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    2021.08.07

    8年ぶりの好条件!2021年最大の天体ショー「ペルセウス座流星群」到来

    8月13日午前3時頃、ペルセウス座流星群のピーク時はこんなイメージ。月明かりもなく絶好のコンディション。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    8年ぶりの好条件、月明かりなし!

    今年もペルセウス座流星群の季節がやってきました。12月のふたご座流星群、1月のしぶんぎ座流星群と並ぶ三大流星群のひとつ。今年は812日から13日にかけて見頃を迎えます。しかも、8年ぶりの、絶好のコンディションに恵まれています。

    流星群の観測条件は大きく2つあります。ひとつは月明かりがないこと。どんなに流星が流れても月明かりがあると、見える数が激減してしまいます。今年は812日の夜9時ごろには月が沈んでいます。

    もうひとつは流星群の極大時刻(理論上で流れ星の数が一番多い時刻)です。極大が昼間では流星が見えませんし、ピークが夜の場合でも、流星が出現する中心となる放射点が低いうちは見える数は少なめです。今年は放射点が一番高く昇る午前4時ごろに極大を迎えます。地域によりますが、日の出が5時ごろなので、空が明るくなりはじめる直前の午前3時半から午前4時ごろが最高の条件と言えるでしょう。

    2つの好条件が重なった今年のペルセウス座流星群は、町明かりを避けた暗い場所であれば、1時間に5060個、だいたい1分に1個くらい見られると予想されます。

    注意!12日の晩から観測準備を!

    ペルセウス座には目立つ星がありませんが、北の空にW字のカシオペヤ座を見つけたら、午前0時ごろならその少し下、午前3時ごろなら右側にあります。星空ナビなどアプリを利用すれば、簡単に見つけられると思います。

    流星群を観察するポイントとしては、だいたいペルセウス座の方角を見ながら、なるべく広い視野を保つことです。放射点がペルセウス座にあるだけで、流星はいろんな場所から飛び出します。ですので、見る方角にこだわるよりも、なるべく視界が開けて広い範囲の空を観察でき、かつ街灯などの明かりが視野に入らない場所を選びましょう。

    ピーク時の午前3〜4時はペルセウス座が北東の空高く、見やすい位置にあります。それより前の0時頃なら、ペルセウス座は北東の空、まだあまり高く上っていません。流星が見えたら、流れた方向を逆にたどってペルセウス座へ行きつくのを確かめてみるのも面白いです。ちなみに、ペルセウス座流星群以外の流星も出現しますよ。

    ここでひとつご注意を。ピークは13日の未明です。準備は12日の夜からしてください!

    8月13日午前0時頃の北東の空。12日の晩から準備!(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    流星群はピーク日の前後にかけて見られますので、もし13日未明のピーク時が曇っていても、がっかりせずに翌日も空を見上げてみましょう。アストロアーツでは8月1213日にライブ配信を行なう予定です。

    流れ星とペルセウス座流星群の速さが違う!?

    流れ星の速度も見どころのひとつです。実は、流れ方が速い流星群、遅い流星群があります。ペルセウス座流星群は比較的、速いほうに属します。

    なぜ流星に速さの違いが生じるのか。

    流星群は、その元になる母彗星が軌道上に残していったチリの帯が地球に突入して起きる天体現象です。チリが大気と衝突して光を放ちます。

    軌道上に残されたチリは、その場にピタッと止まっているわけではありません。チリとなった後も母彗星の動く方向に引っ張られたり、太陽の影響を受けたりしながら、スピードを持って動いています。このスピードが流星群によって違うのです。そこに地球がぶつかっていくわけですが、地球とチリが正面衝突するなら流星のスピードは速くなりますし、地球が追突する形であればスピードは遅くなります。チリの帯が地球に突入する時のスピードと角度、これが流星群のスピードを決めます。

    ペルセウス座流星群の夜にも、ふだんと同じように散在流星(特定の流星群に所属しない流れ星)が流れます。暗い場所なら10分〜15分に1つぐらい流れます。ペルセウス座流星群の流れ星と散在流星の違いが見分けられるようになったら、流星観察の上級者といっていいでしょう。

    ペルセウス座流星群の流星は速いので、それに見慣れてくると、散在流星がうねうねと遅く見えることもあるでしょう。といっても、願い事が3回できるほどスローな流星はありません。むしろ火球の出現を願いながら流星群を眺めましょう。火球とは金星より明るいものを指しますが、今年のペルセウス流星群で見られる可能性は十分にあります。

    先に母彗星の話をしましたが、ペルセウス座流星群の母彗星はスイフト・タットル彗星です。周期は133年。前回、地球の近くに帰ってきたのは1992年でした。133年ぶりに帰還したスイフト・タットル彗星の姿をはじめに見つけたのが日本人のアマチュア天文家、木内鶴彦さんでした。アマチュア天文家の観察は、実は世界の天文学に貢献しています。

    絶好のコンディションの中で迎える、今年のペルセウス座流星群。真夏とはいえ、夜中は冷えますので羽織れる長袖をご用意ください。また、カメラやパソコンを使う方は夜露に注意!そしてくれぐれも日付に注意!8月12日の夜から準備しましょう。

    すべての天文現象に言えることですが、あとは当夜の天気を願うばかりです。もしも曇ってしまったら……流星ライブ中継があります。晴れても曇っても、今年有数の天文現象になります。感染対策を取りながら空を見上げてください。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ(R) の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、流れ星を数えることもできるモバイルアプリ「星空ナビ」iPhoneAndroid版無料公開中。

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