はじめての山小屋泊体験にちょうどいい、温泉と登山が楽しめる「三条の湯」

2020.03.07

私が書きました!
山小屋スタッフ
山岸周平
東京都最高峰の雲取山の山腹、標高1,103mにある温泉付きの山小屋「三条の湯」のスタッフ。前職は東京消防庁の消防士として約10年勤務。奥多摩消防署異動を機に、登山、トレッキング、クライミング、ケイビング、バックカントリー、ヒルクライム、ラフティングなどを楽しむようになる。ブログ:山ちゃんの小屋番日誌

紅葉の季節の三条の湯。手前に薪割り場、奥には温泉の小屋が見える。

山小屋「三条の湯」ってどんなところ?

僕は東京都と埼玉県と山梨県の県境にある雲取山の中腹にある山小屋「三条の湯」で働いています。山小屋のスタッフとして住み込みで働いていて、月に1度5日間だけ下界に降りるという暮らしをかれこれ約2年しています。三条の湯のこと、また山小屋生活で身につけたアウトドアのコツなどを、数回に渡って記事でご紹介していきます。

三条の湯は、雲取山や近隣の山々への登山の拠点となる、今年で創業70周年を迎える山小屋です。標高1,103メートルにあり、森と水に囲まれ、とても穏やかな雰囲気が魅力です。山小屋の他に、テントサイトもあり、日帰りの方々も利用できる食堂やトイレも完備しています。

三条の湯は、立地条件的にも一般的な山小屋に比べだいぶ恵まれています。山小屋では物資の搬送や水の確保などライフラインを維持するだけでも一苦労。その点、三条の湯は物資運搬の導線が整えられているなと感じます。

そして1番の魅力は温泉があること。山小屋にはお風呂やシャワーがないのが一般的で、それは山という立地を考えれば当然かもしれません。三条の湯では、近くに湧く源泉を引いて温泉を提供しており、これがまた格別なのです。

全国各地に山小屋があり、僕自身も山を登り始めて色々な山小屋に泊まってきましたが、三条の湯で働いてから、山小屋に対するイメージが大きく変わってきました。そしてここは、山小屋泊をするのがはじめてという人にとっても、非常に適していると思います。その理由をここで紹介していきます。

それぞれの目的で楽しみに来る登山・宿泊客のみなさん

本格的な登山者の方もいれば「今年から山を登り始めました!」という初心者の方も多く見かける三条の湯。何より山の中腹にあるこの山小屋に泊まって、山には登らずに下りていく方も非常に多いです。いわゆる”三条ピーク”という方達ですが、目的は秘湯入浴だったり、キャンプだったり(三条の湯にはテントサイトもあります)、山小屋の食堂で仲間と一緒にご飯を食べてゆっくり過ごしたり……親子で来られる方や、宴会目的なんて方も見られます。

三条の湯の食堂。山小屋で出会った人たちと語り合う、「三条の湯」オーナーのヒロさん(写真一番左)。

三条の湯は、携帯の電波が入りません。そのため、外界から遮断された森のなかでゆっくりリフレッシュしやすいのだと思います。また、山小屋泊でもテント泊でも、食堂のスペースを自由に開放していて(他の山小屋ではそうとは限らないので、各山小屋のルールに従ってお過ごしください)食事や読書など思い思いの過ごし方がしやすいのでしょう。東京都の水源でもあり水が大変豊富な森に立地しているので、山小屋泊の方にも、テント泊の方や、日帰りの通りすがりの登山者でも、山小屋では水を無料で提供しています。登山をしたり、山小屋泊の際に一番気を使うのが水の確保だと思います。その点、三条の湯では水だけでなく、お湯も無料でご提供していて何かと安心です。

三条の湯のテントサイト。繁忙期には約70名のテント泊利用者が集うほど。近くを流れる沢の音がBGMに。

山小屋の部屋ってどんな感じ?

