「ピロロロロ」「チュチュチュ」。いったい何種類いるのだろう、小鳥のかわいい歌声とニワトリの伸びやかな鳴き声が目覚まし時計となって目が覚めた。
午前6時過ぎ、敏夫さんはすでに母屋作りの準備に取り掛かっていた。横では2週間前からホームステイを始めた神戸出身の青年が、師匠のノウハウを身につけようと見守っている。リトルカントリーでは、この暮らしに憧れて全国からプチ弟子入りを志願する人たちを受け入れてきた。
朝食は、敏夫さんが週末に焼く石窯パン。移住当初からリトルカントリーの貴重な収入源である、自家製酵母が作用するその味は20数年来変わらない。袋から取り出すと熟成醤油のような芳香が広がり、重要感のある見た目とは違ってサックリと軽い口当たり。奈美さんお手製のジャムをたっぷりのせて、あっという間に2枚たいらげてしまった。
「したいことをする生き方」で、お金をかけずに夢を叶えてきた夫妻。今の暮らしに多少の迷いや不安を抱えているなら一度足を運んでみてほしい。本当の豊かさとは何か? そのヒントが見つかるかもしれない。 (つづく)
▼データ
リトルカントリー
Tel.0967-46-5403
熊本県阿蘇郡小国町上田869
(宿泊B&B リトルロッジ)1泊朝食付き4,500円〜
(森のレストラン)土・日曜、祝日営業、10:00〜17:00
▼著者プロフィル
文・写真/三角由美子
フリーライター(熊本県在住)。コトバを通じて誰かの気づきや第一歩をお手伝いすることが生きがい。近ごろ旅したスペインに片思い中。著書に『熊本カフェ散歩』、『熊本の海カフェ山カフェ』(いずれも書肆侃侃房)などがある。