
多様性に満ちた昆虫は発見の連続だ!

1996年兵庫県生まれ。昆虫採取のために14か国を訪れ9種の新種を発見。今春、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了し、本物の昆虫博士に! TV番組等でも活躍中。
3歳で出会ったオスのミヤマクワガタがきっかけで、昆虫好きになったという牧田 習さん。
「かっこよさに感動すると同時に、なぜこんな不思議なカタチをしているんだろう?棲みかは?夜はどうしてる?刻一刻と疑問が湧いてきて、ミヤマクワガタには不思議が詰め込まれていると感じたんです」
その後、カブトムシ、カマキリ、バッタ……、興味の範囲は瞬く間に広がっていった。
「昆虫の魅力はひと言でいうと多様性。現在、知られているだけでも約100万種が存在しています。同じ種類でも色や形などのバリエーションがあるし、時代によって分布域が変化している。どんどん変貌しています。そう考えると、その日その場所で見つけた昆虫は唯一無二の発見! 発見の連続だから面白いし、終わりがないんです」
昆虫観察&採集するときのポイントは?
観察のとっかかりとして、目を見てみてるのがオススメとか。
「例えばガ。目が本当にかわいい。そう感じたら顔とか触覚とか、観察する範囲を広げると、興味がわいてくると思います」
昆虫採集をするときには、毎回、綿密に計画を練っている。
「ターゲットを決めたら、生息場所やエサを徹底的に調べます。国土地理院の5万分の1の地形図を活用したりもします」
採集した昆虫は飼育したり、標本にして保管しているそう。
「図鑑の情報がすべて! というわけではありません。飼育することで生態を知ることができるので、自分で検証するような気持ちで飼育しています。逃がすと生態系に影響を及ぼすので、絶対に飼い切るのが鉄則です」
カブトムシ、クワガタムシ、ヤンマ、タマムシなど、夏は昆虫採集のオンシーズン。8月には活動しない種類も多いので、7月中に行くのがオススメだ。
「昆虫の数は膨大! 面白いと感じる昆虫が絶対、どこかにいるはず。探してみてください」
採集&観察に役立つ牧田さん愛用のアイテム&アプリ
100均ショップで手に入る「マクロレンズ」

クリップ式で、スマホのカメラに装着。安くても性能は侮れない。脚先の細かい毛なども撮影できる。手振れに注意!

レンズ前1㎝前後でピントが合う。撮影した画像をスマホで拡大して、細部まで観察してみよう。

完全オフラインでも地図が見られる「MAPS.ME」

電波の通じない場所でも使える音声ナビ付きマップ。予め地図をダウンロードしておくと便利。「山奥でも使えるのが魅力です」
昆虫の種類をしぼりたいときに便利「Google レンズ」

画像から情報を検索できるサービス。おおまかな昆虫のグループを見分ける上で活躍。「あくまで参考程度に使いましょう」
簡単に画像の白抜き加工が可能「Photoroom」

AIを活用した編集アプリで、背景を自動で削除。標本写真などを白抜きや黒抜きする際に便利。「無地の紙の上に置いて撮るのがコツ」
牧田 習さんの最新刊!
『昆虫博士・牧田 習の虫とり完全攻略本』
¥1,210(小学館)

ホヤホヤ~!
楽しくて正しい昆虫採集の指南書。道具からトラップの方法まで、実践的なハウツーをくまなく紹介。ポケットサイズで携帯に便利。
昆虫の楽しみ方3か条
- 事前にターゲットの棲む場所や採り方をチェック
- 現地で気になることがあれば即行動し、探してみる
- 疑問に思ったことは図鑑で調べ、次回に活かす
(BE-PAL 2025年8月号より)