
オニヤンマってどんなトンボ?
オニヤンマの姿は圧倒的な存在感で、野外で出会うと思わず目を奪われるでしょう。それでは、実際にどんな特徴があるトンボなのか、見た目や大きさから詳しく見ていきます。
見た目と大きさ
オニヤンマは、日本に生息するトンボの中で最大級の種類で、体長は約9~11cmもあります。その大きさと力強い飛ぶ姿から、『トンボの王様』とも呼ばれています。
体の色は、黒をベースに鮮やかな黄色の縞模様が入っていて、まるで鬼が腰に巻くふんどしのようなデザインが特徴です。このユニークな模様が、『オニヤンマ』という和名の由来ともいわれています。
さらに、頭部には大きくエメラルドグリーンに輝く複眼があり、これもオニヤンマ特有の目印です。
食べ物と天敵
オニヤンマは肉食性で、成虫になるとガ・アブ・ハチなどの昆虫を空中で器用に捕まえて食べます。
幼虫(ヤゴ)の段階では水中で小魚やミジンコ、他の昆虫などを捕食しながら、約3~5年かけて成長します。そのたくましい捕食力から、オニヤンマを模したグッズが害虫対策アイテムとして作られているほどです。
ただし、オニヤンマも無敵ではありません。主な天敵は鳥類やコウモリで、時には大型のクモなどにも食べられます。昆虫の中では捕食者として君臨しつつも、他の生物に狙われることもあるのです。
オニヤンマのすみかとライフサイクル
森や川辺でオニヤンマに出会いたいのであれば、生息地や成虫が飛ぶ時期を知っておくと、観察や捕獲の成功率もアップします。オニヤンマがどんな場所が好きで、どんな一生を送るのか確認していきましょう。
豊かな森やきれいな川のそばに住む
オニヤンマは、幼虫では、森や林に近い田んぼ・小川・池などを主なすみかとしています。成虫になると餌を探しに田んぼなどで見られることはありますが、特に好むのは、流れのあるきれいな小川や河川沿いです。
成虫は林や川辺の上空を自在に飛び回りますが、幼虫(ヤゴ)は川底の柔らかい土の中などで暮らしています。こうした水辺は、ヤゴが安全に隠れられ、多様な水生生物が豊富にいるため、十分なエサが確保できる理想的なすみかです。
サギなどの鳥類・水生昆虫・カエルといった多様な動植物も共存しており、オニヤンマが見られる場所は、豊かな自然環境であることの証といえるでしょう。
成虫の姿が見られるのは6~10月ごろ
夏の終わりから秋の初めごろが、オニヤンマの産卵時期です。卵からかえった幼虫は、水底で約3~5年という長い期間を過ごし、その間に他の昆虫・小魚などを食べ続けて大きく育ちます。
羽化の時期が訪れると水底から陸上に上がり、成虫の姿になります。成虫として空を飛ぶのは、6~10月ごろです。
成虫の寿命は1~2カ月ほどしかありませんが、その間に川や林を活発に飛び回り、捕食や繁殖を行います。夏から初秋は、川や森の近くでオニヤンマを見つけやすい季節です。
オニヤンマを捕まえる方法と注意点
「子どもと一緒にオニヤンマを捕まえたい」そんなときは、生態を知った上で、ちょっとした工夫をするのが成功の近道です。最後に、安全に楽しく挑戦できるポイントと注意点を紹介します。
縄張りを見つける
オニヤンマは自分の縄張りを持ち、その範囲を決まったコースで巡回しながら飛んでいます。縄張りは、流れのある川沿いなどの開けた場所が多く、数十秒~数分ごとに地上約1~2mくらいの同じ場所で飛ぶ様子が見られます。
まずはよく観察し、オニヤンマがどの方向から現れて、どのコースを巡回しているのかをしっかり見極めましょう。巡回ルートが分かると、捕まえやすくなります。場合によっては同じルートを直線的に行ったり来たりすることもあります。
飛行ルートで待ち伏せる
オニヤンマの飛行速度は時速60km以上ともいわれるほど速く、後ろから追いかけても、人の動きではまず追い付けません。
捕まえるためには、飛行ルートの途中にある見通しのよい場所で、飛んでくる方向に向かって待ち構えるのがコツです。
いざ近づいてきたら、網を短く持ち、斜め前上から素早く網を下ろすようにすると捕まえやすくなります。無理に追いかけず、待ち伏せスタイルで挑戦しましょう。
鋭い顎に注意!観察後は自然に返す
オニヤンマは非常に強い顎を持っており、捕まえた際に不用意に触るとかまれて痛い思いをすることもあります。素手ではなく、網や虫かごなどを活用すると安心です。
また、観察する際は優しく扱い、観察を終えたら元いた場所に放しましょう。オニヤンマなどの大型トンボは、生態系のバランスを保つ重要な役割も担っているため、できるだけ自然に返す心構えも大切です。
オニヤンマをきっかけに、環境保全について学ぶのもおすすめです。
まとめ
オニヤンマは、力強く美しい日本最大級のトンボです。夏から秋にかけて、川に近い森やきれいな水辺を飛ぶ姿が見られます。
どんな場所でオニヤンマと出会えるのかを知り、飛んでいる時期や捕まえ方のポイントを押さえておけば、親子で挑戦する楽しさがぐんとアップするはずです。
その大きな姿を初めて見つけたときの感動は、きっと忘れられない思い出になります。今年の夏はぜひ家族でフィールドに出かけ、オニヤンマとの一期一会を存分に楽しんでみてください。