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神田川をクルーズ!“水の都”東京をぶらり船の旅

2019.06.08

船から見る日本橋は格別。まさに名橋。

深読みしながらアウトドア旅を倍味わう。そんな楽しみ方を推奨する連載「文化系アウトドアのススメ」です。今回は、都会中の都会・東京のど真ん中を旅します。

日本橋のたもとからスタート

元号も令和へと変わり、GWも無事終わりました。皆様、いかがお過ごしでしたでしょうか。

結論から言えば、私にとってこのGWは、通常運転でした。ばっと旅に出られたらよかったのですが、そうはいかないのが、フリー稼業の運命……。みんなが休んでいるときにこそ、お仕事をするのです。

そんなわけで、今回は時間的に遠くには行けません。しかしこんな時にこそ、身近な東京に目を向けてみるべきですよね!? 「深読み力」「引っかかり力」「妄想力」こそ、「文化系アウトドア」の本領です。お馴染みの風景も、ちょっと角度を変えれば、違う何かが見えてくるはず。

私はふと「船に乗るのはどうかしら」と思いつきました。関東生まれで馴染みに馴染んだ東京ですが、川を行く船には、数えるほどしか乗ったことがありません。

東京は、江戸と呼ばれた昔から「水の都」です。特に江戸の物流や人の交通路は、川や運河によって担われていました。実は私は、時代小説などの編集者でもありまして、その関係で、江戸の古地図はよく見ています。しかし、「江戸」を川から見たことがほとんどありません。それはちょっとよくないと言いますか、もったいないですよね。

 ――よし。船に乗るぞ!

 私は、ネットで見つけた東京湾クルージングさん主催の「神田川クルーズⓇ90分コース」にさっそうと予約。日本橋にやってきました。

寝不足で肌はガサガサ。久しぶりに日光を浴びて、目の焦点が合っていないのはご愛敬。 

川の流れから、江戸に思いを馳せる

日本橋のたもとに乗船場所があり、その手前に東京湾クルージングさんのチケット販売所があります。

私は、ネットで予約していきましたが、当日券を求める方もたくさんいました。とはいえ、出港の1時間前くらいには満席。やはり「神田川クルーズⓇ」は大人気ですね。ネットの事前予約が無難かもしれません。

日本橋から見える船着場。前から気になってたんですよね。

ところで、神田川ですが、下流流路のほとんどが人の手で開削されたものだということは、あまり知られていないかもしれません。江戸幕府の治水、都市計画の粋が、この神田川下流域にこれでもかと、施されているんです。

明治政府も、そして昭和以降の政府も、だいたい江戸幕府が描いた都市計画を活用し、あるいは拡大して発展してきました。今回の神田川クルーズⓇは、そのことも最も強く感じることがルートではないかと思います。ワクワクしますね!

こちらが本日の船。神田川クルーズⓇは屋根のない船で、すごい開放感。

17世紀初頭、徳川家康が江戸にやってきたころ、江戸はたいへん辺鄙な場所でした。18世紀には百万もの人が暮らす大都市になるなんて、思いもよらないようなのどかな場所です。今のJR浜松町駅あたりから、新橋、日比谷公園に至る一帯が、「日比谷入り江」という入江で、その東側の、今で言う大手町から日本橋、銀座、東新橋界隈には、「江戸前島」という半島状の低地があったそうです。

当時の地図を見ると、干潟や湿地帯が広がっていそうな地形。きっと地盤もユルいでしょう。大きな船をつけるのに適した港も近いところにはなさそうで、為政者からしたら「使い勝手の悪そうな」場所です。それを家康が、太田道灌に始まる土木工事を引き継いで、さらにダイナミックな大工事を開始しました。そして、百万もの市民を養えるような大都市に作り変えていったんですね。壮大過ぎる。

江戸を大改造した徳川家康はやっぱりすごい

今回お世話になるのは「神田川クルーズⓇ」ですが、全部のルートが神田川というわけではなくて、日本橋が架かっているあたりは「日本橋川」と言います。

東京湾クルージングさんからもらえる地図。これが今日のルートです。

ちなみに、まず最初に、家康が行ったのは、江戸城への物流ルートの確保でした。江戸城に一番近い港だった和田倉から、道三堀とこの日本橋川を開削し、次いで小名木川を開削して、隅田川と旧中川を貫通しました。これは、当時最大の塩の産地だった行徳と江戸城の流通ルートを確保するためだったと言います。

小名木川は、隅田川に架かる新大橋の下流から、真っ直ぐ東に延びた川です。確かに、これまでも古地図を見ていて、その一直線っぷりには感心していたんですけど、そんな意味合いがあって、開削された運河だったとは……。こうしてみていくと、江戸市中で、いわゆる自然河川はないですね。必ず何らかの人工的な工事をされている。「開削」と、文字にしてしまうのは簡単ですが、当時は全部人力ですからね。ものすごいことですよ。

また、この当時は井の頭池などを源にする川を、「平川」と呼んでいました。今の神田川の前身です。この平川は、元々「日比谷入り江」に流れ込んでいたのですが、東側にバイパスをつくって道三堀とつなぎ、放水先を変えました。つまり流れてくる水の行き先をダイナミックに変更したんです。そして、「日比谷入り江」を、ドカンと埋め立てちゃったんですね。こうして江戸城の本丸の間近に、広く安定した平地を造成した、というわけです。改めて家康という人の凄みを感じますね。

船からしか見られない日本橋の姿。このアングルは新鮮。

日本橋は、5つの街道の起点ですが、同時に、江戸時代におけるすべての水路の基点でもありました。初代の日本橋を架けたのは、やっぱり家康公。今の日本橋は、1911年に建造されたもので、国の重要文化財にも指定されています。

「それでは、出発いたします!」

ガイドのY さんの声が響き渡りました。私は、1つも逃すまいと、あたふたとカメラを握りしめます。こうして90分の船の旅が始まりました。

日本橋の下側。下からみても本当にきれいな橋です。

 DATA

日本橋クルーズ®
連絡先:03-5679-7311(東京湾クルージング)
http://ss3.jp/nihonbashi-cruise/index.html

「神田川クルーズ®90分」
料金:大人 2,500円 小学生 1,500
*クルーズプランは他にも多数あり。料金や内容については公式サイト参照。

 (次回へ続く)

 プロフィール

武藤郁子 むとういくこ

フリーライター兼編集者。出版社を経て独立。文化系アウトドアサイト「ありをりある.com」を開設、ありをる企画制作所を設立する。現在は『本所おけら長屋』シリーズ(PHP文芸文庫)など、時代小説や歴史系小説の編集者として、またライターとして活動しつつ、歴史や神仏、自然を通して、本質的な美、古い記憶に少しでも触れたいと旅を続けている。著書に共著で『今を生きるための密教』(天夢人刊)がある。

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