二年前のお正月に能登で起きた地震は、日本中の誰もが心を痛めた出来事でした。
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奇跡の一便で輪島へ
友人のイタリアンレストラン「オリゾンテ」は、地震直後に発生した大規模火災の現場となったブロックの、まさに目と鼻の先にありました。祈るような、すがるような気持ちで当時の報道映像を追い続けていたのを覚えています。
オリゾンテのオーナー、やす(惣領泰久)くんファミリーの無事が分かったとき、僕は心の中で静かに神に手を合わせました。
それからしばらくして、自分にも何か力になれることはないだろうかと思い至り、僕がリーダーを務めるボランティアグループ「Change The World」で作り育てているお米を、その春に約120kg、オリゾンテへ送ったのが、「Change The World」と輪島とのささやかなつながりの始まりでした。
地震から一年が経った昨年は210kg、そして今年は240kg。今では「Change The World」を一般社団法人化し、広く協賛(*文末をご参照ください)を募るようになったことで、少しずつですが、こうして寄付できるお米の量も増えてきています。

今回の輪島訪問には、熊本から僕を含む「Change The World」のコアメンバー三人に加え、日頃から陰日向となって僕らの活動を支えてくれている、農業法人「のはら農研塾」代表の野原健次さんが参加しました。さらに千葉からはライターのノブさんが羽田で合流し、僕らは能登空港行きの飛行機に乗り込みました。
昨年、同じ便に乗ったときは、多くのボランティアの方々でほぼ満席だったと記憶しています。しかし今回の機内には、目立って空席がありました。
フライト予定日の数日前から、日本海側には発達した低気圧が近づいており、僕らが輪島へ向かう前日の便はすべて欠航。メンバーとも話し合い、一時は中止や延期も頭をよぎりました。それでも欠航が正式に決まらない限りは搭乗口まで行こうと決め、あとは天に任せることにしました。
のちに知って驚いたのですが、僕らが搭乗したその次の便は欠航したそうです。つまり僕らは“奇跡の一便”に乗ることができた、というわけです。
僕らのお米でみんなを笑顔に!

能登空港では、やすくんが満面の笑顔で迎えてくれました。昨年、彼は家族揃って「Change The World」主催の稲刈りイベント「Rice Field Fes.」に熊本まで来てくれていたので、こうして会うのはそれ以来です。
彼の車に乗り込み、真冬の雪道を走って輪島の市街地へ向かいます。復旧・復興は日々進んでいるものの、地震や水害の爪痕は、今もなお色濃く残っています。田畑に土砂が流れ込んだままの場所も少なくなく、元通りに戻すことが叶わない土地もあると聞きました。
現地に着いてまず目に飛び込んできたのは、本格的な取り壊しに向けた準備のため、すっかり姿を変えてしまったオリゾンテの建物でした。シンボルでもあった、輪島の海を思わせる青い扉は外され、シックなグレーの壁も剥がされ、ボードがむき出しになった壁面が冬の冷たい風にさらされています。

その姿を前に、僕でさえ胸に込み上げるものがあったのですから、当事者であるやすくんの思いに、たやすく寄り添えるはずもありません。
初めてオリゾンテでライブをさせてもらったのは、何年前のことだったでしょうか。やすくんとの付き合いも、気づけば十年に手が届くほどになりました。こぢんまりとした店内には、彼の人柄そのもののような温もりがあり、誰からも愛される空間でした。
数年前に行われた、住居部分も含めた大規模なリフォームは、彼にとって大きな賭けだったはずです。新しく生まれ変わったオリゾンテが、これから、というまさにその矢先の災害でした。
それでも彼は、傾いてしまった建物を取り壊し、もう一度やり直す決意をしました。
僕らの気持ちはただ一つ。そんな彼ら家族、そしてそこに集う人たちを、ほんの少しでも支えたい。その気持ちを、僕ら「Change The World」は「お米」という形で届けています。

オリゾンテを入り口に、輪島で暮らす皆さんに少しでも元気になってもらえたら。そんな思いから、昨年スタートさせたのが「Free Day Wajima」というイベントです。
さあ、楽しい時間のはじまりはじまり
当日は、「Change The World」の活動を長年サポートしてくれているシューズブランド「KEEN」からもお二人が駆けつけ、オリジナルのカラビナを作るワークショップを開いてくれました。僕も試しに一つ作ってみましたが、カラフルなパーツを組み合わせる作業は思いのほか楽しいものでした。

今年の「Free Day Wajima」の会場は、元のオリゾンテの真向かいに新しく建てられた仮設店舗です。市街地では公的機関と自治体が連携して、このような仮設店舗の建築が進められて来ました。
真新しい店内はスッキリ広々としており、入口こそ一箇所ですが、二軒分のキッチンスペースが備えられています。もう一店舗は、やすくんの友人のお店「のと吉」さんが入り、シェアスタイルで営業することが決まっているそうです。この日は「のと吉」さんも協力してくださり、僕らのお米をたっぷり炊いて、会場まで運んでくれました。

15時のイベントスタートと同時に、たくさんの人が足を運んでくださいました。その多くは、近くの仮設住宅で暮らしているお年寄りの方々。用意した椅子とテーブルはすぐに埋まり、会場には楽しげなおしゃべりや笑い声が響き渡ります。ワークショップにも、皆さんとても真剣に取り組んでおられました。

