日本人にとっての海と同じ!? 走ってわかったモンゴル草原

2019.07.15

私が書きました!
編集者・ライター
古谷玲子
出版社・編集プロダクションの株式会社デコ所属。移住者向け雑誌「TURNS」のほか、単行本『孫育て一年生』を担当。フリーランス時代は、海外旅行ガイドブックで、台湾、台北、モンゴル、東アフリカを手掛ける。2年前に初めてモンゴルで遊牧民の男の子に恋して以来、毎年モンゴルを訪れている。「人の営み」に興味がある。旅はライフワークのひとつ。

女ひとりぶらりモンゴル、草原マラソンの旅 ③

モンゴル陸上競技連盟主催のこのモンゴル国際草原マラソン(通称:草原マラソン)は、2018年で22回目というから、息の長い活動だということがわかる。今回、私が参加したのは、ハーフの21km。そのほか、3km、5km、10kmを駆け抜けるレースになっている。

日本とモンゴルの友好を目的とするほか、大草原を走ることでモンゴル観光をアピールしたい願いもあるそう。2018年初となる50kmトレイルランには駐モンゴル日本大使自らが参加するというから、意気込みを感じる。

また、モンゴル陸上の発展をめざし優秀な選手を育てることも目的としている。これまで、セルオド選手やオトゴンバヤル選手などのオリンピック選手がこの大会から輩出されたという。

さて、開会式も終わり、いよいよスタート。ハーフと10kmはひとあし早くスタートするということで、あれよあれよという間にバタバタとスタートすることになった。

この日は快晴に恵まれ、果てしなく続く緑の絨毯とモンゴリアンブルーの青空が私たちを迎えてくれた。その草原を彩ってくれているのは、エーデルワイスをはじめとする高山植物だ。モンゴル人たちは「今年の草原は、雨が多かったから、特別に緑が鮮やかだ」と誰もが口を揃えて言った。そんな年に草原マラソンに出られたのはラッキーだった。

色とりどりの可憐な花たちが姿を現すたびに、足を止めてシャッターを押してしまい、なかなか前に進ませてくれない。まぁ、もともと記録を狙っているわけでもなかったし、思い切りモンゴルの草原を満喫しよう! とにかく楽しもう!

走っていてよくわかったのが、草原には「日陰」というものが存在しないこと。どこを探しても日陰がない。唯一の日陰は……「雲」。時折、雲が太陽をふさぎ、草原に影ができる。

これが草原というものなのか……。日本人にとっての「海」に置き換えればわかりやすい。草原を走るというのは、「大海原を走ること」と一緒なのだ。走って初めてそのことに気づいた。

コース前半でいきなり登り坂が待っていた。遠くから見ると緩やかな登りのように見えたが、走ってみると意外とハードだった。そもそも標高が1500mくらいというから、平地とは明らかに条件が違うことに気づく。

そんなとき、励ましてくれたのは、地元の方だ。馬を運ぶトラックの運ちゃんや、バイクに二人乗りしているおじさんとおばさんたち。それに家畜たちの落とし物もあり、モンゴルらしい風景に心癒された。

ちょうど小高い丘を越えたあたり、一番つらいときに「オボー」が迎えてくれた。オボーとはモンゴルの小高い山の上や峠によく見られる石の堆積で、土地の守護神が宿るといわれている。オボーには作られている場所によっていろいろな種類があるが、旅の途中でよく見かける丘の上にあるオボーは、旅人にとって道しるべとなり、旅の安全を祈願してオボーの周りを3回回るという。

今回は、レースの途中なので、そのまま素通り。心の中で、レースの無事を祈った。

スタート地点であれほどいた参加者が、距離が進むにつれて散り散りになり、ちょっと心細くなる。遠くに目をやると、いつのまにか人が米粒大くらいになっていた。

このコースで合っているのだろうか。次第に一抹の不安が頭をよぎってきた。

④へつづく

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