妻の仕事の都合で移住した佐賀は、 芸術家として最高の環境だった!

【移住のチカラ】冨永ボンドさんと「ボンドアート」

福岡出身の冨永ボンドさんは、
デザインの専門学校を卒業し、
25歳で「ボンドグラフィックス」の名でデザイナーとして独立。
福岡を中心に、クラブのフライヤーなど
グラフィックデザインを手がけていたが、
結婚した作業療法士の妻が佐賀県の病院に勤務することに。

「作業療法士って、
認知症の方や精神障害を持つ方の作業を通じた
リハビリにかかわる仕事なんですけど。
最近、注目されている仕事なんです」

 

そんな妻の姿を見てボンドさんも興味を持ち、
西九州大学リハビリテーション学部に助手として就職し、
アートセラピーに取り組むこととなった。
妻とボンドさん、ふたりが勤務する仕事場の中間地が、
佐賀県多久市だった。

 

もともと妻の仕事の都合で移住を決めた佐賀だったが、
想像以上に多久市での暮らしは快適だった。
木工用ボンドに材料に絵を描くアーティストでもある冨永さんは、
作品を保管するための倉庫を必要としていた。

多久市で見つけたのが、こちらの物件。

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改装自由、コンクリートの倉庫と木造の倉庫、2棟貸し。

しかも格安。

 

「そんな好物件、他の場所では考えられない。
仕事とボンドアート、両方やるならここがいいな、と思いました」

 

ちなみにこの倉庫、毎週金曜日はバーとして営業していて、
月1回第四日曜にはボンドアートが体験できる
オープンアトリエとして開放されている。

 

そもそも、「ボンドアート」ってなんだろう?
聞くと、世界でもボンドさんしかやっていない表現方法とか。

 

「アクリルで描いた絵のアウトラインを、
黒い塗料を混ぜたボンドで描くんです。
最初、いろんなものを貼り合わせてコラージュをしていたんですが、
ふと『ボンドグラフィックス』という屋号のボンドを使ったら
面白いかな、と思いついて」

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ボンドは、ものとものとをつなぐもの。
「つなぐ」が彼の作品の活動テーマだ。

 

「人、医療、地域、世界。
この4つをボンドアートでつなぎたいんですよ」

 

ひとつめの「人」。
ボンドさんは、ボンドで絵を描くという手法を
ライブペインティングしかやらない。
今回は撮影のためにキャンバスに向かってもらったけれど、
本来はアートイベントやマルシェ、フェスなど大勢の人前で描く。
モチーフも「人間」と決めている。
見ている人にも参加してもらって、作品を仕上げる。
まさに人と人をつなげるアートなのだ。

 

そして、2つ目の「医療」。
リハビリを必要とする人にとって、
絵を描くということ、アートセラピーがとても有効だという。

 

そして、3つ目の「地域」。

2014年にアトリエとしてオープンした「アートスタジオボンドバ」は

広さ約100坪の敷地内に、

バーカウンターやラウンジスペース、

DJスペースや古風な煉瓦づくりの巨大ギャラリーなどがある。

 

ボンドバのコンセプトは、
「市街からの集客による街のにぎわいづくり」だ。

アトリエの壁一面に大きく描かれたボンドアートを観に関西や関東、福岡からファンが観に来る。
色んな作家の画がこの街にあれば、もっと人が多久市を訪れるのでは?と考え、
協力してくれるショップのシャッターや壁に絵を描く
ウォールアートプロジェクトを始めた。
さまざまなアーティストを日本全国から招聘して
多久市中心市街地に絵を描いてもらうのだ。

 

「最初は地元の住民の方からの反対意見もありました。

でも私は私のスタンスを貫き、

周年イベントや月一回の開放日、

金曜BARの営業など自分がやりたいことを

一生懸命続けてきたんです。

そしたら、結果的に『ボンドバ』の賑わいを観た

行政の方や議員さんが私に可能性を見出してくれたのです」

 

自分がやりたいことを一生懸命やる。
結果を出し続ければ、街は動くのだと言います。
「来月こんなことをやるんです」

と教えてくれたのは、
アトリエ2周年を記念したアートとマルシェのイベントだった。
九州から様々なアーティストとクリエーターを招聘し、
ライブペイント&出店してもらう。
予定客数を聞いて驚いた。
「2000人くらいかな」とこともなげにいう。
私も、フェスやマーケットなど

野外イベントの運営に携わることが多いので、

野外の恐ろしさは知っている。
天気、トイレ、駐車場、急病人……。
あの後、イベントはどうなったかしらと思っていると、
こんな新聞記事になっていた。

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/340111

ひとりでやりきったとは……ボンドさん、すごい!

 

そして、最後の「世界」。
ボンドさんは、ニューヨークやパリのアートフェアに

単独ブースで出品をしている。
「冨永ボンドの世界挑戦」とプロジェクトを立ち上げ、
クラウドファンディングで予算を達成し、
海外のギャラリーと契約を取り付けてくる。
そんな活動を通じて、世界でも注目を集めはじめているのだ。

 

さらに、ボンドさんは、おしゃべりのうまさをかわれて、
ラジオ番組のパーソナリティーも務める。
話を伺っていると、ボンドさんはまず目的を明確に決めて、
そのためにはどうするのが効率的かを考える能力と、
発信力、プレゼン力がハンパない。
自然の多いところでのんびり自分らしく働こう、
という移住のセオリーにまったくそぐわず、行動力のかたまりのような男。
きっと、どこへ行ってもやっていけるのでは?

 

「いやいや。こうして自分のやりたいペースで活動できるのも、
生活の基盤がしっかりしている佐賀だからだと思うんです」

ちなみに、ボンドさんは1児の父でもある。
すごくたくましく、でも、軽やかに生きてるなあー。

 

自分らしい仕事を自ら作り、
地域の人たちとしっかりと協力しなから、
おもしろいことを生み出す。
これまでのマニュアルにはない、
あたらしい移住のあり方かもしれない。

 

佐賀県は、九州の中でも豊かな自然が残っている。
隣の福岡都市圏が通勤・通学圏内にあり、
「都会と自然のいいとこどり」ができるのが魅力だ。
おまけに佐賀県は、行政による移住のバックアップも
しっかりしている。

ありですよ、佐賀移住!

 

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文=高橋 紡 写真=宮濱祐美子

 

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