
そんな原体験があったからこそ、私は1989年から今も変わらずこの町に通っています。今回は、昔の面影と新しい風が共存する、変わりゆく朝市を久しぶりに訪れてみました。
懐かしさと新しさが同居する「勝浦朝市」

日本三大朝市のひとつに数えられる「勝浦朝市」。430年以上の歴史を誇り、かつては漁師と農民が物々交換する場として始まった青空市場だそうです。
塾講師として実家でアルバイトしていた7つ上の兄に、30年前の朝市の話を聞くと、「当時は通りの両側にびっしりお店が並んでいて、横道までぎゅうぎゅうだった」と懐かしそうに振り返りました。
大判焼き、香ばしい海苔、干物屋のおばちゃんの声など、生活のための食品が中心。そこはまさに”町の台所”だったそうです。
現在は移住者による、はちみつ屋やコーヒースタンド、アクセサリー店なども加わり、昔ながらの干物や朝採れ野菜などと一緒に、新しいおしゃれな空気が共存しています。このミックス感が、今の勝浦らしさです。


朝市を楽しむおすすめルート

せっかくなら、朝市を「食べ歩き+買い物+散歩」のセットで楽しむのがいいですね。まずは腹ごしらえからスタートです。せっかくなので、おすすめ順に紹介していきましょう。
1.五臓六腑に染み渡る朝ラーメン

このラーメンは、朝でも軽く食べられて、地元ならではの旨味がぎゅっと詰まっていました。こだわりの麺は国産小麦の全粒粉を使用。黄金色のあっさりした醤油味のスープは無添加で、鰹、鯖、煮干し、昆布で出汁を取っているそう。おいしくて夢中ですすりました。

2.カツオまんじゅう

蒸し器から取り出したほかほかのカツオまんじゅう。ほんのり甘い生地にカツオ節の風味が合わさって、クセになる味わいです。お好みでラー油をかけて。
3.わらびもち

そして朝市の名物、行列必至の「わらびもち」。私も2日連続でチャレンジしましたが、初日は出かけるのが遅くすでに店じまい。2日目はというと、なんと5組前で売り切れ…!ぜひ早めの時間に挑戦してみてください。お店のお母さんいわく、朝6時すぎから開いているそうです。

朝市には、ほかにもコーヒースタンド、シフォンケーキ、チュロス、かき氷、たい焼き、タコ焼き、パン、ホットドッグ、玉子焼き、おでん、焼き鳥、台湾焼きそば、イカ焼きなど、この通りだけでお腹が満たされる屋台がいっぱい。その日によって出店は異なるので、行ってみてのお楽しみですね(笑)。


お腹が満たされたら買い物へ

食べ歩きのあとは、干物や野菜などの買い物をしました。勝浦周辺にはキャンプ場もたくさんあります。朝市で仕入れた食材を、そのままキャンプ飯にアレンジするのもおすすめです。



キャンプの朝ごはんに、前日に買った野菜や干物を並べれば「勝浦らしい一食」が完成します。アウトドア好きにとって、朝市は最高のマーケット。食材選びからもう旅の一部です。
朝市を歩いて買ったものは?

朝一で買った新鮮なナスは、ランチのパスタに入れていただきましたよー。

ついでに夜のおつまみも作りました。

ししとう、ピーマン、ナスを少量のオリーブオイルで揚げ焼きして、水で割った白出汁に漬けただけで完成です。

キャンプの食卓にフルーツが上がると、贅沢な気分になりますよね。それとこの時期は、どのお店にも唐辛子が売っていました。

左から醤油漬け、酢漬け、ナンプラー&ニンニク漬け。味変のお供に最高の調味料なんです。朝市の余韻をキャンプや食卓で楽しむのはいかがですか?
変わりゆく朝市を歩く楽しみ

朝市を歩いたあとは、ぜひ海まで足を伸ばしてください。勝浦漁港までは歩いてすぐ。朝市で賑わったあとに、静かな海を眺めると、町の呼吸が感じられます。
勝浦は東京からクルマや電車で約2時間。海風が心地よく、猛暑日知らずの町なんていわれています。近年は”東京にいちばん近い避暑地”としても注目され、移住者が増えています。観光と暮らしの間を行き来するような時間を過ごせるのも、この町の魅力です。

1989年から通い続けてきた私にとって、勝浦の朝市は「変わらない懐かしさ」と「新しい発見」が同居する場所。30年前に兄が見た”生活のための台所”から、今では移住者のアイデアやチャレンジが加わり、町は活気づいています。どちらが良い、悪いではなく、町が呼吸をするように姿を変えていくのを、旅人として見届けることが、なんだかうれしいです。
勝浦朝市(千葉県勝浦市)
- 開催場所:毎月1日~15日は、下本町朝市通り、毎月16日~月末は、仲本町朝市通りで開催しています。今回お邪魔したのは下本町朝市通りです。
- 営業時間:6時30分ごろ~11時ごろ
- 定休日:毎週水曜日、元旦
- ホームページ(勝浦観光協会):https://www.katsuura-kankou.net