ブッシュクラフトの達人・荒井裕介さんに教わる焚き火と野遊び術 | 焚き火のコツ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2020.01.02 BE-PAL FOREST CAMP2019

    一年の3分の1はフィールドを駆け回っている、荒井裕介さん。本業は山岳写真家だが、アメリカ留学中にブッシュクラフトに魅せられ、現在は自立&自力登山を実践中。狩猟免許を所持していて、冬場の狩猟シーズンともなれば、2週間山にこもっているのも珍しくない。そんな荒井さんが、BE-PAL FOREST CAMP2019のワークショップで伝授した「いざというときに役立つ野遊び術」を紹介。

    自然界にあるもので火をおこすことが醍醐味

    「ブッシュクラフトは、もともと北欧の農耕民族が使っていた生活技術のこと。自然のなかにあるものを利用し、ナイフ、ロープ、火の技術を駆使して、自然との共存を楽しむための技術です」と、荒井さんは話す。

    その言葉通り、荒井さんも焚き火で暖を取り、同時に調理もする。便利な調理器具など一切なしで温かい食事を作り、タープ1枚で快適な寝床を確保する。

    「火さえおこせればいい。森に入れば燃料となる材料は豊富にあるし、それらをいかに利用して火を起こせるようになるかが大切」

    自然物のみの焚き火で重要なのは、火種。荒井さんがよく使うのはシラカバの皮(生きているシラカバの樹皮は取らないように)、麻ひも、サルノコシカケというキノコを乾燥させたもの。

    ほぐした麻ひもや、シラカバの皮をナイフの背で削り、その削りカスにファイヤースターターで火の粉を飛ばして着火し、炎が上がったら薪にくべる。ハードルが高いようなら、コットンにワセリンを混ぜたものを火種として常備しておくのも手。

    次に、その炎を消さないために重要なのが、薪の選び方。
    「最初は燃えやすいように、松ヤニが詰まったファットウッドを探しておくといい。クロマツやアカマツに多く、割ったときに真ん中の色が松ヤニで濃くなっているものが燃えやすい。太い松の倒木や流木を見かけたら、いつも探すようにしてますよ」

    ほかにも、火つきをよくするために、ナイフを使って薪を毛羽立てておくと(=フェザリング加工)、より燃えやすくなる。あとは、焚き付け用の小枝やスギの皮などに火を移し、徐々に太い薪を加えていけば、あっという間に焚き火の完成だ。

    猟をすることで命の大切さを学ぶ

    狩猟をしていると、当然のごとく、さまざまな生き物と対峙する。
    「動物避けに火を焚く、と昔はよくいってたけど、最近のクマは頭がいいから、火を焚くと、人間がいる=食料がある、と思ってかえって寄ってくる。火を焚いて逃げるのは、シカぐらいかな。シカの毛って燃えやすいから」

    シカというとかわいいイメージだが、秋以降、立派な角の生えた牡は意外に危険だ。脚を踏み鳴らして威嚇を出すようなら、大きな音を立てながら、ゆっくり後退して逃げた方がいい。

    では、クマに出会ったらどうすればいいのか。最近は山の中どころか、住宅街でクマ被害、なんてニュースも少なくはない。

    「レジャーシートやエマージェンシーシートを蛇腹にたたみます。で、いきなりバッと広げる。クマは急に大きくなるものや、ビニールの音が大嫌いだから、それで逃げて行く。もしかしたらクマ除けスプレーよりも効果的かも」

    山だったら、上に登らず、下に行く。動物は前足が長く、下りの方が歩くのがヘタなので、山の斜面を滑り降りた方が逃げおおせる確率は高い。また、音は1種類よりも複数鳴らすことが大事だとも。

    「狩猟となると話は別ですよ。逃げるんじゃなくて、仕留めなきゃならないですから」

    冬場の猟は過酷だ。獲物が捕れたらその場で内臓を取り出して吊り下げて血抜きし、雪の中で凍らせておいて、猟が終わってから持ち帰る。そのとき山での食料として、腿の塊を骨ごと切り出しておく。

    「その腿肉をザックにぶら下げてテン場に移動し、火をおこして木にぶら下げる。それを繰り返しているうちに、極上の燻製ができあがる」

    日が落ちると猟では意外にやることがない。だから燻製のために塩を1kgほど背負っていくこともあるのだとか。燻製にも吊るしたり、置いたりと、いろいろな方法があり、それを自分でいろいろ工夫するのが面白い。

    そんな猟暮らしの中で忘れてはいけないのが、命の尊さ。
    「お腹を開けたとき、湯気が出てくるんですよ。それを見てると、命は温かいものだと、あらためて実感する。スーパーで売っている肉も同じ命、流通されて破棄されている肉もまた命。自然の恵みをいただいていることに、人間は感謝しなきゃいけない」

    構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎

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