オリーブ王国・小豆島でオリーブ尽くしの観光を!

2019.11.01

私が書きました!
ゲストハウスオーナー
アイエアナロン範子
ゲストハウス「Sen Guesthouse」を夫婦で経営。香川県出身。ニュージーランドのホステルで働いてから、世界中の旅人が「自分の家」のように帰ってきてくれるゲストハウスを将来作りたいなぁと大阪のゲストハウスで修行した後まずは松山で6年半ゲストハウスを開き、Senの第二幕として小豆島へ移ってきました。四国から、関西・本州・世界に近い立場として、もっともっとディープな四国ファンを増やしていこうと思います。
Sen Guesthouseホームページ https://www.senguesthouse.com/about-us-jp

(写真提供:タネむすび堂)

オリーブ。最近でこそイタリアンレストランやピザなどでよく食べられるようになってきたものの、この言葉を聞いて、身近に感じる日本人はどのくらいいるのでしょう。

香川県の中でも片隅の田舎にあった我が生家では、小豆島がオリーブ観光でこんなに盛り上がっていてもまず食卓に上がることはなかったし、小さい時に食べた記憶といえば、それこそ小豆島に両親と来た時に試食したくらい。その時も一口噛んだだけでペッと吐き出していたような。

それが今ではアメリカ人の夫の影響で、オリーブをつまみにワインを飲むこともよくあるし、オリーブオイルはほぼ毎日料理に使うので台所に常備しています。やはり大人になると味覚が変わるもんだ・・と思っていたら、3歳の我が子までガリガリ食べていてビックリ。うちの子だけかと思いきや、小豆島に住む友人の子もやはりガリガリ。これはもはや環境か。

小豆島ではオリーブを使った様々な製品が作られていて、オリーブオイルはもちろん、オリーブのペーストを練り込んだ素麺やうどん、葉の粉末をミックスしたオリーブソフトクリーム、採油後の粕を飼料に混ぜて育てたオリーブ牛にオリーブはまち・・などの食品をはじめ、オリーブオイルを使った化粧品類の他、ゆるキャラはもちろんオリーブ、バス停もオリーブ、お茶にもオリーブ、といたるところがオリーブだらけ。

ですので当然、島中にオリーブの木が植えられています。といっても山全体がオリーブで埋め尽くされているわけではなく、農道や農園に植えられています。お天気のいい日にそのあたりを走ると、ここが「日本の地中海」と称されているのもうなずける景色に出会えます。

ちなみに、小豆島町では出産・入学・結婚などの祝いの時や移住の際にはオリーブの苗がもらえます。オリーブが植えられている家庭も他の地域に比べて格段に多いのではないでしょうか。

(写真提供:一般社団法人 小豆島観光協会)

とはいえ、いくらそんな小豆島で住んでいても、身内にオリーブ農家でもいない限り、「オリーブオイル余ったからおすそ分け~」ともらえることはありません。特に小豆島産のものは高級品。観光客用や贈答用に生産されるのがメインで、日常使いするのはスーパーで売られているスペイン産のものだったりするのです。

ところで、瀬戸内海といえばみかん畑が多く広がるなか、なんで小豆島ではオリーブ栽培がこれほど広がっているんでしょう?

それは1908年に農商務省が魚を缶詰にして長期保存する方法としてオリーブオイルに目をつけたことに始まります。オリーブ栽培の試験地として香川と三重、鹿児島の3県で試験栽培したところ、香川県だけオリーブの結実に成功したそうです。
そしてその後もオリーブオイルの搾油なども含めて試行錯誤を繰り返してきた結果、現在では小規模から大小規模まで、たくさんのオリーブ農家さんが活躍されるようになりました。お土産屋さんなどを覗くと、趣向を凝らしたオリーブ製品がズラリと並んでいます。

小豆島のみならず香川県全土の農家さんたちやオリーブに関することをうまくまとめてくれているサイトを見つけました。私のつけ焼刃な知識を述べるよりも、ここでさらに詳しい歴史やオリーブの品種の違い、各農家さんのことやオリーブ製品のことなど、ほとんどのことを網羅してくれているのでもっと深く知りたい方はこちらを是非ご覧ください。

◎「香川県のオリーブオイル生産者」
https://www.kensanpin.org/olive/

家族でオリーブ栽培をする「タネむすび堂」さんにインタビュー

移住してきて家族だけでオリーブ栽培を始めた「タネむすび堂」さんに出会うことができたのでお話を聞いてみました。

-オリーブの栽培を始めたのはいつからですか?

