100年続く漬物蔵から生まれた『百年ピクルス』。 開発したのは佐賀に移住した30代でした。

【移住のチカラ】北御門裕一さんと『百年ピクルス』

 

 

 

今、九州に移住する人が多い。

しかも、佐賀に移住する若者が増えたというのだ。

え、なぜに、佐賀!?

その理由を聞きに、実際の移住者に

会いにいってきました!

 

私たちがめざしたのは、佐賀県鹿島市にある漬物屋「漬蔵たぞう」

ここで福岡から移住してきた若者が働いているという。

最寄り駅は、JR長崎本線「肥前浜」駅だ。

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駅から歩くこと、1分。

大きな漬物の樽が目印の「漬蔵たぞう」は、120年以上続く老舗。

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涼しげな鈴の音にふと入り口を見ると、このような句が。

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なになに、

 

ならづけの

風味が贈る

盆の夏

 

……スミマセーン、北御門(きたみかど)さんはいらっしゃいますか?

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社長の田雑継市郎さん(左)と、移住者の北御門裕一さん(右)。

北御門さんは現在34歳。

若い層の漬物離れを案じて『百年ピクルス』を開発し、ヒットさせるなど、

移住者ならではの新しい感性を活かして活躍している。

 

生まれも育ちも佐世保の北御門さんが「漬蔵たぞう」で働くことになったのは、

偶然も偶然、意外な流れからだった。

 

「福岡の音響の専門学校卒業後、エンジニアとして働いていたんですけど、

友人が主催したアコースティックライブのPA担当としてやってきたのが、

ここ『漬蔵たぞう』だったんですよ」

 

当時、佐賀はあまり縁のない土地。

仲の良かった友人の実家があったことから、

ここ鹿島市になんどか足を運ぶようになり、

社長の田雑さんとも話をするように。

そのうちに田雑さん宅の裏のアパートがあいているから住んでいいよ、

といわれたのが移住のファーストステップだったとか。

福岡での慌ただしい生活に

少し疲れていた北御門さんは、家賃の安さや自然の多さに惹かれ、

新しいことを学びたい、と思うようになる。

そして「よし、農業をやろう!」 と

猫を連れて2トントラックを運転して

鹿島市にやってきた。

「しかし、頼りにしていた友人はタイに行っていて

不在だったんですけどね(笑)」

 

田雑さんが農業に詳しく、

酒を飲みながらアドバイスをもらううちに

「漬け物蔵をきれいにして 人が集まる場所にしよう!」

と盛り上がる。

 

「音楽の趣味があうこともわかったし、田雑さんがこの場所でなにかやりたい、と思っていることも知ったんです。

漬物のことも聞いて、発酵文化っていいな、と思うようにもなった。

だけどね、めちゃくちゃ散らかってたんてすよ(笑)。

いろんな道具や巨大な桶が散乱していて、幽霊屋敷のようでした」

 

まず、俺にできるのは掃除だろう、と

業者さんにそうじの見積もりを取ったら、数千万という驚きの数字が出てきた。

負けたくない! と北御門さんは、みずから高圧洗浄機を片手に立ち上がる。

ものを整理し、ときどき友人の力も借りて

ひたすら壁から天井から洗いまくる3ヶ月。

すると、じゃじゃーん!

こんなふうに驚くほど魅力的な空間が現れた!!

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今では加工所・直売所としてだけでなく、

ライブや映画の上映会会場にも解放。

映画のセレクトも、野菜の在来種についてや仏教にまつわるもの、

3.11のあとの日本を考えるものなど、ドキュメンタリーが多く、

老若男女が集まる街の文化の発信地となっている。

 

蔵を新しい場所としてよみがえらせた北御門さん。

次は、もっと発酵文化を伝えることを手伝いたい、と田雑さんに頼むが、

人手は十分足りていたため「知恵を貸すから商品を出しなさい」といわれる。

そこで生まれたのが、新商品『百年ピクルス』だった。

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「お弁当でも、漬物が入っていると残す若い人が多いんです。

もっと野菜を食べてもらうには、どうすればいいか?

漬物のよさを知ってもらうにはどうしたらいいか?

と考えていたら、社長が作ったミニトマトのピクルスにハッとしたんです。

漬物もピクルスも似たもんじゃないか、と。

でも、ピクルスって、すっぱいじゃないですか。

もっとまろやかな味にしたくて、米酢で浅くつけているうちに、

食べやすい『百年ピクルス』の味に落ち着いたんです」

 

田雑さんにいわせると、

「これはもうピクルスちゃうよ」

というほど酸味が抑えられた味だったらしいが、

『百年ピクルス』を携えて、武雄図書館のファーマーズマーケットへ。

TSUTAYAと図書館が一緒になったことで全国的に話題になった図書館で、

このピクルスが大人気になる。

九州産の無農薬野菜をたっぷり使った老舗が生み出すピクルスは、

新聞や雑誌にもとりあげられ、生産がおいつかなくなってきた。

 

そこで、志を同じにする助っ人登場。

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まずは写真左の女性。

熊本在住の雑貨クリエイターであり、「嬉野のお茶の勉強をしたい」と、

しばらく佐賀のシェアハウスに滞在している前原幸恵さん(25歳)。

前原さんはもともと『漬蔵たぞう』のイベントのお客さんだった。

 

そして、写真右側の、山口結子さん(34歳)。

山口さんは、北御門さんの小学校の同級生だ。

お嫁に来ていた鹿島市で偶然再会。

その場で北御門さんにスカウトされたという。

 

前原さん、山口さんの力を借りて、

北御門さんと田雑さんは、さらに新しい名産品に挑戦している。

仲間たちとパパイヤを栽培し、

地元産の酒粕を贅沢に使用した『ココのパパイヤ』を開発。

鹿島市と漬け物文化を盛り上げるべく、奮闘中なのである。

 

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日本酒の蔵が多く残る町、鹿島。

田雑さんは酒と漬物という発酵文化での町おこしに取り組んでいて、

LINEアプリ『抱く県、佐賀 SAGAMONOGATARI』の「抱く人」にも登録されている。

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※「抱く人」の詳細はこちらで!  https://www.bepal.net/bp/17914

 

 

「ひい祖父の代から漬物一本。100年以上続く、

ごまかしではない漬物を食べに来てください」

 

と、田雑さん。

“漬物究める男の一本道”に、

移住者の若者の新しいパワーも加わって、

いま鹿島が、おもしろいことになっています!

 

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■「漬蔵たぞう」

佐賀県鹿島市浜町1192

電話: 0954-63-2601  平日9:00〜16:00

不定休(電話でお問い合わせください)

Facebookページ:https://www.facebook.com/tukekuratazou

 

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文=高橋 紡 写真=宮濱祐美子

 

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