火おこしから始めてみよう! 焚き火 基本のき+プラス 着火技術編

2021.01.05

森や河原で燃料を集めて火をつけ、自分でコントロール。コツをつかめば意外に難しくないんです。火おこしから始める焚き火キャンプは至福の体験となるはず!

講師 関根秀樹さん

和光大学で「火の文化史」「音と楽器のミンゾク学」、多摩美術大学で「絵の具実習」を担当。『焚き火大全』(創森社、共著)など著書多数。

教わる人 森 風美さん

女性向けアウトドアサイト「なちゅガール」編集長。SNSやテレビ、イベントを通してキャンプの魅力を発信中! 本格焚き火修行に参上。

講師 関根秀樹さんと森 風美さん。

火おこしの世界チャンピオンという異彩な経歴を持つ、関根秀樹さん。今回、そんな彼のもとに弟子入りしたのは、女子ソロキャンパーの森風美さん。ひとりでも気軽に焚き火を楽しむためのノウハウを教わりに参戦!

関根:「では、早速。薪に火をつけるには何が必要でしょうか」
森:「ライター!あ、流行りのファイヤースターターかな」
関根:「ブッブー。ライターの炎をいきなり薪に近づけても火はつきません。まずは火口になる焚き付けに火をつけて、小さな炎を作らなければダメ」

いうが早いか、藪のなかを突き進んでいく関根さん。
森:「待って〜。それなら、古新聞とかで間に合うんじゃ!?」
関根:「そんなの持ってこなくても、いくらでも拾えるよ」

立ち枯れたススキの穂を見つけ、摘み取っていく。
関根:「火を上手におこすコツは、スターターとなる焚き付けをたくさん用意すること。これをケチると火が本格的に燃える前に立ち消えちゃうから」
森:「なるほど。じゃあ、焚き付けさえしっかり燃やせれば、あとはなんとでもなるんだ!」
関根:「…そうだね。あとは、細い薪から少しずつ太い薪へと火を移していけば問題なし」

次に火床となるかまど作りだ。河原なら石、山なら丸太を使えば、簡単にかまどが作れる。
関根:「石の場合は、高さを揃えておくことが大事。鍋ものせやすい。丸太なら平行に並べて置くだけ」
 
火力が欲しい場合は大きい石で炉の面積や高さを大きくする。乾いた堅木の薪も必要だ。ゆっくりじっくり暖まりたいときは、石の広い面を向かい合わせに置いて石の輻射熱を利用する。
森:「火が延焼しないように、石をピッタリ寄せてと……」
関根:「あー、灰が溜まると石と石のすき間が塞がれるから、最初はある程度あけておくこと。4人家族なら、直径が30〜40㎝にしておくと使いやすいよ」
 
火床の準備が整ったら、いよいよ火おこしに挑戦だ。

基本のき+着火技術編

焚き付けを集めよう

フィールドで天然の着火材となる焚き付けを集める。ススキの穂や枯れ葉、シラカバの樹皮などが最適。一瞬で燃え落ちるので、多めに集めておくこと。

焚き付けの材料

◦マツの葉

マツの葉。

極細の葉は集めるのに苦労するが、松脂が含まれるため、着火材に最適。都会の公園などでも拾える。

◦マキの葉

マキの葉。

庭木に使われるマキの葉の、枯れた落ち葉は乾燥していて火がつきやすい。一般的な針葉樹より葉が扁平。

◦マツボックリ

マツボックリ。

マツ葉同様、松脂を含み、乾いていればマッチ1本で着火し、火もちもほどほど。着火材兼燃料としても活躍。

◦ススキの穂

ススキの穂。

イネ科のススキやアシ、チガヤの穂は非常に火がつきやすいが、すぐ燃え尽きるので、大量に圧縮して使う。

◦スギの葉

スギの葉。

焚きつけの代表選手。茶色く枯れたものを拾う。乾いていればマツほど煙は出ず勢いよく燃える。

薪の下準備

薪の中心に鉈を置いて叩く!

太い枝や購入した薪を使う場合は、火がつきやすいようにナタで小割りにする。燃えにくい樹皮もあるので、鉈やナイフで毛羽立たせておく。

薪は太さで分ける

細い薪から太い薪へ徐々に火を移していくのが焚き火の基本。最初は爪楊枝程度から割り箸、鉛筆とどんどん太くする。太くなるほど一度に加える量は少なくする。

かまどを作ろう

基本形を横に広げたシステムキッチン型。片側を火おこしゾーンにし、熾火ができたら片側に移動して、鍋置き場にする。石の広い面を炎に向けておくと輻射熱で暖かさが持続。

石を使った方法

熱を逃さず、防風性をアップさせるのがかまど。基本は石3つで3方を囲み、石と石の間は隙間を作って風の通り道を作っておく。

要注意な組み方

石と石の間を密着させて薪を囲むと、空気が通りにくいのでNG。とくに灰が溜まってくると隙間が塞がれてしまうので、注意する。

木を使った方法

太い枕木を2本平行に並べ、その間で焚き火をする方法もある(平列型)。写真のように先端をV字に閉じた形はハンター型と呼ばれる。熱がたまり、上に鍋も置ける便利な型だ。

枕木の幅で鍋の大きさが変えられる。枕木は太いほうが火が燃え移りにくく安心。日本のマタギや猟師は平列型を使う人が多い。

 

関根:「僕の火おこしはいつもこれ」
と関根さんが取り出したのは、弓ギリ式発火法の道具。
森:「かなり原始的…ですね。でも、面白そう!」

ライターひとつあれば事足りるが、こんな道具があると、火おこしさえ遊びに変わる。
関根:「火きり板の穴に火きり棒を差し込んだら、火きり板を足で踏んで固定して、弓を引く」
 
