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    2025.07.19

    「じゃんじゃん洗う」が新常識!この秋、全ゴアテックス製品がフッ素フリーになるのだ

    「じゃんじゃん洗う」が新常識!この秋、全ゴアテックス製品がフッ素フリーになるのだ
    防水透湿素材の老舗ブランドであるGORE-TEXは環境負荷をより軽減すべくレインウェアの脱フッ素化を進めてきた。GORE-TEXプロダクトの脱フッ素の歴史、新素材の特徴、今後の展望を訊いた!

    日本ゴアに直撃取材!

    日本ゴア マーケティング コミュニケーション/ファブリクス・ディビジョン
    平井 真理子さん

    疑問・質問に丁寧に答えてくれたのは日本ゴアの平井真理子さん。「家庭でも簡単に洗えること、性能を維持し長く使うためには洗濯したほうがいいということをもっと伝えていきたいですね」

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    ──脱フッ素化のこれまでの流れを教えてください。
     
    GORE-TEXプロダクトが初めて世に出たのは1976年。以来、防水透湿性、撥水性において非常に優れたフッ素化合物由来のメンブレン(薄い膜)と撥水加工剤を使ってきました。ところが、2000年ごろから有機フッ素化合物(PFAS)の環境への悪影響などが明らかになってきました。

    そこでフッ素フリー素材の研究開発が始まり、試行錯誤の末にメンブレンに採用したのが、ePE(延伸ポリエチレン)という素材です。2022年に一般的なアウトドア環境向けのプロダクトについてePEへの切り替えを始めました。

    次にトレイルランニングなど有酸素運動向け製品が続き、今年の秋冬の極限の環境向け製品の切り替えによって、一般消費者向け製品で全面的にePEメンブレンへの移行が完了します。同時に、生地表面の撥水剤についても、2018年に始まったフッ素フリー素材に切り替えます。

    ──脱フッ素化によって、性能が落ちたりはしませんか?
     
    これまでGORE-TEXプロダクトは防水性、透湿性、防風性、耐久性などで厳しい社内基準を設け、テストを実施してきました。それは素材段階だけにとどまりません。求めているパフォーマンスが実地できちんと出るかどうかのフィールドテストをブランドパートナーのアスリートの協力のもとで行なってきました。

    そして、テストにパスしたものだけが製品化されてきたんです。ePEという新素材の切り替えにおいても、その従来の基準をすべてクリアすることが大前提でした。ですから、従来のGORE-TEXプロダクトと同等の性能だと考えていただいてかまいません。

    ”じゃんじゃん洗濯”がフッ素フリーの新常識

    ──フッ素フリーのGORE-TEX製品の特徴は?
     
    メンブレンだけを比較すると、ePEは従来の半分ぐらいの薄さです。そのため軽くしなやかで、よりコンパクトに収納できます。また、生地が軽量化したぶん、脇の下にピットジップをつけてもウェア自体の重さは変わりません。より快適にするための選択肢が増えたといえます。

    一方で、弱点もあります。フッ素フリーの撥水剤はフッ素化合物を使った撥水剤と比べると撥油性が劣るんです。撥油性とは油を弾く性能のことで、皮脂などの油が表生地に付着すると、ウェアの透湿性が低下して、汗などの水蒸気が逃げにくくなります。

    汗が水蒸気として外に逃げずにウェア内部に留まって液体になると、汗冷えなどにつながります。今まで以上にメンテナンスをこまめにしていただきたいです。

    ──メンテナンスのコツは?
     
    とにかく洗うことです。GORE-TEXプロダクトは洗わないほうがいいという都市伝説がありますが、そんなことはありません。とくにフッ素フリーになった新素材は、洗濯して皮脂などの汚れを落とすことが非常に重要です。数百時間の洗濯耐久試験をパスしていますので、じゃんじゃん洗ってください。

    その際、①液体の中性洗剤を使うこと、②製品ごとに洗濯方法が異なるので洗濯表示に従うこと、③洗剤が残ると逆に汚れとなってしまうので2回以上すすぎをすること、④洗濯機で脱水せずに水を切って陰干しすること、などが基本となります。また、洗濯後に乾燥機やアイロンで熱加工すると、撥水性がより回復します。

    ──今後について教えてください。
     
    3層構造(表地+メンブレン+裏地)と2層構造(表地+メンブレン)はすべてePEに切り替わりますが、2.5層(GORE-TEX PACLITEのePE版)はまだできていません。2.5層はメンブレンにコーティングをして裏地をなくしたものですが、技術的なハードルが多くあり、実現できていないのです。とくに蒸し暑い日本では2.5層のニーズが大きいので、アメリカ本社に研究開発を加速するようこちらからプッシュしているところです。

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    従来のGORE-TEXファブリクス(左)に比べて、ePEメンブレン採用の新素材(右)はより薄く軽量でしなやかになった。

    GORE-TEX プロダクト 脱フッ素ヒストリー

    1976年
    GORE-TEXプロダクトを使用したウェアが初めて登場

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    2004年
    残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約が発効

    2013年
    環境への悪影響が懸念された撥水加工剤C8の使用を止め、C6に切り替える

    2017年
    一般消費者向け製品のフッ素フリー素材への切り替えを目標に掲げる

    2018年
    フッ素フリーの撥水加工剤への切り替えが始まる

    2022年
    フッ素フリーのメンブレンへの切り替えが始まる

    2025年 秋
    一般消費者向け製品が全面的にフッ素フリーに

    初期のBE-PALで大きく紹介

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    高温多雨の日本では、早くからゴアテックスが普及した。本誌創刊1年後の1982年6月号では、「いまや、レインウェアの主流は、何といってもゴアテックス。」という見出しで特集!

    用途に応じて3種類から選ぼう!

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    ギャランティーで見分けられる

    GORE-TEXプロダクトには3種類ある。上の写真は、「GORE-TEX PRO」のギャランティータグ。

    for キャンプ、ハイキング

    GORE-TEX

    一般的なアウトドア環境向け。汎用性が高く、アウトドアでも日常でも幅広いシーンで活躍。

    for トレッキング

    GORE-TEX Performance

    トレッキングなどの長時間の活動、トレイルランニングなどの有酸素運動に適した製品。

    for 雪山、アイスクライミング

    GORE-TEX PRO

    極限の条件や過酷な条件下でのアクティビティ向け。極めて丈夫で耐久性に優れている。

    高い品質を保証する本国基準の製品テスト

    GORE-TEXプロダクトの品質テストの基準は非常に厳しく、かつブランドパートナーが製造した最終製品にも適用される。

    できた製品はいったん同社が引き取り、世界3か所(アメリカ、ドイツ、中国)の自社ラボで耐久防水性、透湿性、防風性などの項目でテストを実施。GORE-TEXが定める世界共通の基準を満たさなかった製品はブランドパートナーに戻し、やり直しを求めるのだという。

    GORE-TEXプロダクトに付いているタグには、「GUARANTEED TO KEEP YOU DRY」とあるが、最終製品に対してもこのように保証するのは、厳しいテストを行なっているからなのである。

    防水性

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    レインルームでは、小雨から暴風雨までさまざまな気象条件を想定したテストを実施。

    洗濯耐久性

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    洗濯機を数百時間回して耐久性や防水性をテスト。

    防風性

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    台風並みの強風をテストできるストームキューブ。

    ※構成/鍋田吉郎 撮影/横田紋子

    (BE-PAL 2025年7月号より)

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