私たちは3年間、ヨーロッパ各国をキャンピングカーで旅しながら100本以上のトレイルを歩いてきました。その中で痛感したのが、「海外でハイキング情報を集めるのは想像以上に大変だ」ということです。
今回は、そんな私たちが実際に行なっている海外登山・ハイキング情報の探し方と、心強い地図アプリ&お天気サイトをご紹介します。これから海外でハイキングにチャレンジしたい方の参考になれば嬉しいです。
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海外登山の第一の壁は“情報不足”。日本では当たり前の情報がほとんどない?!

日本で登山やハイキングを計画するときは、登山アプリを使えば距離や標高差、行程時間、難易度、登山道の状態、登山口や駐車場、トイレや水場、山小屋といった細かい情報を簡単に入手することができます。
さらに、BE-PALのようなアウトドアメディアや登山ブログには、体験談やコースレポートが豊富に掲載されていて、登る前からしっかりイメージを掴むことができとても便利です。しかし、海外ではこの「当たり前」がほとんど通用しません。
まず、日本のように登山・ハイキングの“実体験”情報をまとめているアプリやサイトがとても少ないのが実情です。あっても紹介されているのは有名な山ばかりで、少しマイナーなトレイルになると全く情報が出てこないことも珍しくありません。
特に知りたい、「登山道の整備状況」や「難易度の高い鎖場や岩場の有無」、「途中に水場やトイレはあるのか」といった実用的な情報は、どこを探しても見つからないことが多いです。ようやく誰かの登山ブログを見つけても、載っているのは頂上からの絶景写真や感想中心で、肝心の登山道のコンディションや注意点にはほとんど触れられていない、なんてことがよくあります。

さらに大きな壁となるのが、現地語での情報収集の難しさ。英語圏ならまだしも、他の言語ではさらに難易度が増します。そのため、海外登山の事前準備は、情報収集だけで膨大な時間を費やし、細かな確認作業を何度も繰り返す必要があり、想像以上にハードルが高いです。
でも、見方を変えれば「情報がない=まだ誰もあまり歩いていない道」に出会えるチャンスでもあります。自分の足で確かめながら登る!そんな“未知を楽しむ登山”ができるのも、海外ならではの醍醐味かもしれません。
私たちの海外トレイルの探し方ステップ
①行きたいトレイル・山を見つける

まずは「国(地域)+hiking trail」もしくは「Mountain」や「best hikes in ○○」でざっくり検索してみます。
私たちは、キャンピングカー旅をしながら各国の最高峰にチャレンジしているので、新しい国を訪れるたびに、「国名+highest mountain」で検索し、そのルート情報を得るようにしています。英語が少し苦手でも、写真や地図を見ながら雰囲気をつかむだけでも、行ってみたい場所のイメージが膨らんできます。

さらにおすすめなのがInstagram検索。
ハッシュタグ検索(例:#hikingaustria #italianalps )や位置情報で登山者が投稿した写真をチェックします。私たちはいつも、インスタで気になる国のハイキング写真を片っ端から見て「ここ行ってみたい!」、「この景色すごい!」と思った場所をメモ。そこから改めて詳しく調べるようにしています。また、海外のハイカーやアウトドア系インフルエンサーをフォローしてみるのも一案です。現地の人だからこそ知っている穴場トレイルや、最新の状況をリアルタイムで知ることができます。
②マップアプリでルートを確認

行きたい山が決まったら次はルート確認です。使っているのは、「AllTrails」という地図アプリで、山の名前を入力し、そこまでのルート候補が出てきます。場所によっては頂上までいくつものルートがあるので、距離や標高差、所要時間、実際の登山者のレビューや体験記を参考にしながら、どのルートで登るのが一番ベストかを選んでいきます。
また、登山道のコンディションをチェックしたい場合は、YouTubeの動画を検索するのがおすすめ。山やトレイル名で検索すると、実際に歩いた人の動画がアップされていることがあるので、それを見て登山道がどんな様子なのかを少し把握することができます。こうして事前調べをすることで、予期せぬ事態を防ぐことにつながります。

実は以前、「イージールート」と書かれたコースに挑戦したところ、いざ登ってみたら、途中に予想もしていなかった、かなりの断崖絶壁や岩場を通る箇所に遭遇し、冷や汗をかいた経験があります。その時は引き返すこともできず、なんとか突破したのですが、それ以来、できる限り事前にルート状況を把握するようにしています。
③登山口へのアクセス・駐車場

登る山、ルートが決まったら次は登山口へのアクセスと駐車場を確認します。
海外では、登山口まで道路が未舗装だったり、デコボコの狭い山道だったりすることもあります。出発前にGoogleマップでナビルートを検索し、衛生写真やストリートビュー、レビューなどで登山口までの状況を確認しておくと安心です。
また、駐車場の有無の確認も欠かせません。場合によっては、近くのホテルやレストランの駐車場を借りたり、私有地に車を停めることもあるので、その場合は事前に電話やメールで問い合わせるようにしましょう。
私たちの場合は、キャンピングカーで旅をしているので、広い駐車スペースの確保が重要になってきます。そこで「Park4night」というアプリを使って、キャンピングカーやバンでも停められる駐車場があるのか、チェックするようにしています。

