に飛び交う野鳥を双眼鏡で観察したり、氷瀑を愛でたり、アニマルトラックを追ったり、スノーハイキングの楽しみは尽きない。
     
    犬の鳴き声がした。八丁の湯の番犬が迎えにきてくれたのだ。再び凍えた体を2つの混浴露天風呂で解きほぐす。四角い「雪見の湯」に浸かっていると雪が降ってきた。シナリオどおりの展開に歯の白も雪見に加わった。
                                                               ♨
    撮影日の1月初旬は雪が少なかった。しかし今ライブカメラで確認するとたっぷりの積雪(1月20日時点)。これから大雪をもたらす南岸低気圧の予報も。読者の皆さんは、写真以上の雪見風呂を楽しめるでしょう!

    野湯ハントの必携ギア

    足元の準備

    深い新雪にはワカンやスノーシュー、凍った登山道にはチェーンスパイクと足元の準備は万全に。銀マットの切れ端や雪をかくスコップ、温かい飲み物があると全裸になるにも心強い。

    飲料

    スコップ

    銀マット

    09:40 START

    湯へ続く道は、〝湯歩道〟である

    案内板

    予約していた送迎バスで奥鬼怒スーパー林道を上り、遊歩道入口で下車。案内板に従って鬼怒川源流へ。

    自然美

    鬼怒川と岩と冷気が作り出す自然美にうっとりしながら歩を進める。谷底は終日日陰なので氷がよく育つ。

    10:30

    核心は極寒ではなく、川の渡渉

    裏カッタテノ湯に入湯

    絶妙な湯加減の裏カッタテノ湯に入湯! 湯船に浸かっていれば対岸の歩道から見えない、まさに秘湯。

    11:00

    ピンクテープを目印に川沿いを遡る

    川沿いを遡る

    氷点下だけど体はポカポカ

    雪が降ったら登山道は埋もれ、不明瞭に。木々に巻かれたピンクテープを頼りに歩こう。橋を渡ったりしながら鬼怒川を上る。

    足跡

    まっすぐはキツネ!

    11:30

    自然の造形美
    氷瀑が足を止める

    氷瀑

    歩道を歩いていると右手(左岸)からいくつもの氷瀑が姿を現わす。どれも迫力があって圧巻だ。気温が高いときは近づかないように。

    12:00

    土砂に埋もれた
    女夫渕奥鬼怒1号

    女夫渕奥鬼怒1号

    歩道のすぐ下に湧く野湯「女夫渕奥鬼怒1号」も楽しみにしていたが、少々ぬるく、浅く狭いため断念。

    氷の芸術

    あちこちに飾られた氷の芸術。冬の渓谷ハイクは、旅人を飽きさせない。頰張りながら火照った体を冷ます。

    カエデの種

    飛ぶようにくるくる回るカエデの種。雪の世界なら発見も容易だ。

    ちょうちん

    八丁の湯は奥鬼怒四湯で唯一の「日本秘湯を守る会」の会員宿である。

    13:30

    ワンウェイハイクで楽しもう!いいとこどりな秘湯ハシゴ歩き旅

    雪見温泉

    雪が降ってきた! これぞ最高の雪見

    奥鬼怒温泉「八丁の湯」

    奥鬼怒温泉「八丁の湯」

    8つの源泉を使用する奥鬼怒四湯のひとつ。「氷瀑ツアー」や「スノートレッキング」に参加すれば、道具なしで雪見散策を楽しめる。今回は日帰りの休憩パックを利用。

    料金:大人4,000円/子供3,000円。
    料金に含まれているサービスは、送迎バス/入浴料/昼食(八丁の湯オリジナルカレー・左写真/煮込みうどん/ピザ各種)/バスタオル/フェイスタオル。

    住所:栃木県日光市川俣876
    電話:0288(96)0306

    薪ストーブ

    宿の食事

    混浴の露天風呂は2つ

    宿の温泉

    風呂はすべて露天で計3つ。「滝見の湯」(上)と「雪見の湯」(右)が混浴。女性専用滝見露天風呂も。

    GOAL

    送迎バス

    帰りは送迎バス!

    休憩パックや宿泊費に含まれる送迎サービスで女夫渕へ。乗車時間は約30分。

     

    雪見野湯の楽しみ方

    ❶混浴なので声を出して存在を知らせる

    ❷乾きにくい髪は濡らさぬよう

    ❸万が一に備え、着替えは必携!

    ※構成/森山伸也 撮影/矢島慎一

    (BE-PAL 2024年3月号より)

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