日本古来の伝統食、干し柿。柿が長寿の木であることや、幸せを「かき」集めるとの語呂合わせから、干し柿はお正月の縁起物としても愛されてきました。
そんな干し柿作りに、都会のベランダでチャレンジしてみませんか?
干し柿セットも市販されており、手軽にチャレンジできますよ。しかも自分で干せば、固さも自由自在に調節可能。高級干し柿のようなふんわりやわらかな干し柿が作れますよ。
材料
今回は市販されている「つるし柿セット」を使いました。T字型の軸がついた柿、ロープ、説明書が入ったセットで、初心者におすすめです。
今回は軸つきの柿を使うため不要ですが、もし軸がついていない柿を使う場合は、ヘタに装着して使う「干し柿用クリップ」を使うといいですよ。
ロープは1mほどのPPロープが使いやすいです。
今回は山陰地方でよく食べられる「西条柿」を選びました。
形が縦長の西条柿は皮をむきやすく、初心者の干し柿作りにおすすめの品種です。
気候・干す場所
- 気温20度以下
- 風通しがよく雨があたらない場所
- 直射日光を避ける
干し柿用の渋柿が出回るのは例年、10月下旬〜11月下旬くらいです。
気温が20度以下で、よく空気が乾いた日を選んで干し柿作りをしてみてください。場所は風通しがよく、雨があたらない軒先やベランダがおすすめです。
柿の水分が多い干し始めから10日くらいは、直射日光を避けられる場所がいいでしょう。水分が多い状態で温まりすぎると発酵する危険がありますし、急激に乾燥してしまうと外側だけが固くなってしまいます。
作り方
まずはヘタ近くの皮をガクごと除きます。
ヘタ近くの皮は汚れや雑菌が残りやすく、残しておくとカビなどの発生原因になります。できるだけきれいに除くのがポイントです。
全体の皮をむきます。包丁でもいいですが、ピーラーを使うと手軽に早くむけますよ。
くぼんでいるところや傷になっているところは、包丁やピーラーの「耳」を使ってむきます。
皮が残ると、できあがったとき不格好になります。食感も悪いので、できるだけきれいにむくのがポイントです。
熟しすぎた柿は、干している間にヘタと実が分離して地面に落ちてしまうため、除きます。
このような柿は全体がゼリー状に熟すまで待って、食べてみてください。
渋柿は完熟すると渋が抜けて甘くなります。冷蔵庫で冷やしたものをスプーンですくいながら食べてもいいですし、凍らせてもシャーベットのような食感になって美味しいですよ。
皮がむけたところ。ここから「つるし」の工程に入ります。
PPロープをねじり、隙間をあけます。
ロープをねじってできた隙間に柿の軸を入れ、固定します。
柿同士が触れ合わないくらいの隙間をあけ、同じロープに5個程度の柿を固定します。
もしT字型の軸がついていない柿を使う場合は、軸の代わりになる「干し柿用クリップ」が市販されているので、装着して固定します。
深めの鍋に湯を沸かし、柿を2〜3秒ひたして消毒します。
消毒後は柿に素手で触れないようにしてください。カビ発生などで失敗する原因になるため、ビニール手袋を装着するか、手指をアルコールなどで消毒してから触れるようにしてください。
ベランダや軒先などにつるし、乾燥させます。もし暖かい雨が続いたり、台風が来そうな場合は室内に取り込んで扇風機や除湿機で乾かしてください。
1週間〜10日くらい経って表面が乾燥したら、中の固い部分をもみほぐすと、早く渋が抜けてやわらかい干し柿ができます。湿度が高い日に触れるとカビが生えやすくなるので、よく晴れて空気が乾燥した日を選び、必ずビニール手袋をするか手指をアルコールでよく殺菌してから触れるようにしてください。
干し始めから2週間ほどで渋が抜け、「あんぽ柿」と呼ばれるやわらかい干し柿になります。あとはお好みの固さになるまで干せば完成です。
トラブルの対処法
ここからは干し柿を作る上でよくあるトラブルと、対処法を紹介します。
発酵
干しているときに果汁がボタボタ垂れてきたり、泡がでてくるのは発酵のサインです。
気温が高かったり、直射日光を浴びると発酵しやすくなります。初期なら日陰に移せば持ち直してくれます。
発酵が進んでくるようなら、柿酢にしてしまうのもひとつの手です。
カビ
干し柿にまつわるトラブルで一番多いのが「カビの発生」です。
- 高い気温と湿度
- 柿同士が接触することで水分がたまる
- 消毒していない手で触れる
これらの原因でカビが発生しやすくなります。
カビを見つけたら周辺を大きめに切り取り、焼酎などアルコール度数の強い酒を吹きかけて消毒してください。
鳥害
ベランダなど人の気配がある場所だとあまりないですが、駐車場や庭の一角など人気のない場所に干した場合は、カラスなどの鳥に食べられることがあります。
鳥も食べ頃を狙ってやってくるので、人気のない場所に干す場合は、ネットをかけたり鳥が嫌うものを設置して予防してください。
干し柿作りで日本の秋を楽しもう
自分で作った干し柿はふんわり柔らかく、とても美味しいですよ。
涼しくてよく乾燥した日が数日続くときを狙って、ぜひ試してみてくださいね。