
WIND from ONTARIO~森の海、水の島~
#14 トラウト・ウォーターを探して……
by Tomoki Onishi
撮影・文/尾西知樹
トロント在住のフォトグラファー、マルチメディア・クリエイター、カヌーイストでサウナー。オンタリオ・ハイランド観光局、Ontario Outdoor Adventuresのクリエイティブ・ディレクターを務める。カナダの大自然の中での体験とクリエイティブを融合させたユニット magichours.caを主宰。
カナダでは水の環境をとても大切にしている

車にカヌーを載せて森の中を移動している最中など、横目に清い水の流れが見えたら車を停めて、とりあえず水に手をつけに行くのが習慣となっている。
これはサウナーの性でもあって、心地よさそうな水は手をつけてその温度を確認したい。水に手をつけるとだいたいの水温を当てることができるサウナー特有の能力を発揮して、水風呂に最適な14度C以下だと感じたら……。
ショルダースリングからパックロッドを引っ張り出して、ストリームへルアーを流してみる。流れの巻き返しあたりで、ピクッと当たりがあって、小さなブルックトラウトが釣れたっ!
小さくても体側に美しいオレンジ色の斑点。深い森の中の清流で、ささやかだけれども幸せな小さな出会いに顔がほころぶ。
北米では、トラウトが棲んでいる水温の清流をTrout Waterと定義して保護している場所もあり、水の環境をとても大切にしている。そのエリアに住んでいる人たちだけではなく、釣り人もまたその清流に親しみと愛着を感じている。
ウェット・ウェーディングというあえて川の水に入って、濡れながら釣るスタイル。トラウトとサウナーが好む水温が同じだと気付いてからは、ますますトラウトたちに親近感を抱いてしまう、今日このごろ……。



動画で見られます!

(BE-PAL 2025年8月号より)