尾瀬で楽しむ『やまごや絶景グルメ』 これぞプレミア山小屋のランチだ! | BE-PAL

尾瀬で楽しむ『やまごや絶景グルメ』 これぞプレミア山小屋のランチだ!

2021.10.02

人気No.1の尾瀬小屋ステーキ丼。キャベツとご飯にステーキをのせ、特製ソースとガーリックチップで仕上げてある。

辿り着くまで登山口から歩いて5時間以上、尾瀬ヶ原の奥に位置するのに小屋前にはウッドデッキのテラスが広がり、大きなパラソルの下にはリクライニングチェアが並び、目の前の大湿原と至仏山を眺めながらフレンチや生ビールも楽しめる。そんな山小屋が尾瀬にあることをご存知だろうか。

神奈川県川崎市に本社を置く株式会社サンの子会社が運営する、尾瀬・見晴地区の「尾瀬小屋」だ。今回は、代表の工藤友弘さんにお話しをお伺いした。

ニューノーマル時代へ向けた覚悟と挑戦

運営会社代表の工藤友弘さん 食をきっかけに多くの人に尾瀬に関心を持ってもらいたいと語る。

山小屋はいま、大きな節目を迎えている。新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、尾瀬小屋が今シーズンに受け入れた人数は通常の5分1程度しかない。WITHコロナ時代への覚悟と挑戦など、今後のあるべき姿を模索していくうえで、新たな体験価値を提供する山小屋として「尾瀬小屋」の改革を今年から進めてきた。コンセプトは「やまごや絶景グルメ」、これまでの尾瀬の登山やハイキングだけの魅力で終わらせたくない。

山小屋だからこそ出せる価値があると、代表の工藤さんは意気込む。

知人とキャンプをしながら何度も話し合った

街中のカフェのような佇まいと大きなテラスとパラソルは、絶景を楽しむ気分を盛り上げる。

工藤さんは子供の頃に初めて山を楽しんだのが尾瀬だった。若い頃に日本全国の山歩き楽しんできたことから、長年に渡り登山での食事を見て感じたことがあった。荷物の重さを避けフリーズドライやアルファ米中心の食で妥協し、売店や小屋で提供される食はどれも想像できる範囲に収まっていた。しかし昨今のキャンプを中心としたアウトドアブームにより、SNSで映える料理や凝った食材などアウトドアに持ち込まれる食も多様化してきた、それならばと尾瀬小屋でも食の人気に着目した。

尾瀬は自然が豊かで国立公園内にキャンプ場があり、山小屋も多くあることからベテランだけでなく、ファミリー層にも人気は高い。登山だけでなくハイキングを楽しむ方も多いという。

自らの考えを実現するために、飲食店を営む友人知人とキャンプをしながら何度も話し合った。そしてたどり着いた答えが”山小屋で提供する食事をワンランク上のものにしたい”と。

知人のシェフからは街のレストランで食べるのと変わらないフレンチを山で食べられるようにしようと、食材選びや調理方法のアイデア、レシピを提案してもらった。

ちょうど親会社は、J1の川崎フロンターレのホームスタジアムで「ALCキッチン」を出店し料理を提供していた。競技場では多くの観客の胃袋を満たすため、クイックに料理が提供されなくてはいけないし調理工程はとてもシンプルだった。そこに目をつけた工藤さんは立派な厨房が設備されているわけでない山小屋とスタジアムに出店するキッチンカーの調理ノウハウがマッチすることに気がつき、親会社の協力も取り付けレシピの開発をした。

リクライニングチェアに座り尾瀬ヶ原と至仏山を眺める

ビール片手に何時間でもここに居たいと思うロケーションは、尾瀬小屋ならでは。

筆者は2泊の滞在の間に、すっかり尾瀬小屋での食の魅力と絶景のテラス席に魅了された。人気No.1という尾瀬小屋ステーキ丼は、1頭の牛から3kgしか取れない希少部位カイノミを使用するというから驚く。

レトルトではなく、カレーもコトコトと煮込んで仕上げているから絶品だった。フレンチトーストに使う蜂蜜は地元の歩荷さんが作っているもの。使用する野菜もローカルなものを積極的に採用する。ビールだけでなくワインも選べる、日本酒は福島の花泉や群馬の水芭蕉などの名酒が揃う。提供される器や盛り付けにもこだわりが感じられて、直ぐに気に入った。

訪れた人からは「感動の嵐!」「山でこんなものが食べられるのか!」と絶賛。噂を聞きつけたキャンパーの中には、あえて自分で調理せずにここの料理を楽しみにして訪れるひとが後を絶たないそうだ。

魅力の裏に隠された課題も知ってもらいたい

ニホンジカの食害、歩荷文化の後継者不足、物資運搬の高騰など問題などを知ってもらいたい。

これらの食を通じた動きは尾瀬小屋の認知や集客だけでなく、日本の国立公園の魅力を知ってもらう「国立公園満喫プロジェクト」に山小屋として唯一参画するなど、最大の魅力である自然そのものと非日常な体験を世界の人々に提供することを目指している。

また小屋を訪れた方には、何気なく手にするビール1杯や料理1品も、そこに使われている食材や品々、ゴミがどうやって運ばれるか考えて欲しいと言う。山奥の物資運搬はヘリで運ぶしかない、ときには歩荷さんと呼ぶ方々が重い荷物を背負って運んでくる。そうやって多くの人によって山小屋や食が支えられているということを伝えて行けたらと語る。

尾瀬の抱える課題をたくさんの人に知ってもらえたらという願いも強い。例えば尾瀬の季節ごとに咲き誇る花々は有名だが、ニホンシカが増えすぎてしまって年々その植物が減ってしまうという”食害”が広がっている、その対策として国立公園を守るために年間500頭余りのニホンジカが駆除されている。物資を運ぶへりの輸送費用は年々高騰するばかり、歩荷さんの後継者問題もある。

工藤さんの取り組みは、持続可能な自然環境を支えることや山小屋の今後のあるべき姿や役割を模索していくうえでヒントとなるのかもしれない。

【尾瀬小屋】
所在地 : 〒967-0522 福島県南会津郡檜枝岐村
営業期間: 5月~10月(年により変更あり)
※2021年の営業は10月9日で終了
創業 : 1957年
URL : https://www.ozegoya.co.jp/

 

私が書きました!
JSPO公認山岳コーチ
岸 正夫
アウトドアの楽しみを多くの人と共有したいと“山ごはんクラブ”を主宰。キャンプだけでなく低山ハイキングから高山縦走まであらゆる山行を楽しむ。トレイルランニングやウルトラランニング歴も長い。遊ばせてもらっているフィールドに恩返しする気持ちで、ハイキングコースの整備に取り組んでいる。
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