ホラっと、わずか5秒ほどで着火に成功。
森:「えぇ!全然つかない〜」
関根:「しょうがないなぁ、じゃあ、紐ギリ式でやってみようか」
 
火きり棒を関根さんが支え、弟子の森さんが引っかけた紐を交互に引く。すると……30秒ほどでもくもくと煙が上がる。大事に麻の火口で火種を包み、手で摘んでクルクルと回す。
森:「ついたーーー!!」
 
感無量とはまさにこのこと。しかーし、そん感傷に浸っている場合ではない。
関根:「ほら、早く焚き付けに入れないと、火が消えちゃうよ」
 
小さな火が焚き付けに移り、パチパチパチッと爆ぜるように燃え上がった炎は、あっという間に枝へと燃え広がっていく。
森:「なんか、ゾクゾクってきた。今度から火おこしはこれかも」
 
ファイヤースターターや火打ち石(!?)など、着火道具も多種多様。自分に合うものを選んで焚き火に活用してみよう。

関根さんの基本道具

右から、空気の供給と同時に灰を吹き飛ばす火吹き竹。薪を小割りにするための鉈。枝を削るためのマキリ(アイヌ民族の短刀)。火おこし用の弓ギリ式発火具、火種になる麻ひも、木のささくれや焚き火の熱から手を守る厚手の革手袋。

着火する

弓ギリ式発火法

右から火口用の麻ひも、ハンドピース、火きり棒、弓、火きり板、キリモミ式の火きり棒。縄文人やアイヌ民族も使っていた発火具。

紐ギリ式発火法

ひとりが火きり棒を支え、もうひとりが火きり棒に拠った麻ひもを巻き付け、ひもを交互に引くことで火きり棒を回転させ、火種を作る。

木の摩擦熱で30秒ほどで煙が上がり、焦げた木粉が火種に変身! それを、あらかじめ用意しておいた生の葉っぱに落として運ぶ。

麻ひもをよくほぐした火口を鳥の巣状に広げ、その中央に火種を落とし、火口で包み込む。消えないように隙間から息を吹きかける。

火種を包み込んだ火口の端をつまみ、クルクルと回す。炎が上がったら、焚き付けの下に入れて火を育てる。

火口の種類

◦麻ひも

焚き付けへの火つけ役としていちばん身近なのが、荷造り用のジュートの麻ひも。撚ってあるものをよくほぐし、丸めておく。

◦ガマの穂綿

茶色のガマの穂に詰まった綿毛は、火打ち石の火花の火口によく使われる。左は点火しやすいよう灰汁に浸して乾燥させたもの。

ファイヤースターターを使ってみよう

マグネシウム合金や、鉄とセリウム合金(フェロセリウム)のロッド(棒)と金属を使って火花を作る、現代版の火打ち石。

ロッドを削って金属粉を集める。削るときはゆっくりと金属を動かす。

ほぐした麻ひもを金属粉の脇に置いてから、金属をロッドの上部にあて、擦る。

勢いよく擦り下ろすことで、火花が飛び着火する。つかないときは小刻みに何回も擦る。

火をおこしてみよう

極細、細、中太と薪を積み、下に焚き付けのススキの穂を設置。火種を作ってほぐした麻ひもに火を移し、焚き付けに着火する。

火をより太い薪に移して成長させる。煙が少なくなったら火が安定した証拠なので、太い薪を1本ずつ足して火を大きくする。

直火OKのキャンプ場でも、環境に与えるインパクトを最小に抑えるため、以前誰かが使ったファイヤースポットで焚き火をするようにしたい。

火吹き竹があると便利

火が燻ったり、煙が大量に出る原因は焚き火が酸欠状態のことが多い。そんなときは熾に新たな薪を添え、火吹き竹で吹くといい。

焚き火の後はきっちりお片づけ

焚き火は最後まで完全燃焼させるのがマナー。最後まで燃やしきって火床が白っぽくなったら、穴を掘って灰を入れ、水をかける。

土をかぶせたら、かまどの石を上に積み上げて終了。こうしておくとここがファイヤースポットだとわかり、次もここで焚き火が可能。

防災にも役立つ 身近なモノで着火実験

◦火打ち石

火打ち石発火法の道具はシンプル。右は炭素鋼の火打ち金と火うち石(メノウ)。左は幕末の携帯用小型火打ち金と火打ち石。

火打ち石の上に火口のガマの穂をのせて打つと、火花が移る。

火打ち金で火打ち石の角を削るように強く叩き、火花を飛ばす。

◦水晶玉

水晶玉を使って光を1か所に集中させて火をつける、収れん発火。黒いもののほうが火がつきやすく2〜3秒で発火。

◦乾電池

鍋洗いに使われる鉄繊維でできたスチールウールと、9V電池を使用。スチールウールは薄くほぐして、発火しやすいように準備する。

ガムの包み紙とアルカリ乾電池を使用。包み紙を砂時計のように真ん中を細く切り、その両端で電池のプラスとマイナスを挟む。

9V電池を鉄繊維に押し当てるだけで通電し火がつく。

一瞬で火がつくので、燃えやすいものを下に敷くといい。

●撮影は直火OKの場所で行なっています。焚き火の際はキャンプ場や自治体などにあらかじめお問い合わせください。

(BE-PAL  2020年11月号より)

この記事をシェアしよう!

関連記事

『 焚き火の知識 』新着ユーザー投稿記事

『 焚き火の知識 』新着ユーザー投稿写真

『 焚き火の知識 』新着編集部記事

おすすめ記事