カラフルでかわいい「ウミウシ」。個性的でユニークな暮らしぶりとは?

2021.03.23

私が書きました!
海の生物ライター
真木久美子
海の生物のたちの生活を伝える海の生物ライター。西伊豆大瀬崎のダイビングショップ「大瀬館マリンサービス」の現スタッフ、ダイビングインストラクター。顕微鏡ではなく、実際に潜って自分の眼で見るプランクトンの観察、撮影がライフワーク。ブログ「まいにち大瀬崎」。

前回はカラフルでかわいいウミウシをご紹介しました(https://www.bepal.net/play/canoeing/145268)。今回は個性的で面白い暮らしぶりのウミウシをご紹介します。

光合成、自己再生できるウミウシ

コノハミドリガイなど一部のウミウシは、エサの緑藻の葉緑体を消化せず体内に取り込み、取り込んだ葉緑体に光合成をさせることでエネルギーを得ています。また最近の研究で、ストレスを受けるなどすると体を自切し、頭部から体全体が再生することが報告されています。動物なのに植物のような機能を持っていたり、体が再生したりすごい生き物ですよね。

体に食事でとりこんだ葉緑体で光合成してエネルギーを得ることができる。コノハミドリガイ 鹿児島錦江湾

ウミウシの生活史

ウミウシは雌雄同体で、オスとメスに分かれていないので、どの個体同士でも出会えば交接することができます。体の右側にある交接器をくっつけあって交接します。また、違う種でも交接していることも観察されています。

体の右側をくっつけあって交接している。ツノザヤウミウシの交接 静岡県大瀬崎

異なる種だが交接している。キスジカンテンウミウシ(上)とコンペイトウウミウシ(下) 八丈島底土

ウミウシの子供時代

ウミウシの子供時代の姿は種によって異なりますが、プランクトンとして浮遊してすごす種もいます。大人になる直前のツノウミフクロウの幼生は、体のまわりにボールペン売り場の試し書きのようなひだがあり、なんとも不思議なフォルムです。

こどもの頃はこのような不思議な形で浮遊してすごすものもいる。ツノウミフクロウのベリジャー幼生 屋久島一湊

刺激を受けると「雨を降らす」?

春の磯でのんびり海藻を食むアメフラシ。ウミウシにも似ているアメフラシは刺激を受けると紫色の液体を分泌します。紫の液体が雨雲のようなことから「雨降らし」というわけです。

刺激を受けると紫色の液体を出す。アメフラシ 静岡県大瀬崎

超マニアックなウミウシたち

なかなかお目にかかれないマニアックなウミウシを紹介しちゃいます。ウミウシは水底を這って生活するものがほとんどですが、生涯着底せず浮遊してすごす浮遊ウミウシ。ササノハウミウシやコノハウミウシはクラゲなどに混ざって海を漂い生活しています。

静岡県の大瀬崎では現地ダイビングガイドの間で、ササノハウミウシが多く観察されるときはリュウグウノツカイなど深海魚の幼魚に出会える確率が高いといわれています。深海魚の幼魚は沖合の表層で暮らしており、ササノハウミウシが観察されるということは、沖合の潮が沿岸部に流れ込んだことを表しているようです。

ライムグリーンの微細な斑点が美しい小さなウミウシ。ササノハウミウシ 静岡県大瀬崎

小型の魚が泳いでいるように見える。体長は3~4㎝程度。コノハウミウシ 静岡県大瀬崎

たくさんのウミウシを紹介してきました。お気に入りのウミウシは見つかったでしょうか?

コロナ禍で世界中が混乱していますが、丑年の2021年は、牛のごとくゆっくりでも力強く前進し、ウミウシのごとくそれぞれの魅力が輝く一年になりますように。

パンダツノウミウシ 屋久島一湊 BE-PAL2020年12月号付録「トラベラーズ・ダイアリー2021」の表紙イラストになっている。

写真:水中カメラマン 堀口和重
日本の海を中心に海洋生物やそれに携わる被写体を1年通して撮影。撮影した写真は新聞やダイビング雑誌などのメディアに掲載、セミナーなどのカメライベントなども開催。水中の生き物の面白い姿や、面白い生態を知ってもらいたいと、海と人の関わりをテーマに撮影している。

撮影協力:大瀬館マリンサービス/屋久島ダイビングリゾート DIVE ANCHOR/ダイビングショップ SB
/八丈島ダイビングショップアラベスク (順不同)

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