連載【漕いで、釣って、食べて】カヤックフィッシング奮闘記Vol.44
夏はカヤックフィッシングにはいい季節なのに、海の状態とスケジュールの調整が合わず、久々に出船できたのが9月8日。マリンボックス沼野さんによれば、ここ最近の釣果はいいらしい。朝6時半、期待を胸に逗子沖へとカヤックを走らせる。なんだかこの日は、すごく釣れそうな予感がした。
釣りをする人ならわかると思うが、ものすごく釣れそうな気がする時間帯がある。それは朝夕のマズメ時だったり、天候だったり、ベイトの群れであったり、様々な要素があるのかもしれないが、特に何もなくてもそう感じることがある。
うまくいえないが「見えない相手がすぐ近くにいる気配」のようなものを肌で感じるのだ。普通に釣りをしている時間とは、明確に違う独特の雰囲気が漂う(ように感じる)。そういう時間帯は、長くは続かない。そして実際に「釣れそう」と感じているときにはよく釣れる。が、釣れそうな雰囲気なのにまったく釣れないということもあるし、逆に釣れなそうだと思っているときに突然釣れたりもするので、結局この勘はほとんどアテにならない。
が、この日の予感は当たっていたらしい。逗子沖のポイントに到着して間もなく、ロッドが大きくしなった。大物ではなさそうだが、なかなかの引き。ドラグをゆるく設定しているので、リールからギィィィー!と音を立てながらラインがどんどん出ていく。うーん、この引きは、誰だろう。