登山口へのアクセス・駐車場は見落としがちなステップですが、海外では整備が十分に行き届いていない場合があります。公共交通機関がないエリアがほとんどで、中には4WD(四輪駆動)でないと辿り着けない場所も。せっかく登山ルートはバッチリ把握していても、肝心の登山口に辿り着けない、なんて事態を避けるためにも、事前の確認を欠かさないようにしています。
ノルウェー最高峰の「Galdhøpiggen」やスペイン国土の最高峰の「Mulhacén」へ登った際も、登山口までのアクセスが未舗装の道でヒヤヒヤさせられた体験があります。
現地で役立った!私たちが愛用しているアプリ&サイト

⚫︎AllTrails【登山マップアプリ】
海外ハイキングの定番といえば、やっぱり「AllTrails」。私たちの中では一番使いやすく、絶対欠かせないアプリです。世界中のトレイル情報が豊富に掲載されていて、国やエリア、難易度、距離などからルートを検索できます。地図上にルートが表示されるので、行きたいエリアを眺めながら「次はこの山に行ってみようかな」と旅の計画を立てるのにぴったり。
特に便利なのが、他のユーザーの投稿レビューと写真です。実際に歩いた人のルートや所要時間、感想が見られるので、リアルな情報を事前にチェックできます。
また、海外の登山道ではルートを示すマークが途切れていたり、まったく標識がないことも珍しくありません。海外の山で迷ってしまったら一大事なので、必ずGPS対応の地図アプリを使い、現在地を確認しながら歩くことが大切です。Alltrailsではオフライン地図をダウンロードできるため、電波の届かない山の中でも現在地を確認できとても安心です。合わせて、モバイルバッテリーと紙地図を併用しておくとさらに安心です。
⚫︎Mountain Forecast【山向け天気予報サイト】
登山前に欠かせないのが天気の確認です。「Mountain Forecast」は山に特化した天気サイトで、山ごとの予報を細かくチェックできます。一般的な天気アプリでは町単位の予報しか出ませんが、こちらは「山頂・中腹・登山口」と標高別に天気や気温、風速を表示してくれるのでとても便利です。無料で6日先までの予報を確認できるので、一番登山に適した日を選ぶのにも役立ち、計画を立てるうえでの判断材料として重宝しています。
https://www.mountain-forecast.com
⚫︎Windy【リアルタイム気象&風向き確認アプリ】
天気予報アプリの中でも一歩踏み込んだ情報が得られるのが「Windy」です。天気予報だけでなく、風の動きや雲の流れ、雨雲の発生状況や向きをマップ上のアニメーションで視覚的に確認できます。さらに、ライブカメラ機能を使えば、実際の山や周辺の映像をリアルタイムでチェックすることも可能。「今日は山頂が雲に覆われているな」や「雪がまだ残っているみたい」と、現地の状況を映像で確かめられるのは本当に便利です。私たちは出発前に必ずこのアプリで空の様子を確認してから山へ向かうようにしています。
また、登山だけでなく車中泊の際にも大活躍。このアプリのおかげで、これまで強風や大嵐、雷雨、雹などの悪天候をいくつも回避することができました。
⚫︎Park4night【車中泊スポットアプリ】
「Park4night」は、キャンピングカーやバンライフ向けの駐車・車中泊スポットを検索するアプリですが、それだけではありません。給水場やトイレ、ゴミ捨て場、シャワー、コインランドリーなど、アウトドア旅に役立つスポットも見つけることができます。
ユーザーの口コミや写真も投稿されているので、実際に使った人のリアルな情報をもとに安全に過ごせます。私たちも「登山口近くのこの駐車場に車を停めよう」や「明日はこのトレイルを歩くから、この近くで車中泊しよう」という感じで、ルート選びとセットで使っています。
海外の山でも安全に楽しむために事前準備が大事

海外トレイルを安心して楽しむには、やっぱりしっかりした事前準備が欠かせません。日本の山とは違う部分も多いので、注意が必要です。日本のように山岳救助がすぐに来るとは限らず、場所によっては救助要請が届くまで数時間〜数日かかることもあります。登山届の制度がない国も多いため、ルートや帰着予定は家族や友人に共有しておくことが大切です。
また、登る季節にも注意しましょう。雪のない夏なら比較的歩きやすい山でも、雪に覆われると一気に難易度が上がり、全く別の山に変わってしまうことも。ヨーロッパでは一般的にハイキングのベストシーズンは6月〜9月下旬。地域によっては冬季にトレイルや道路も閉鎖されることもあるので、現地観光局や山小屋の公式サイトで積雪やルート情報を事前にチェックしておきましょう。
現地のルールやマナーを守りながら、安全対策をしっかり整えれば、日本の山では見ることのできない絶景や美しい自然、地元の人々との交流体験を楽しむことができます。準備を万全にして、海外ならではの自然と冒険を存分に楽しみましょう。