山小屋では、皆で雑魚寝の相部屋スタイルが基本です。三条の湯では、大部屋と小部屋がいくつかに分かれていて、それぞれ布団や毛布、枕などを自由に使って頂けます。

三条の湯には複数の小部屋が分かれている。中でも一番スペースの広い大部屋での就寝風景。

三条の湯のトイレはバイオトイレできれい快適

一昔前までは「山のトイレは和式で汚い」というイメージがあったかもしれませんが、山小屋や自治体がトイレ問題に力を入れていて、洋式もあればニオイも少なくなってきています。山小屋によってはお香を焚いていたり、利用者の快適により配慮しているケースも増えています。

三条の湯では、「バイオトイレ」を採用。

三条の湯では、環境により配慮して約15年前からバイオトイレを設置しています。複数の洋式トイレもありますので、朝晩など利用者が多い時間帯でも安心してご利用頂けます。

電気は水力発電。クリーンエネルギーが自慢です

三条の湯では水力発電を行っており、豊富な水を利用して電気は常に確保できている状態です。自然を汚さずに、森からエネルギーを毎日頂いていることを実感します。食堂には、携帯の充電器を置いているので充電いただけます。

2機の発電機を使用し、水力発電を行っている。

山小屋の食事ってどんな感じ?

山小屋の食事は、その山小屋の置かれている立地条件などにより、物資の運搬の違いからも全く異なります。三条の湯では、山小屋オーナーの畑や地元の丹波山村で採れた野菜、季節ごとの旬の山菜やキノコを使った料理を提供しています。

食堂でその日の夕食を準備中。おひつには炊きたての白米がたっぷり。

美味しい水で炊いた白米や炊き込みご飯も人気。なんといっても手作りの温かい料理を、その場に居合わせた方々と食卓を囲むのはホッコリします。

毎年9月末〜10月頃になると採れる、天然舞茸。天ぷらやピクルスにしても美味。

それぞれの山小屋によって内容は異なりますが、三条の湯では、食堂でイートインできるメニューもご用意していますし、お菓子やアルコール、手ぬぐいやTシャツなどの販売も。

三条の湯の小屋スタッフが考えるおもてなしの心

山小屋のスタッフは、何よりも一番に登山者の安全を願っています。そのためのサポートが務めでもあるので、困ったことや質問があれば聞いて欲しいなと思います。山小屋スタッフも気になった場合は、登山者や宿泊者の皆さんにお声がけすることもあります。

旅人のサポーターでもある僕らはできる限りの情報提供や相談に応じます。山行ルート、天気予報、動植物のことも。気になることは何でも聞いてください。分かる範囲でですが、お答えします。

山小屋での時間をまずは体験しに行ってみよう

「山小屋に泊まらなくても日帰りで帰れるなら帰ろう」。そういった登山者も多くいらっしゃいます。そこで、あえて泊まられる方が多いのは何故か?

それはきっと、日々の疲れを山小屋に来て過ごすことで、癒やされるからなのかなと感じます。山という自然の宝庫の中で、快適に一晩過ごす。その中で特別な景色、その時にしか出会えないものと触れ合う、そんな時間を山に来る人たちは求めているのかなと思います。

山小屋ごとに事情は異なりますが、どこもできる限りのことをしています。
今の僕にとって山小屋は「温かい場所」になっています。ぜひそんな場所を体験しに、山小屋に宿泊してみてください。皆さんの良い山旅を願っています。

山小屋「三条の湯」のデータ

住所:〒409-0300 山梨県北都留郡丹波山村4025-1
営業時間:通年営業。温泉の利用は、12:00頃~20:30 (日祝日 10:00頃~ 20:30)
宿泊料:一泊2食付き8300円(大人)、素泊まり5800円、幕営(テント)1名700円など
入浴料:大人600円、小学生400円(※宿泊者は無料、テント泊者は別料金。冬期入浴希望者は要予約)

【車でお越しの方】
・圏央道日の出ICまたは青梅ICより国道411号線利用で約1時間10分
・長野方面からは中央道勝沼ICより国道411号線利用で約1時間 ​ 
※カーナビゲーションを利用する場合は住所を「丹波山村4025-1」に設定してください
※車の通行は林道入口から2kmの片倉ゲートまでです​
※その先徒歩2時間30分

【電車・バスでお越しの方】
・JR青梅線奥多摩駅下車、西東京バス丹波行き「お祭」下車、徒歩約3時間​  
 鴨沢西行き終点下車、徒歩約3時間15分

<問い合わせ>
有限会社 丹波山観光  
電話: 0428-88-0616​
住所:〒409-0300 山梨県北都留郡丹波山村2079
https://www.taba-kan.co.jp/blank-9

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