この日のために用意されたメニューは、カレーやガパオライス、海鮮丼、ピザなど。もちろん、ご飯ものはすべて僕らのお米です。海鮮丼のための魚を用意してくださったのは、震災直後からやすくんと一緒に炊き出しなどをなさってきた、中小路商店の武士さんです。自らも被災の当事者でありながら、人命救助や支援のために尽力してこられた方々には、深い敬意を禁じ得ません。

「いくらでもおかわりしてくださいね。お土産に、お米も持って帰ってください」僕らは来てくださったみなさんに、そう呼びかけました。
この日に向けて、「Change The World」のお米・二合入りパックを約100セット用意していました。持ち帰って、自宅でも食べてもらえるように。

「ありがとう」と声をかけられるたびに、僕は「こちらこそ、ありがとうございます」と返しました。本当に、そういう気持ちだったのです。喜んでくれてありがとう、僕らのお米を食べてくれてありがとう、と。
自分の行いによって誰かが喜んでくれる。それ以上に幸せなことがあるでしょうか。
夕方になると、小中学生や小さなお子さんを連れたお母さんたちの姿も増えてきました。一人一人にお米のパックを手渡していると、自然と笑みがこぼれます。

温かな空気に包まれる中、まだ日が落ちきらない時間でしたが、僕は野原さん、ノブさん、今回フォトグラファーとして参加してくれた「Change The World」のデザイナー奥田くん、そしてやすくんたちと、ワインを少しだけ味わいました。
それから、ワークショップがひと段落したところで、「Change The World」で活動を共にしている友人、ミュージシャンのPeace-Kくんとミニライブを行いました。富山からギタリストの友人も駆けつけてくれての、即興的なセッションです。

どこにいても一つの道につながっているはず
お米と音楽。僕らが自信を持って届けられるのは、この二つだけですが、これなら続けていけると感じています。
8升も炊かれたお米はそのほとんどがなくなり、用意していた100の米パックも、ほぼぴったり配り切ることができました。

短い時間ではありましたが、もしかすると僕らにも、この街に小さな灯りを灯すことができたのかもしれません。
「子どもたちのために輪島を……」
「子どもたちのことを思うと……」
やすくんが少し遠くを見つめながら語るとき、その言葉はいつも「子どもたち」で始まります。
そんな彼の声を聞くたびに僕は思うのです。大人が地域のため、あるいはこの国や世界のためにやるべきことは、どこに住み、どこで生きていても、きっと一つの道につながっているのではないかと。

そして思い返せば、熊本地震のとき、僕らはどれほど多くの方々に支えてもらったことでしょう。
能登地震から二年が経った今も、輪島の風景はあちこちに痛みを抱えたままです。
だからこそ僕らは、ときどきこの場所に戻ってきて、ここで暮らす人たちの心の中の風景に、たった一日でも、小さな灯りを灯せたらと願っています。「Change The World」の活動をしている時、僕はとても幸せを感じます。なぜなら、尊敬できる仲間たちと一緒に、人々のために力を尽くすことができるのですから。
※「Change The World」はこれからも、自分たちが日頃食べるお米とともに、輪島へ届けるお米、そして福島県南相馬市の「よつば保育園」の子どもたちへ贈るお米を、育て続けていきます。皆様からのご支援なども随時受け付けています。インスタグラムからメッセージをお送りください。
「Change The World」公式インスタグラム
https://www.instagram.com/gia_change.the.world
2026年1月現在 「Change The World」協賛企業
KEEN JAPAN https://www.keenfootwear.jp/
Coleman Japan https://www.coleman.co.jp/
GOHEMP https://www.gohemp.jp/
株式会社 遠藤製餡 http://www.endo-s.co.jp/
株式会社 ヘンプフーズジャパン https://shop.hempfoods.jp/
株式会社 PLAY THE EARTH https://kenchansauce.com/
東田トモヒロNEWS

今年も雪の北海道を旅します。
2026 雪旅 スケジュール
2月21日(土) 紋別
和風スナック ほるすたいん
open18:00 start19:00
前売り2500 当日3000
チケット問合せ:Instagram @holstein625 @takuya_kakehashi
2月22日(日) ニセコ
“雪旅” 東田トモヒロ with pandemic snow 328
shabu-shabu SHO
open start 22:00
前売り2000 当日3000
チケット問合せ:Instagram @shabushabusho
2月23日(月) 当麻
ココペリ
open18:00 start19:00
前売り2500 当日3000 1 drink order
チケット問合せ: ココペリ TEL:0166-84-5938
2月24日(火) 中富良野
北星庵
open18:00 start19:00
door ¥2500
チケット問合せ: 北星:080-1888-5025
2月25日(水) 十勝
“TAC” とかちアドベンチャークラブ
open18:00 start19:00
前売り2500 当日3000
チケット問合せ:Instagram @tac_hokkaido
2月27日(金) 興部
CLC
open18:00 start19:00
前売り2500 当日3000
チケット問合せ:Instagram @city_lights_coop_okp
2月28日(土) 稚内
the catswhiskers
open18:00 start19:00
前売り2500 当日3000
チケット問合せ: Instagram @soya.films







