【シトロエン C5エアクロスに試乗】がっつり積めてほっこり乗れる! | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

試乗記

2026.09.29

【シトロエン C5エアクロスに試乗】がっつり積めてほっこり乗れる!

【シトロエン C5エアクロスに試乗】がっつり積めてほっこり乗れる!
日本では2019年に登場した初代「C5エアクロス」。当時シトロエンが推し進めていた、快適性を何より重視するクルマ作り“シトロエン・アドバンスト・コンフォート”を色濃く反映し、独特の乗り心地で存在感を放ったSUVである。そのフラッグシップモデルが2代目へと進化した。荷物を積んで遠くへ出かける相棒として、その実力を確かめてみた。

C5エアクロスってどんなクルマ?

シトロエンのアイコンは、山歯歯車をモチーフとした「ダブルシェヴロン」。最新のエンブレムは、1919年の創業時に使われた初代ロゴを現代的に再解釈したフラットなデザインだ。

1934年に登場した「トラクシオン・アヴァン」は、前輪駆動やモノコックボディなど、当時としては先進的な技術を積極的に採用。そして1955年の「DS」は、彫刻家でもあったフラミニオ・ベルトーニによる未来的なスタイリングに加え、ガスと油圧を使ったハイドロニューマチック・サスペンションまで備えていた。つまり、見た目だけでなく、快適に移動するための仕組みそのものを独自に考える。それが昔からのシトロエンらしさなのである。

もちろん時代とともにデザインも機構も時代に合わせて進化し、ハイドロニューマチックそのものもすでに姿を消している。しかし、他と同じではなく、独自の方法で快適な移動を実現しようという考え方は、今も受け継がれている。その現代的な回答のひとつが、独特の乗り心地を追求した先代C5エアクロスであり、その思想をさらに進めたのが、この2代目C5エアクロスというわけである。

シトロエンが属するステランティスグループの新世代プラットフォーム「STLA-Medium」を採用。低重心化を図るとともに、ホイールベースを従来型より60mm延長し、そのほぼすべてを後席の足元スペース拡大に充てている。

2代目では基本骨格を「STLA-Medium」と呼ばれる新世代プラットフォームへ一新するとともに、そのスタイルも丸みを帯びた先代から一転して、直線を生かしたシャープなデザインになった。ボディサイズは全長4,655×全幅1,905×全高1,710mmと、先代より155mm長く、55mm幅広い(全高は変わらず)。全長と全高は、身近なところでスバル・フォレスターとほぼ同じ。全幅はそれよりも75mmワイドだが、巨大なSUVというほどではない。

室内に乗り込んでまず感じたのは、思った以上に視界が広く、開放感が高いことだった。水平方向のラインを強調したダッシュボードはすっきりとしていて、その中央からセンターコンソールにかけて、13インチの縦型「ウォーターフォールスクリーン」が伸びる。大きな画面を備えながら圧迫感が少ないのがいい。ホイールベースが伸びたことで、後席の足元スペースは先代より約50mm広がった。

水平基調で仕立てられたダッシュボードまわり。上下2段の造形とし、下段にはなだらかな傾斜をつけることで、13インチのウォーターフォールスクリーンとともに開放的な空間を実現している。

そしてさらに印象的なのがシートである。今回乗った上級のMAX HYBRIDグレードには「アドバンストコンフォートシート」が備わる。座った瞬間は柔らかい。けれど、適切なポジションを取ると必要なところでしっかり支えてくれる。沈み込みすぎないので、長く座っていても姿勢が崩れにくいのがいい。

表層には柔らかなパッド、内部には高密度フォームを組み合わせ、抜群のかけ心地を実現したアドバンストコンフォートシート。MAX HYBRIDにはプレミアムテップレザー&ファブリック表皮が組み合わされる。

BE-PAL的に気になるラゲッジルームも優秀だ。容量は通常時で565ℓ、後席を倒せば最大1,668ℓ(いずれもVDA方式の値)。フロアを実測すると幅は約95cm、奥行き約92cmあり、後席を前倒しすると奥行きは約180cmまで有効となる。しかも荷室のホイールハウスの張り出しが比較的小さく、四隅まできっちりと使える。これはテントやチェア、クーラーボックスなど、形も大きさもバラバラなキャンプ道具を積む際にはありがたい。後席は4:2:4分割なので、中央だけを倒して長尺物を積みながら4人乗車することもできる。荷室床下にも収納スペースがあり、濡れたものや、普段は見せておきたくない小物をしまうのにも使えそうだ。

通常時の荷室は幅95cm×奥行き92cm、トノーカバーまでの高さは45cm。左側には12V電源ソケットがあり、床下にはたっぷりとした収納を備える。後席は4:2:4分割で前倒しでき、リクライニングも可能だ。

シトロエンらしい心地よさは健在!

