アウトドアショップの先駆け「SPORTS TRAIN」のオーナー油井昌由樹さん特別インタビュー【創刊40周年記念企画 アウトドアズマン列伝】
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    2021.07.20

    アウトドアショップの先駆け「SPORTS TRAIN」のオーナー油井昌由樹さん特別インタビュー【創刊40周年記念企画 アウトドアズマン列伝】

    初めて買ったギアは、アメ横で売っていた米軍放出寝袋

    BE-PAL創刊とともに日本にアウトドア文化がやってきて早40年。日本のアウトドアシーンを索引してきたキーパーソンへのインタビューリレー第6弾は、アウトドアショップの先駆け的存在の「SPORTS TRAIN」オーナー油井昌由樹さんです。初代編集長がBE-PALを始める前に最初に相談したのが、油井さんだった!? BE-PALとの深い関わりについて語っていただいています。その一部をご紹介。

    BE-PAL創刊時の思い出から教えていただけますか。

    「僕が西麻布に構えていたアウトドアショップ『SPORTS TRAIN』(通称スポトレ)の常連客のひとりが、後に初代編集長になる中村滋さんでした。ある日、「じつはアウトドアの雑誌を作りたいのだけれど」と相談されて、ブレーンにと田渕義雄さんを紹介したのが最初の関りです。田渕さんは、『フライフィッシング教書』を書かれていた自然派作家で、彼もまたスポトレの常連でした。中村さんも釣り好きだったから、ふたりでつるんでフライフィッシングに出かけるようになり、 そこで打ち合わせをしていたようです。 一方僕自身、『Made in USA CATALOG』や『POPEYE』 の創刊に携わった編集者・ライターでもあったので、編集作業を手伝わせてもらいました。創刊前年(1980年) のプレ創刊号では、スポトレの床に台割(どのページにどんな内容を入れるかを書き込んだ雑誌の設計図のようなもの)を並べて、『このページとこのページは順番を入れ替えよう』とかやったんですよ」

    その頃は、コールマンの200Aラ ンタンにしろL.L.Beanのトートバックにしろ、日本で手に入れることができるのはスポトレだけだったと中村さんは述懐されています。アメリカのアウトドアカルチャーやグッズをどのようにして知ったのですか

    「もともと僕は都会派の人間なんです。学生時代はパンタロンにロングヘアーという恰好で、遊びといえば赤坂などで踊ることでした。そんな僕が上野のアメ横で買ったのが、米軍放出の寝袋でした。当時はベトナム戦争中でしたから、米軍放出品が簡単に手に入ったんです。この寝袋が、僕が初めて手にしたアウトドアグッズです。とはいえ、アウトドアで使うためではありません。 友だちの家を泊まり歩くためだったんです。寝袋を持っていくと布団を用意しなくていいし、シーツも汚しません。 手がかからないから、友だちのお母さんに『油井君なら、また泊まりにきてもいいわよ』とかいわれたりして、評判がすこぶるいいんですよ(笑)。大学卒業後、僕はこの寝袋を持って世界一 周の旅に出ました。最初に向かったのはアラスカ。そこで初めて大自然を目の当たりにして、『なんてすげえんだ』 と衝撃を受けたんです。僕はその場でバックパッカーになりました。パンタロンとロングヘアーからリーバイス501とバンダナへ恰好を変え、マッキンリーに登ったり、タイガ地帯をアラスカ鉄道で内陸奥深くまで旅したりしました」

    まだ、「アウトドア」ということばさえ一般的ではなかった時代に、いきなりモノから入っていったんですね。

    「僕自身渓流釣りを始めたんですが、 日本の場合、山の奥まで入らないと魚がいません。だから、山の中でキャンプするようになりました。川のそばで 泊まれば、朝マズメに釣りができますからね。さらにキャンプ自体を楽しむようになり、そうやってだんだんアウ トドアのスキルを身につけていったのだけれど、もともと都会派の人間なので道具がないとダメなんです。でも、 それでいいと思った。最先端の道具、 便利な道具を使ってプリミティブな体 験をする――そのコンセプトは今でも変わりません。当時は、山をガンガン登っているような人たちからは、『なんて軟派な野郎だ』と思われていたようですけどね(笑)」

    それからほぼ半世紀が経ち、多くの人がアウトドアを楽しむようになりました。油井さん自身に変化はありましたか?

    「僕のアウトドア観は変わりません。なぜなら、自然は変わらないから。都会のライフスタイルやファッションは時とともに移ろってゆくけれど、自然は常に同じままそこにあります。だから、僕らのアウトドアとの関わり方、 アウトドアライフも変わりようがない んです。この50年、アウトドアブームといわれる現象が何回かありました。 その都度、ブームが去った後も本当に好きな人だけは残って、少しずつアウ トドア人口が増えてきました。かつて、 僕の息子が小さい頃は、小学校のクラスの中でキャンプをやる家族はウチ以外にいませんでした。でも今、孫のクラスでは誰もが家族でアウトドアを楽しんでいます。これはたぶん一過性のブームではないと、僕は期待しています。都会でのストレスフルな生活には自然の中でバランスを取る時間が必要で、それに気づいた人たちの中で、『森の生活』が定着するのではないかと思っています」

    公式YouTubeでインタビュー動画を配信中!

    動画では、油井さんの旅の話や現代のアウトドアについても深く語っていただいています。プレオープン中のキャンプ場でインタビューが行なわれたので、シカの鳴き声が聞こえてくるかも!? 耳をすませてみてください!

    ※構成/鍋田吉郎 撮影/小倉雄一郎 聞き手/沢木拓也(編集部)

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