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CINEMA 01
韓国造景界のパイオニア
詩心ある作品群とその哲学
『大地に詩を書くように』
(配給:スモモ)
●監督/チョン・ダウン
●10/25~ポレポレ東中野ほか全国順次公開

造景界最高栄誉賞と呼ばれる国際造園家連盟「ジェフリー・ジェリコ賞」受賞の84歳、チョン・ヨンソン。半世紀にわたる足跡と、そこに込められた想いとは?
自然との共生を目的とした韓国初のエコパーク「汝矣島(ヨイド)セッカン生態公園」、浄水場を再生させた「仙遊島(ソニュド)公園」、患者やその家族、医師や看護師には隠れてひとしきり泣いたりする場所が必要だと〝癒やしの森〟を造成した「ソウル峨山(アサン)病院」。「地形、植物の習性と植生、色、環境、歴史、伝統、利用する人、空間の未来を考えながら詩心を持って設計する」という作品、その美を本人の言葉とともに静かに堪能する。
一方そんな彼女の素顔は、毎朝3時間の庭仕事が日課で、孫を愛する優しいおばあちゃん。まるで自然そのままのように咲き乱れる野の花に囲まれた、簡素だけれど居心地のよさそうな自宅にうっとり。日々の生活がそのまま作品へと昇華していくさまもまた美しい。
CINEMA 02
仏、ジュラ地方コンテチーズの村で最高のチーズを!
『ホーリー・カウ』
(配給:ALFAZBET)
●監督/ルイーズ・クルヴォワジエ
●脚本/ルイーズ・クルヴォワジエ、、テオ・アバディ
●出演/クレマン・ファヴォー 、ルナ・ガレ、マイウェン・バルテレミほか
●10/10~ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

自堕落に生きる18歳のトトンヌは、チーズ職人の父親を事故で亡くす。幼い妹の面倒をみながら生計を立てなければと、賞金目当てにコンテスト出場を決意。伝統製法での熟成ハードチーズづくりに挑む。
ジュラ地方育ちの女性監督が、「ドキュメンタリー的リアリティーに根ざすフィクションを」と完成させた初長編。チーズづくりの紆余曲折、酪農場をひとりで切り盛りする逞しい彼女との出会い。やんちゃ青年が、チーズのように熟成するまでを描く青春映画。
※構成/浅見祥子
(BE-PAL 2025年11月号より)