日本仕様のパワートレインは、1.2ℓ直列3気筒ガソリンターボにモーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドのみ。システム最高出力は145PSで、前輪を駆動する。この145PSという数字だけを見ると、1630kgの車体には少し控えめにも思える。けれど街中ではモーターのアシストがうまく効いていて、発進から中速域までは軽快そのもの。ドライバビリティが高く、扱いやすさに優れる実用ユニットだと思う。3気筒エンジン特有の音や振動も、普段使いで気になるようなところはない。ただ、高速道路で追い越しをかけたときには、もうひと押し欲しいと感じる場面もあった。このあたりは、パワフルなSUVを期待して乗ると少し違うかもしれない。

独自の足まわり「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」は、優しい乗り心地としっかりとした接地感を両立。安心してステアリングを握っていられるのも、このクルマの魅力だ。

もっとも、しばらく走っていると、そんなことはあまり気にならなくなった。というのも、このクルマは速く走らせたときより、淡々と距離を重ねているときのほうが、よさが出てくるからだ。その中心にあるのが、シトロエン独自の「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」である。サスペンションが大きく動いたときの衝撃を、メインダンパーとそこに内蔵されたセカンダリーダンパーで穏やかに受け止める仕組みだ。

「Citroën Light Wings(シトロエン ライト ウイングス)」と呼ばれる特徴的なテールランプ。個性的な造形は見た目だけでなく、空力性能の向上にも効果をもたらすという。

実際に走らせると、路面の荒れを無理に抑え込むのではなく、うまく受け流しているような感覚がある。フワフワしているわけではない。タイヤが路面を捉えている感覚は残っているのに、ガツンという衝撃だけが一段丸くなる。この足まわりとアドバンストコンフォートシートの組み合わせが実にいいのである。

高速道路を長く走って、その先で少し路面の荒れた山道へ入る。そういう場面では、C5エアクロスのキャラクターがよく分かる。最低地上高も245mmあるから、キャンプ場へ向かう程度の未舗装路なら、腹下をそれほど神経質に気にする必要もない。

上級グレードのMAX HYBRIDには、悪路での空転を抑えるグリップコントロールを装備。さらに日本仕様ではオールシーズンタイヤ(ミシュラン・クロスクライメート2)が標準装着されるのもうれしい。 

さらにMAX HYBRIDグレードには、雪道やぬかるみなどで前輪の空転を抑える「グリップコントロール」とオールシーズンタイヤを標準装備する。4WDではないので過信は禁物だが、それでも、季節や場所によって路面状況が変わるアウトドア用途では、こうした装備があるだけでも安心感は違う。

C5エアクロスには、誰にでも分かるような派手な速さや、SUVらしい力強さをことさらにアピールするところはない。でも荷物はきちんと積める。長距離を走っても疲れにくい。そして少々荒れた道にも、そのまま入っていける。

ボディカラーは写真の「ブラン・オケニトゥ」(メタリックホワイト)のほか、グリーン、ルビーレッド、ブラックの計4色を設定。試乗車のMAX HYBRIDと、標準グレードのPLUS HYBRID(550万円)の2グレード展開となる。

何より、乗ってみるとほかのSUVとはちょっと違う。ただ個性的なだけではなく、その個性がちゃんと人の快適さにつながっているのがシトロエンなのである。輸入車は少し敷居が高いと思っている人にこそ、この“ほっこりする乗り味”を一度体験してほしい。遊びに行くまでの道のりまで心地よくしてくれる、なかなか気の利いた相棒なのである。

シトロエン C5 エアクロス MAX HYBRID

  • ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,655×1,905×1,710mm
  • 車両重量:1,630kg
  • 最低地上高:245mm
  • 最小回転半径:5.5m
  • 駆動方式:前輪駆動
  • トランスミッション:6速DCT
  • エンジン:1.2ℓ直列3気筒ガソリンターボ
  • エンジン最高出力:100kW(136PS)/5,500rpm
  • エンジン最大トルク:230Nm/1,750rpm
  • モーター最高出力:15kW/4,264rpm
  • モーター最高トルク:51Nm/750〜2,499rpm
  • 車両本体価格:¥5,850,000~(税込み)

問い合わせ先

シトロエン 

TEL:0120-55-4106

著者画像

桐畑 恒治さん

ライター&エディター

1973年生まれ。琵琶湖のほとりで生まれ育ち、学生時代はスキー、スノーボード、サーフィン、釣りなど、ひと通りのアウトドアアクティビティを経験。自動車専門誌の編集記者となって以降はその活動も停滞気味だったが、フリーランス・ライターとなった現在は改めて外遊びを満喫したいと目論む今日この頃。まずは自分自身の相棒(愛車)選びも含めてクルマの魅力を探り、紹介していきたいと思います。

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