駿河湾で起きた不思議な現象!深海に住む生き物がいっぱい!? | 海・川・カヌー・釣り 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2020.02.09 身近な海の不思議と面白さ

    私が書きました!
    水中カメラマン
    堀口和重
    日本の海を中心に海洋生物やそれに携わる被写体を1年通して撮影。撮影した写真は新聞やダイビング雑誌などのメディアに掲載、セミナーなどのカメライベントなども開催。水中の生き物の面白い姿や、面白い生態を知ってもらいたいと、海と人の関わりをテーマに伝えていきます。

    深海魚が沢山!?この3年間、駿河湾が凄い!

    深海魚といえばどんな生き物を想像しますか?潜水艦でもない限り人間が行くことが困難な深い海に生息していて、見た目がグロテスクで怖かったり、未知な姿をしていることを想像する人がいるのではないでしょうか?

    そんな深海魚ですが2017年の冬から約3年間、駿河湾の沿岸でダイバーや採集を仕事にしている人々が数多く目撃しているのです。写真は私が静岡県・西伊豆の大瀬崎で撮影した深海魚です。

    水面付近で観察できた、リュウグウノツカイの稚魚

    幻のリュウグウノツカイの稚魚を目撃!

    リュウグウノツカイという深海魚はご存知でしょうか?

    深海魚の仲間で水深200~1000メートル前後にいると言われるアカマンボウ目の仲間です。全長が最大10m以上の物も報告されており、巨大な深海魚を誰もが想像すると思います。しかし、ここ3年間で駿河湾の沿岸で見られている個体の大きさは数センチから数十センチと小柄なのです。一番上の写真も7㎝前後と可愛いサイズ。成魚(大人)ではなくリュウグウノツカイの稚魚や幼魚(子供)、目撃が多い深海魚や深海生物たちのほとんどが稚魚や幼魚なのです。

    深海生物の子供たちはプランクトン!?

    深海生物は最初から深海に生息しているわけではなく、稚魚や幼魚のころはクラゲなどに擬態して水面や中層を漂いながら生きています。水底に降りて生活しないことや自分で遊泳することがなく流れに身を任せて移動することから、浮遊生物やプランクトンと呼ばれています。(いろいろと名前も区分化されていますが、ここでは簡単に説明しております)

    ちなみにリュウグウノツカイの稚魚ですが、2017年までは5年に1匹でるか出ないかぐらいの貴重な生き物でした。そんな珍しい生き物が駿河湾に面した西伊豆で冬場になると1日に数匹見られる日があるので驚かされてばかりいるのです。

    他にもリュウグウノツカイ以外にも潮の流れに乗ってくる生き物が数多く見られました。写真の変わった形の魚はヒメアンコウ属の1種でアンコウに近い種類です。成魚は深海に住んでおります。その下の写真はリュウグウノツカイに近い仲間のサケガシラ属の1種。稚魚や幼魚は、ここ数年以上と言っていいほどダイバーに目撃されています。

    10mmぐらいのヒメアンコウ属の1種

    長い鰭はまるでクラゲの触手のような、サケガシラ属の1種

    日本で最も深い湾、それが駿河湾

    ではなぜ、こんなにも深海生物の幼魚や外洋性の生き物の子供が流されて来ているのか、専門家の方々に聞いてみました。

    結論から言うと詳しくはわからないとのことでしたが、3年前から起きている黒潮の蛇行の影響で外洋からプランクトンを運ぶ潮が沿岸に寄ってきたり、中心層の水塊が押し上げられたりしているのではないかとの意見を聞きましたが、真相は謎なままなのです。

    静岡県にある大瀬崎は大きな湾になっている。

    また撮影場所も浮遊生物に出会う確率を高めている大きなポイントとなります。私が浮遊生物を数多く撮影している場所はスキューバダイビングではメッカと呼ばれる西伊豆の大瀬崎です。

    大瀬崎は少し独特な水中地形をしており、駿河湾の中のさらに湾になっているのです。そのため多くのプランクトンが潮と一緒に運ばれて来たときに、その潮がゆっくり湾へと入って行きます。湾の外へ出ていくのも遅いため、その間に目に留まる深海魚などの稚魚や幼魚に出会う確率が高いのです。

    大瀬崎の浅瀬に現れた1mを超すミズウオ。普段は深海に生息している。2017年5月に撮影

    ちなみに駿河湾は日本で最も深い湾で知られており大瀬崎の沖合も深いのです。そのため湧昇と呼ばれる深海から浅い場所に海水が湧き上がる現象が起きることもあり、深海生物の成体がスキューバダイビング中に観察されることもあります。

    また水中の生き物の面白い姿や、面白い生態をお伝えていきます!

     

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