2020年に東京から長野県佐久市に移住した筆者が綴る、リアル移住事情。今回は、移住後の生活全般について、東京在住の頃とどう変わったのか、お話したいと思います。前回の記事はコチラ。
移住前と移住後の生活リズム
東京に住んでいたころ、私は出版社勤務でした。特に編集者時代は夜型の生活で、終電まで仕事をして帰宅し、朝は出勤時間ギリギリまで寝ていました。食事も当然、食べられればいいという感じで、朝はトーストとコーヒーのみ、昼は片手で食べられるコンビニのサンドイッチやおにぎりで(空いている片手で仕事ができるからです)、午後はときどき間食をつまみます。深夜に帰宅するとヘトヘトで食欲もないので、ヨーグルトだけ食べて寝る……といったひどい食生活をしていました。
移住してからは、全般に生活リズムが前倒しになりました。早起きといわれるほどではありませんが、普通に人間らしいリズムにはなったと思います。
そもそも、夜遅くまで店舗が営業している東京に比べ、こちらは夜は早く閉まる店が多いので、人々の活動も自然と早めに終了となるようです。特に移住後に減ったのが、夜に呑みに行くことです。長野では移動するのに車が必要なため、どこかに呑みに行くとなると、誰かに運転をしてもらう必要があります。タクシーや運転代行サービスを使えばお金がかかりますし、外に呑みに行くのはややハードルが高いように感じています。
食事内容も変わりました。狭いですが、自家菜園用に畑を借りたところ、野菜が次から次にできるので、料理の際は野菜を大量にぶち込みます。夏場の収穫最盛期には野菜でお腹がいっぱいになるくらいで、かなり健康的な食生活に変わりました。
ところ変われば生活も変わる。もちろん自分に合わない生活リズムを無理に取り入れる必要はないと思いますが、せっかくなので土地の人たちに合わせた生活をしてみるのも、移住の魅力のひとつだと思います!
東京と佐久の買い物事情比較
次に、私が暮らしている長野県佐久市の買い物事情について。移住して特にうれしかったのが、食材が新鮮で安いことでした。スーパーで売られている野菜や肉、魚などが全般に安く、産地が近い野菜などは超新鮮です!味に定評のある地元の和菓子屋さんやケーキ屋さんのスイーツも、東京に比べると安いと思います。
普段の生活における買い物は、ほとんど不便を感じたことがなく、むしろ満足度は高いです。私の住む佐久市は比較的いろいろなお店が揃っていますし、オシャレな店の多い軽井沢までは車で30分。お店で欲しいものが見つからなくても、今やインターネット通販で探せば、ほぼ求めるものが手に入ります。逆に、専門店での買い物は東京のほうが便利です。友達の家に遊びに行くときの手土産で“ちょっと気の利いたもの”が欲しい時や、実物を見て比較検討してから購入したい家具などは、東京のほうが圧倒的に専門店が多く、選択肢があるので選びやすいなぁと思ったりします。
私の個人的な事情としては、長野県で登山・アウトドア用品の店を開拓中です。特にスキー用品は、購入する際にメンテナンスも含めお店の方に相談したいことが多いため、インターネットでなく店舗で買いたいのです。最近はコロナ禍で東京に出るのが困難ですし、白馬などに遊びに行った際に購入することが多くなりました。
日常生活での満足感・幸福度
東京に住んでいたころは、毎日満員電車に乗ってオフィスビルや店舗の立ち並ぶ都心へ通勤していました。休日のショッピングやお出かけでは、行列や渋滞に耐えることもしばしば。日常の景色といえば、人混みや、車やビル、駅や電車など人工物が思い出されます。
移住をしていちばん良かったなぁと思うのが、日常生活で目に入ってくる景色が全く違うことです。建物はほとんど低層階のため、空がものすごく広いです。そして、雄大な浅間山や八ヶ岳連峰が見られること。菜の花畑や田んぼのあぜ道を、自転車をこぎながらスーパーへ買い物に行きます。移住したばかりのころは、大自然を近くに感じられる日常が夢のように感じました。生活における満足感や幸福感に、景色が大きく関係しているんだということを、移住を通して知りました。
つまるところ、東京では情報や物が充実しているぶん「幸せ」をピックアップするのが難しかった気がします。移住後は、生活の要素がシンプルになり、身の回りの小さな幸せがたくさん感じられるようになりました。これも地方移住の良さのひとつだと思います。
余談ですが、移住後に感じた大きな変化がひとつありました。以前はあんなに旅行好きだったのに、旅行欲が著しく低下したことです。以前は休暇を使って、自然豊かな景色や澄んだ空気を味わうために長野県へ足を運んでいたのですが、自宅の周辺で心が満たされることが多くなったので、どこかに行きたいという欲求が減りました。
でも、言い方を変えれば、満たされることは多いけど、刺激は少なくなったような気もします。数年経って長野の景色に慣れたころには、今度は東京に旅行に行きたくなるのかもしれません(笑)。