「5年前からです。家の近くの、何も育っていなかった土地を借りて農地にし、初めは6本からスタートしました。2・3年ものの苗を毎年10本ずつくらい増やしていって、今で40本くらいあります。でもオリーブの実が採れ始めるのは3・4年経ってから。今販売しているオリーブオイルや新漬オリーブを作るには、これだけでは数が足りないので今はアルバイトしているオリーブ農園のオリーブを使わせてもらっています」

-オリーブの栽培で大変なことや気を付けていることは何ですか?

「大変なことは夏場の草刈りです。天敵のゾウムシには特に気をつけています」

-どんな農場にしたいですか?

「完全無農薬無肥料の自然栽培で、循環できる農場を作りたいです。例えば、ゾウムシを駆除するために農薬を使う農家さんが大半なのですが、僕はゾウムシを1つずつ自分で取り除いたり、木の様子を観察することで農薬を使わなくてもできると確信しています。堆肥も牛糞が使われることが多い。しかも大量に。その牛糞堆肥は小豆島ではほぼ調達できず、他から持ってきたものです。島内で調達できたとしても色々無駄も多く不自然で、虫を寄せ付けるような気がします。僕たちはまず自然に優しい、循環できる生活を心がけて実践していますが、農場もその家庭から作られたコンポストを使ったり、この小豆島の中、周りのもので循環できるオリーブ栽培および農業を確立していきたいんです」

私も、タネむすび堂さんのおっしゃっていることにとても共感しました。同時に、決して簡単な道ではないこともよく分かります。彼が理想とする方法が小豆島中で定着することができれば、オーガニックへの意識がどんどん高まっている今、ますます小豆島のオリーブは世界から注目されるのではないでしょうか。
そんな彼らが今作っているオリーブ製品は、オリーブオイルとオリーブの新漬け、オリーブ茶のみ。ですがオリーブオイルは、今年搾油するものからいよいよ彼自身の農場で育ったもので作れるようになったそうで、とてもワクワクされていました(お話を伺ったのは収穫前)。

ところで「オリーブの新漬け」、聞きなれない人も多いと思います。私自身も数年前に旅行で来た時に初めて知りました。小豆島ではオリーブの収穫が始まる10月に作られるオリーブの新漬けを、地元の方も、そして一度その味を知った観光客も、心待ちにしているんです。ちょうどお米の新米のように、ワインでいうとボジョレーヌーボーのように。


缶詰でよく売られているオイル漬とも塩漬けとも違います。生のオリーブは硬くて渋くてそのまま食べられたものじゃないですが、新漬けはなんとも柔らかく、ふっくらしていてほんのりとした塩味。辛すぎないのでそのままいくつでも食べれるし、サラダやご飯と一緒に炊いても美味しい。いろんな食べ方ができます。今までオリーブが苦手だと思っていた方も、この新漬けなら食べられる、ということも多いようです。

各家庭によって漬物の作り方が違うように、オリーブの新漬けも、作り方や塩の分量は作り手によって違いますが、現在一般的に浸透しているのは苛性ソーダを使ってあく抜きをした後、塩水につける方法のようです。
たねむすび堂さんも海水を使ったり様々な方法を試したそうですが、これが一番あくが抜けて柔らかく仕上がる結論に至ったそうです。

そんな彼らの新漬け、今年はさらに手間と想いがこもっています。新月の時にオリーブを収穫し、3日間毎日水を変えながら丁寧にあくを抜いた後、塩水に変えてさらに3日。最後に「御塩(小豆島で唯一の塩職人が作る、発売と同時に売り切れる大人気のお塩)と「弘法大師の水」といわれる、島内の湧き水で作った塩水につけて完成。

早速頂いてみました。つやつやふっくらとしていて少し甘ささえ感じてとっても美味しい!なんと満月バージョンもあるそうです。

◎「タネむすび堂 農園」
https://tanemusubi.thebase.in

こうしたオリーブの新漬け、各オリーブ農家さんから一斉に発売され、お土産屋さんやスーパーでも買えますが、半年後くらいには売り切れてどこでも見かけなくなります。試してみたいという方はお早めに!

