
キャンピングカーの達人、伴 隆之のニューモデルレビュー
キャブコンシーンで注目を集めるコンパクトモデル

キャンピングカーと聞いてまず思い浮かべる形がキャブコンと呼ばれるモデルではないでしょうか? キャブコンは正式にはキャブコンバージョンと呼ばれるジャンルで、おもにトラックをベースに架装をしたモデル。
キャブ(運転台)を含めた「シャシー」と呼ばれるものの上に、「シェル」と呼ばれる居住空間が架装されています。北米では「クラスC」、欧州では「モーターホーム」というジャンルで呼ばれています。
キャブコンはシェルの構造だけでなく、窓やドアの位置、家具の配置などの制約がバンコンに比べて自由に設計でき、各社オリジナリティに溢れているのが特徴。
主流であるベース車両がトラックの場合、キャブと荷台部分が分離していますが、キャンピングカーではキャブの背面パネルを切り取ることでシェルと一体化され、フロントシートとシェル内の居住部分との行き来も簡単にできるようになっています。一部、ワンボックスやSUVベースのキャブコンも存在していますが、これらの場合はボディをカットしてシェルを架装しています。
ここ2、3年、国産のキャブコンシーンは一般的な駐車場のサイズ・長さ5m、幅2mに収まるモデルが各社から発売されており、注目を集めています。 そこで今回は、アネックスから登場したコンパクトキャブコン「リバティ50DB」を紹介していこうと思います。
大型ミニバンよりも最小回転半径が小さく、小回り性能も高い
ベース車両はトヨタのカムロードで、ボディサイズは長さ5m、幅2mの駐車場にしっかりと収まる全長×全幅×全高4990×1950×2740mm。トヨタ・アルファードが同4995×1870×1935mmなので、全長はアルファードとほぼ同じ、全幅が70mm長く、全高は805mm高いボディサイズとなっています。
しかし、カムロードの最小回転半径は4.8mなのに対しアルファードは同5.9m。この差からもわかるとおり小回りの性能はカムロードのほうに軍配が上がるため、カムロードベースのコンパクトキャブコンに乗ってみると扱いやすさに驚くことでしょう。
シェル形状はキャブ上部にあるバンクと呼ばれる部分の張り出しが少ない、ロープロファイルスタイルになっているのが特徴で、高速走行時の燃費向上や風切り音の低減を考慮して設計されています。
ベーシックモデルはホワイトボディにブラックとグレーのサイドグラフィックが施されていますが、取材車両は電装システムが強化されたグレード「パワープラス4800」。このグレードを選択すると12色のボディカラーから選択ができる特典が付いており、取材車はグレーのボディになっています。



上質な作りの家具類と使いやすさによる快適な空間

エントランス前には5人がくつろげる対面ソファのリビングがあり、その後方にキッチンとマルチルーム、最後部に常設の2段ベッドというレイアウトを採用。




インテリアは明るい木目調の家具類に黒の差し色を使った高級さを感じる作りで、ダウンライトと間接照明により夜間の雰囲気もよく落ち着いた空間に仕上がっています。リバティシリーズには、既発のリバティ52DBという50DBよりも大型のモデルもありますが、52DB譲りの高品質な家具の作りは50DBでも継承されています。
就寝はバンク部分に2人、最後部の常設2段ベッドで2人、リビングをベッド展開して1人と計5人まで就寝できるようになっています。バンクにしてもリビングにしてもベッド展開はとても簡単なので、リビングでくつろいだあと、寝る準備をする際もベッドメイクに時間はかかりません。




装備面ではベーシックモデルのほうは必要最低限のものを揃えていますが、取材車両の「パワープラス4800」であれば、DAIKIN製の家庭用エアコンを標準装備し、電源付きのキャンプサイトやRVパークなどでは季節を問わず快適に過ごせます。
また、4800Wh(400Ah)リチウムイオンサブバッテリーに加え、2000Wインバーター、85L冷蔵庫、電子レンジといった電装アイテムも標準で装備。価格はベーシックモデルで860万円〜、取材のパワープラス4800で960万円〜。


キャブコンの中でもコンパクト設計なので、大きさが不安という人でも取りまわしがしやすく機動性が高い1台。それでいて家具類をはじめとしたインテリアの質の高さによる居心地はとてもよく、家族で旅が楽しめるモデル。エンジンは2Lガソリンと2.8Lディーゼルターボを用意し、ガソリンエンジンモデルであれば現行の普通免許で運転ができるので安心です。
問)アネックス