そんな10月の小豆島は全土で秋祭りが行われたり農村歌舞伎があったりと各地がイベントで盛り上がっているのですが、オリーブの収穫期とあってオリーブ関係も沸き立っています。移住や季節バイトに興味のある人は、各オリーブ農家さんでこの時期だけのバイト募集をしているのでそれに来る方も毎年多数。ですが観光ついでに気軽にオリーブ収穫体験などができるのもこの時期だけ。道の駅オリーブ公園さんでは、10~11月限定でオリーブ関係の様々な体験イベントを開催してくれています。

◎「オリーブ収穫祭」道の駅オリーブ公園さんのサイト
http://www.olive-pk.jp/harvestfestival/index.html

実際に、オリーブ収穫体験と搾油場見学に行ってきました!

私もオリーブオイルの試飲に魅かれ、昨年の「オリーブ収穫体験と搾油場見学」(10/21(月) ~ 11/30(土)開催)に参加してきました。まず受付で申し込み。時間になると案内してくださる係がやってきて、小豆島のオリーブに関する歴史などを簡単に説明してくださいます。

(写真提供:タネむすび堂)

「ではオリーブを摘みに行きましょう」とビニール袋を一人ひとつずつ渡されます。指を器用に使い、効率よく摘むコツも教えていただき、いざ。

「この木から摘んでいきましょう」と指示してくださったオリーブの木にたわわに実るオリーブたち。そんなに大きな袋じゃないからすぐいっぱいになるだろう・・ と思いきや、これが案外難しい。手当たり次第とっていい訳でもなく、黒の熟した実を選んで採っていくので結構時間がかかります。
初めはテンションもあがっていていいテンポで摘んでいけるものの、だんだん指も疲れてくるし、腕をあげっぱなしなのでだるくなってくる。。。日頃常々、なんで小豆島のオリーブオイルはこんなに高いんや。と思っていた疑問が一瞬で晴れた体験となりました。

そうなんです。小豆島のオリーブはすべて手摘み。人様が一粒ずつ目で見て選び、一日中片手を上げ続けて黙々と摘んでくださるおかげなのです。だから傷が少なく、新漬けのようなきれいな状態でも頂ける。

ところで一口にオリーブオイルといっても、オリーブの種類によって味が違うのはご存じでしょうか。この体験時は、「ミッション」という品種でした。青々しいスパイシーな香りで、喉にぴりっと辛味が来るのが特徴です。
他には小豆島でよく栽培されているのは「ルッカ」。オイル用の品種として作られて、フルーティーな香りと味わいがします。あと「マンザニロ」という品種もよく見かけますが、主に新漬けにされます。オイルになるとまろやかな口あたり。ぜひ機会があればそれぞれ違いを味わってみてください。

この日摘んだオリーブの量は、たいした大きさでもないビニール袋の7割程度。それでもどや顔で係の方にお渡しして、搾油場へ。この自分が採ったオリーブを絞って飲ませてもらうわけではなく、すでに今機械に入って回されているものの出てきたところをいただくんですが、ウマイ!!!
やっぱり搾りたては違う。猛烈にワインとチーズが欲しくなりました。これから体験に行く方、こっそりワインセットを忍ばせていきましょう。(でも出すのは体験が終わってからにしてね。)

そうそう、このオリーブ公園はピクニックするにも最高の場所なのです。花見ならぬオリーブ見ができるのも、小豆島ならではの過ごし方。目の前は一面にキラキラと広がる青い海。
旬のオリーブを摘まみながら、ゆったりとした秋の日を過ごしに来ませんか?

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